第51話、共生
「周りを調査してから、帰還しよう」
ササギ中尉が言う。
カー―――ン
ネプチューンが、両手で指パッチンをして、広域ソナーを発動。
「むっ」
水没したビルの、半地下になっている、駐車場に、1メートルくらいの”ハゼ”が、顔を出していた。
「サーチッ、ズームッ」
ハゼと目が合った。
「っつ、全機っ、緊急浮上っ!!」
「キャノン・シュリンプだっ」
◆
キャノン・シュリンプ
別名、大砲エビ。
その名の通り。鉄砲エビが、1メートルくらいに巨大化したもの。
その巨大なハサミから、発生する”プラズマ衝撃波”は、太陽の表面温度(4700°C)以上に達する。
その衝撃は、46センチ砲弾が直撃したものと同じと言われていた。
浅い海で、最も警戒しなければいけない生物である。
◆
EWAC(早期警戒管制)ビッグハゼ
キャノン・シュリンプと巣穴を共にする、1メートルくらいの巨大ハゼ。
キャノン・シュリンプは目があまり良くなく、代わりにハゼが目の代わりをする。
EWACと呼ばれる所以である。
キャノン・シュリンプは良好な視界を、
EWAC(早期警戒管制)ビッグハゼは、安全な巣穴と、キャノン・シュリンプの食べ残しを、
得る。
このような、両者WIN、WINの関係を”共利共生”と言う。
◆
「やばいっ、急げっ。 シュリンプの衝撃波は、ここまで届くっ」
ネプチューンと言えども、直撃すれば粉々だ。
途中で、コンゴウリキシを両脇に抱え、海面に飛び上がるように、浮上した。
幸い、自分より大きな獲物は襲わない。
”呑竜”の装甲に、余裕で穴を空けられるとしてもだ。
「「ありがとうございました」」
「ふうう、助かった」
「でも、”ビッグシオマネキ”7匹は上等だよ」
排水の終わった、下部格納庫だ。
「ジローちゃん、心配したよっ」
ヒビキだ。
早速、コンゴウリキシを脱いだ、ウエタの頭を撫でている。
「、……キバ様っ……」
フランソワーズは、コンゴウリキシを脱いだキバの頭を、豊かな胸で挟むように抱きしめている。
慈しむように、頭を撫でていた。
「オ、オリガミさん」
キバが耳まで真っ赤になっている。
”撫で撫でランキング”上位入り確定だろう。
「……彼女が欲しい……」
ネプチューンの、コックピット入口に腰を掛けて、ササギが小さくつぶやいた。
その後、寂しそうにするササギに関係なく、カニパは大盛り上がりのまま、終了した。




