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[画像付き] 気象観測員『メグミさん』。 地表のほとんどが海に沈んだ近未来の地球で、日々がんばってます。  作者: トウフキヌゴシ
第一章

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第41話、ネプチューン

「ソナーに感」

「ガザミ、数7、いや8確認」

 ブリッジは戦闘用に赤い電灯に変えられている。


「爆雷だっ」


「爆雷用意」

「用意完了」


「落とせっ」

 カイラギが、手を前に出しながら命令した。


「アイアイ、キャプテン」

 

 樽上の爆雷が、海面に投下される。 


 ド、ドオオオン

 白い水柱が海面に上がる。


「沈黙2、確認。 下に2匹残ってます」


「上々だ」

 カイラギがにワイルドに笑いながら、顎をさする。


「”ネプチューン”を全機出せっ」


「アイアイ」



 ”人型装甲潜水球、ネプチューン”


 日本海軍が採用する、人型潜水球である。

 全高約7メートル。

 胸の部分の潜水球に、頭と腰と両手足と装甲が着いた形をしている。

 頭に着いている大きめのメインカメラが、一つ目に見えるのが特徴。

 全体的に、流線型の美しい機体である。

 背中と両肩、両太ももに水中ジェットを備える。

 その周りを曲線を描いた装甲版が覆う。



 少し前、メグミは、飛行艇の格納庫に移動していた。

 ”水無月”のコックピットで、スクランブルに備え待機している。


 格納庫の奥に、キャノピー越しに、”ネプチューン”が6機見えた。

 全機、正座の形で待機状態である。

 3機ずつ3列に並んでいる。

 

 天井の黄色い回転灯が周り、


 ブー、ブー


 とサイレンが鳴っている。


「全機、出撃準備急げ」

 頭を前に倒した根本にある、潜水球の入口にパイロット達が滑り込んでいく。


 曲面である胸部装甲の真ん中には、”平家蟹の甲羅と蟹の足がクロスした模様”が描かれていた。

 灰色の機体の肩装甲の横には、”海11”から”海33”まで、白色で小隊番号が書かれている。


 天井からアームが伸びて、機体が固定された。


「出撃準備完了っ」


「出撃っ」


 電灯が赤くなった瞬間、”ネプチューン”の足元の床が下に開いた。

 アームをリリース、全機海中に落ちて行った。


「アタッカーは第1、第2小隊」

「第3小隊は、周囲警戒および、フォロー」


「「「アイアイ!!」」」


「1匹ずつだっ」

 1匹の”タイラントガザミ”に6機の”ネプチューン”が攻撃を加える。

 第3小隊は、もう1匹を邪魔させないように牽制する。


 11号機が、手に持った巨大なアンカーで攻撃するが歯が立たない。

「うおっと」

 ギリギリのところで”ハサミを回避した。

(あぶね~、真っ二つになるとこだったぜ)


 21号機が背後から、”超振動太刀(ブレード)”で斬りつける。

 蟹の甲羅は、硬い上にしなやかさも備えている。

「駄目かっ」

 触れた所から火花は散るがそれだけである。


 周りの機体も、手に持った”電磁(スタン)三又鉾(トライデント)”で弱らせようとする。


 死闘は、20分に及んだ。


「(”ネプチューン”の)活動限界が近いっ」 

 11号機が強引に、”ガザミ”の前に出た。

「こなくそおおお、左手っパイルバンカーー」

 ”ガザミ”の口の中に、左手に装備したパイルバンカーを、”口頭射出”。 


 ドンッ


 ”ハサミ”に挟まれて機体が悲鳴を上げる。


「もう一発っ」


 ドンッ


「もう一発ううう」


 ドンッ


 挟む力が徐々に弱くなり、”ガザミ”は沈黙した。


「すまん。 11号機はこれ以上動かん。 緊急浮上する」

 機体各所から、緊急用のフロート(浮袋)を出して浮上した。


「隊長、無茶しすぎっすよ~」

「あとは任せてくだせ~」


 残った一匹は残りの全機で、追い払った。


 合計、3匹の”タイラントガザミ”を狩るという快挙に成功。


「あと一匹でエースだったのに……」

 11小隊の隊長の一言である。


「……カニ鍋、美味しい……」

 今回は見ているだけだったメグミは、罪悪感に駆られながらも、鍋のおかわりを止められないのだった。



 

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