第33話、訓練日
「今日は、訓練日にしよう」
メグミは、海に浮いている”水無月”の翼の上で言った。
”ガンテツ”から分かれて通常業務になっている。
日差しが穏やかで気持ちがいい。
翼の上に立てた、シャワー用のカーテンの中で水着に着替えた。
露出多めの黒の水着である。
準備運動をした後、
「よしっ、泳ぐぞ~」
ソナーで周りの海の安全を確認してから、海に飛び込んだ。
”水無月”の周りをゆったりとしたペースで、2時間連続で泳ぐ。
その後、海の上に標的を浮かべ、ニューナンブに練習弾を装填し、射撃訓練を行った。
基礎的な、筋トレの後、
「これくらいでいいか~」
折り畳み式のロングチェアとビーチパラソルを出して、トロピカルジュースを自作、ロングチェアに横たわった。
黒いサングラスをかけ、日焼け止めを塗った。
背中に塗り残しがある。
「今度、ナンバ君に塗ってもらおうかなんてね、なんてね~」
手足をバタバタさせるメグミである。
◆
”完全UVカットサンオイル、サンイーターパーフェクト”
ナノマシン技術を使った、完全サンオイル。
海上生活を強いられる女性のお肌の友である。
UVカットに限らず、美白効果、基礎化粧品の役割も果たし、お肌のケアもばっちりである。
ちなみに軍の支給品であり、これを支給されたいがために、海上勤務を希望する女性隊員もいると言う。
◆
ロングチェアに横たわりながら、時々メインモニターを繋いだ双眼鏡を覗いて、気象観測をする。
「気怠い午後だね~」
レドームを背負った飛行艇”満月”が近くを通りかかった。
こちらに気付いて近づいてくる。
メグミが大きく手を振ると、複座型のコックピットに座った、男性隊員二人が、笑いながら親指を立てたり、指でフレームを作って、写真を撮るようなふりをした。
「ふふふ」
メグミが、悪戯を思いついたように笑った後、”投げキッス”をする。
一瞬、”満月”がふらついた後、男性隊員が大笑いをしているのが見えた。
メグミのメインモニターに大きく親指を立てた絵が出て、いいね!が二つついた。
”満月”がゆったりと周りを一回、旋回した後、去って行った。




