第29話、ガンテツ
メグミは、検査入院の名目で、病室に泊めてもらった次の日、”朝のお勤め”に出ている。
「いや~、この船が”ブッディズム”だったとは……」
”ナイチンゲール”は”ワールド・コングロマリット・リリジョン”の外郭団体が運営している。(担当は、日本ブッディズム教会と言うところか)
”タタミ”のしかれた、”ダイガラン”の中央に”ブッディズムスタチュー”が備えられていた。
正座をして”オキョ―”を唱える。
”カウントボールリング”と言って、渡されるものを見て、
「お数珠じゃダメなのかな?」
「……病院と寺院か~……」(焼き場もあるのかな?)
メグミは何か胸に、もやもやとしたものを感じながら、両手を合わせた。
”ナイチンゲール”は、漁船の横転した場所の上空に待機して、回収船に位置を教えている。
昼過ぎくらいに、大きくて四角い船が到着した。
◆
”日本陸軍所属、海上土木作業用揚陸艇、ガンテツ”
船名と四角いボディからわかるように、”イワオ”の開発チームが開発した船である。
質実剛健で頑丈、現場の信頼はとても高い。
前部のオープンハッチから、”水中用機動甲冑”を下ろすことが可能。
やはり、実際は”潜水作業”なのだが、”土木”や”揚陸”と付けるのは、陸軍の意地の現れである。
◆
”ガンテツ”は、収納式のクレーンを出して、横転した漁船を元に戻した。
次に、開いた前部の揚陸用ハッチから、”水中用機動甲冑”が海に飛び込んでいく。
「ナンバ君のお父さんが”水中用機動甲冑”のダイバーだったっけ」
ナンバは父の手伝いで、小さいころから潜水艇に乗っていた。
潜水艦乗りになった理由である。
”ガンテツ”は中破して沈んでしまった、漁船をサルベージするつもりである。
「資源は大事だよね」
幸い”リュウグウウミガメ”はどこかに行ったらしい。
メグミは、”水無月”を飛ばして、周りの警戒を手伝った。
「……漢らしくていい……」
上空から、”ガンテツ”を見たメグミの感想である。




