第28話、ナイチンゲール
15人が、”水無月”の翼に乗ったり、しがみついている。
”水無月”が沈まないように、フロートに水素を作って入れた。
怪我人の応急処置をしているうちに、3機の”救急機”が飛んでくる。
音速を超えているようだ、白いソニックブームが見えた。
特徴的な丸い機体、”スーパー満月”だ。
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”中型飛行艇救急機仕様、スーパー満月”
本来、レシプロ双発機である、”満月”を双発ジェットに換装し、キャビンを救急室に変えたものである。
担架で4人、椅子に10人乗せることが可能。
元々丸いリフティングボディは空力に優れ、ジェットの推力も合わせて、音速を超えることが可能。
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白い機体に赤い十字架が描かれている。
”スーパー満月”3機がエアブレーキを全開にしながら減速し、ふわりと近くに着水する。
「お待たせしました」
複座のコックピットから、医者と看護師が下りてくる。
「怪我人は3人です、1人が頭を打って1時意識がありませんでしたが、回復しています」
「ありがとうございます」
怪我をした3人を乗せて1機が飛び去る。
残りの人を2機が乗せた。
「詳しく聞きたいのでついてきてください」
書類での報告の義務がある。
「了解です」
”水無月”のエンジンをつけた。
しばらく飛ぶと、巨大な白い飛行船が見えてきた。
船の横に赤い十字架が描かれている。
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”病院型巨大飛行空母、”ナイチンゲール”
長方形の形をした巨大な、”硬式ジェット飛行船”である。
船体の横に、左右3庫ずつ計6庫の”横転式格納庫”を持ち、船上部に飛行甲板を備える。
総合病院の機能をもち主に海上で、医療活動を行う。
スーパーハリケーンの時は、海水に着水してやり過ごす。
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飛行甲板に”水無月”を着船させた。
移動式の台座がつけられ、固定される
怪我人の所に急いだ。
「大丈夫ですよ。今回は災難でしたね」
「応急処置が完璧でした。ありがとうございます」
医者に言われる
「いや~。必死でやってたから、大アワビももらったし」
お礼に、ただで精密検査をしてくれた。




