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[画像付き] 気象観測員『メグミさん』。 地表のほとんどが海に沈んだ近未来の地球で、日々がんばってます。  作者: トウフキヌゴシ
第一章

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第27話、リュウグウウミガメ

 漁船と別れて、3日経った。

 貰った大アワビも、残りあとわずかである。


「グレートカロリーフレンドだけじゃあ、味気ないからな~」

 魚でも釣ろうかと考えながら、双眼鏡を使って観測していると、漁船がいた方向に、救難用の赤い信号弾が見えた。


「漁船に何かあった?」

 メグミは、コックピットに飛び込み、”水無月”を緊急発進させる。

 メインモニターの海図に、”日本海軍所属、海洋資源採取用特殊装備搭載船”と出ている1つをタップした。

 (個人で”漁船”なんて持てない。漁師さんたちは、日本海軍に所属している)


 1瞬、モニターにノイズが走る。


 ”乗組員1人”


「エイプリルフールめええ、中型の”漁船”が1人で動くかああ」 

「急いでるのにっ」

 モニターの距離も当てにならない。

 減速して目視で距離を確認しながら近づく。


 漁船2隻が横転、1隻が中破していた。


「メーデー、メーデー漁船、2隻横転。1隻中破。怪我人あり、救助をお願いっ」

 緊急回線に叫んだ後、大型の緊急用照明弾を打ち上げた。

 辺りの空が赤く染まる。

 その下を、巨大なウミガメの黒いシルエットが2()()、ゆっくりと動いていた。



 ”リュウグウウミガメ”


 甲羅の長さが30メートルに達する大型のウミガメ。

 穏やかな性格で人は襲わない。(人が小さすぎて気づかない)

 本来、深海にいて滅多に海上まで浮かんでこない。 

 通常のウミガメと同じように、クラゲが好物で、”グレートエチゼンクラゲ”を食べるために浮上してきた模様。



 30メートル近い巨大なウミガメ2匹が、クラゲをゆっくりと食べている上に、漁船から投げ出された猟師たちが浮いている。

 襲って来ないとはいえ、巨大なウミガメのいる海に降りるのは怖い。


「女は、度胸っ」


 胸元の、”こんぴら神社”のお守りを握った。


「”水無月”の翼に乗ってっ」

 大声で言いながら、頭から血を流している男性の近くに着水させる。

 意識がないようだ。

 コックピットから海に飛びだして、男性のライフジャケットの襟元を掴んで、翼に引き上げる。


 上がってきている人に、


「全員で何人?」


「15人」


 翼のハッチを開けてAEDを出し、近くの人に渡す。

 

「お願いっ」


 すぐに渡された人が、意識のない男性に救急処置を行う。


 メグミは、別の怪我をした人を助けにもう一度、海に飛び込んだ。

 腕が折れた人と、足が折れた人がいた。


「15人全員いる?」

 大急ぎで人数を数える。

 漁船内に残された人は、いないようだ。


「こちら、病院飛行船”ナイチンゲール”、救急機を飛ばした。5分以内に着く」

 無線から声が聞こえた。 


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