表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
[画像付き] 気象観測員『メグミさん』。 地表のほとんどが海に沈んだ近未来の地球で、日々がんばってます。  作者: トウフキヌゴシ
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/96

第26話、クラゲ柱

 受け持ちの地域まで、”水無月”を飛ばしていると、海面に魚が沢山、飛び跳ねているのが見えた。


「おや?」

 キャノピーを開けて、高度を下げる。

 魚が跳ねている先には、透明のジェリー状のものが漂っていた。


「”クラゲ柱”が立ってたんだ」



 ”グレートエチゼンクラゲ”


 体長ゆうに20メートルはある巨大クラゲである。

 その触手にある毒針は、小さな槍と同じくらいの長さがあり、猛毒を持っている。

 しかし、自分からの動きはほとんどなく、対処は簡単である。

 大切な所は、メガシャークなどの大型肉食生物の天敵であることだ。

 たとえ獰猛なメガシャークでも、触手と毒針の前には捕食されてしまう。


 大型肉食生物から安全な、グレートエチゼンクラゲの周りに中型の魚が集まることを”クラゲ柱が立つ”と言い、魚がたくさん取れる。



 少し離れた所に、漁船を3隻見つけた。

 無線で話しかける。


「こちら、日本海軍気象部、”水無月”」

「近くに、クラゲ柱が立ってるよ」

 位置を教える。


「おーうありがとう」


「これから仕事かい?」


「そう」


「ちょっと寄ってきなよ、大アワビがあるんだ」


「教えてくれたお礼にあげるよ」


 マニュアルには、人と遭遇した場合、なるべく直接、顔を見て確認するようにとされている。

 漁船の近くに”水無月”を着水させる。


「はいこれ」


 大きさは、大き目のお盆くらい。

 渡された大アワビは、すこし、貝殻が欠けている。


「どうせ、売りもんにならないから」


「ありがと~」

「何かあったら早めに緊急信号を出してね」

「近くで観測してるから」


「うん、お疲れさん」


 漁船のおじさんたちと手を振って別れた。



 受け持ち地区に着いて、”水無月”を着水させ、翼の上のテントを広げた。

 夕飯は、大アワビの身を半分使って、刺身と簡易コンロで焼きアワビを作った。

 残りの半分は、簡易燻製機で燻製にするつもりである。

 大アワビを肴に、少し日本酒もどきを飲んだ。


「月明かりの下もいいよね」

 月と星と、オイルランプの心細い光しか、明かりがない海の上。


 天の川に十字に交わるように、”エイプリルフール”の白い帯が漂っている。


「ん~、少し寂しいかな?」

 メインモニターで、クラッシック曲を掛けた。


「Fly to the moon……」

 メグミは、曲に合わせて小さく歌っている。


    

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ