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[画像付き] 気象観測員『メグミさん』。 地表のほとんどが海に沈んだ近未来の地球で、日々がんばってます。  作者: トウフキヌゴシ
第一章

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第22話、神雷

 赤い顔をした、二人がうつむき気味に桟橋を歩く。

 桟橋に敷き詰められた玉石が、シャリザリと音を立てた。


「た、玉石の踏む音って雨の落ちる音を意味するんだって~」


「う、うん、雨ごいの意味があるんだっけ」


「海水の製水機なんてどこにでもあるのにね~」

 メグミがにっこり笑いかけた。


「ふふ。そうだね」

 ナンバがほっとしたように笑い返した。


 一礼してから艦の入口にある”鳥居”をくぐった。

 入ってすぐの所にある社務所で、拝艦料”1万円”を払った後、古いお守りを渡す。

 新しいお守りと、”こんぴら八幡宮”の写真集が渡された。(この写真集がかっこいいんだよ~)

 メグミは、ほくほくした顔で受け取った。

 二人で”手水をとった”あとなるべく真ん中を避けて歩く。


「こんぴらさんの階段は”785段”あるんだよ~」

 長く続く階段を上がりながら言った。

 二人は、どちらからと言わず、手をつないで上って行った。


 ”御本宮”の前で、お賽銭をいれたあと”二礼、二拍手、一礼”してお参りする。


 (来年も一緒に来れますように)



 帰り道の途中にある食堂で、名物の”うどん”を食べる。

 食堂の窓ガラスの向こうには、46センチ4連装砲、2基を見下ろすことが出来た。

 少し離れたところに”いづも大社”も見える。


「少し硬いんだよね~うどん」


「このうどん、艦内で栽培してるらしいよ」


「本当~」


 ナンバが、うどんの出汁で作ったおでんを食べようとしたとき、艦内放送がなった。


「参拝の皆様に、連絡があります」

「現在、”いづも”沖に”メガシャーク”の群れの接近が確認されました」

「艦砲射撃を行います」

「艦砲射撃の際には、大きな音と艦が大きく揺れる恐れがあります」

「その際には、近くにあるベンチか椅子にお座りくださいますよう、お願いします」

「アテンション、プリーズ、・・・・・」

 英語の案内が続く。


 ”いづも大社”のスキージャンプ型のカタパルトから、白と赤に塗られた飛行艇が、スクランブル発進していく。


神雷(じんらい)だ」

「かっこいい~、艦砲射撃の測距に上がってるんだね」



 飛行艇搭載空母型神社、”いづも大社”所属飛行艇、”神雷(じんらい)


 双発、海水酸素水素分離式ジェット搭載の高性能機。

 フロート部分は、離着水の時以外引き込まれ、胴体と一体化するようにデザインされている。

 ”いづも大社”のエースパイロットである神官や巫女は、”神雷(じんらい)”でどんな飛び方をしても、神官服や巫女服の胸元を乱さないらしい。


◆ 

 

「小さい時、海で遭難してね」

「もう駄目だ~って思ったときに、颯爽と飛行艇が下りて来てね」

「どっかの神社の飛行艇だったと思う。巫女服がかっこよくて~」

 メグミは、この時の体験から、飛行艇乗りになることを誓う。 

 

「ん。主砲が回った」

 1番砲塔が回転し、砲が角度をつける。

 

「只今より、砲弾を2発、発射いたします」

「最寄りのベンチか椅子に、お座りくださいますようお願いいたします」

「アテンション、プリーズ・・・(英語)」


「発射」


 ドーーーーーーン


 一瞬、辺りがオレンジ色に染まり、振動と共に大きく揺れた。


「2射目、発射」


 ドーーーーーーン


 1射目の煙に大きく穴を空けながら、46センチ砲弾が飛び去った。


「ご協力ありがとうございました」 


「”文福茶釜”の30センチ砲弾とは大きさがちがうね~」 

 変な所に感心するメグミである。




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