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[画像付き] 気象観測員『メグミさん』。 地表のほとんどが海に沈んだ近未来の地球で、日々がんばってます。  作者: トウフキヌゴシ
第一章

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第15話、ダルマ落とし

 その日の夕食時、艦の食堂で カオリ大尉とヒイラギ准尉が、簡単な送別会を開いてくれた。

 三人で簡単に食事をするだけのつもりが、艦上空で行ったプチエアショーに感動した乗組員たちが、周りに集まり始めた。

 気が付くと食堂一杯に乗組員が、集まっている。

 何故か、メグミの前に列を作って、一言挨拶をして握手をしていく。


 カオリ大尉とヒイラギ准尉にも、握手を要求しているのは何故だろう。


 二人ともメグミの横に並んで、律義に対応していたが。


「あれ?」

(私、何故握手を?)

 笑顔で握手をしていたカオリ大尉が、正気に戻り


「かいさ」 


「よーし。酒保を開くぞ~」

 いつの間にか握手の列に並んでいた、トウジョウ艦長が大きな声で言った。


「んしなさい?」

 カオリ大尉の声が一足遅かった。


「おおおおおお」


結局、全艦あげての大宴会が始まり、翌日の艦の勤務は、”完全休日”となった。

 メグミの離艦が一日遅れた。



 流石に”完全休日の日”は何も起きず、次の日の朝に、カオリ大尉やヒイラギ准尉に見送られ、離艦した。

 最後に、自分の”水無月”で艦の上の低空で、宙返りをして飛び去った。


 一度でも、”避難潜水”をした機体は、基地に帰って整備を受けるように義務付けられている。

 日本軍の総合基地に向かった。


「お。今日は”エイプリルフール”が上空にほとんどないね」

 ”百目鬼ネット”を起動し”エイプリルフール”の分布予報サイトを見ながら


「上がるか」

 嬉しそうに言った。

 善は急げと言わんばかりに、キャノピーを閉め、高度を上げる。 


「ふふふ~ん」

 メグミは、マニューバで機体を振り回すのも好きだが、ひたすら真っすぐ飛んで速度を出すのも好きである。

 メインモニターに日本軍本部基地の位置をGPSに示させながら、スロットルを全開にした。

 所々、水没したビルの上の部分を下に見ながら、”水無月”は晴れた日差しの中を、音を後ろに残しながら、真っすぐに飛ぶ。



 ”大異変”の海水面の水位は、最初は”大津波”が来たものの、約50年掛けてゆっくりと上昇したものである。


 ”旧国会議事堂上部の階層建築を利用した海上軍事基地”


 日本軍本部の正式名称である。

 国の中枢の建物として、海水面の上昇に合わせて、50年の間、建物を上に増築した結果、国の技術の粋を尽くした”階層建築”が完成した。

 ”ダルマ落とし”建築と名付けられるものである。

 同じような経緯で、旧モスクワの”マトリョーシカ”建築も有名である。

 ちなみに、現国会議事堂は、富士山のふもとの、旧青木ヶ原樹海の真ん中に移転されている。


 

 3時間ほど飛ぶと、上部が丸いドーム状になった、巨大な階層建築が見えてきた。

 港の一角に”呑竜”が停泊しているのが見える。

 昨日から、寄港しているはずだ。(百目鬼ネットで調べている)


「約束は、覚えているかな?」


 ”水無月”は着水シークエンスに入った。

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