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流れの武器屋  作者: はぎま
魔物の大移動
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魔物の大移動。第一波。

 時は少し戻り、

 魔物の大移動に備える王都ノール。


 王都の北、北西、西、南西、南には王国軍、傭兵、冒険者が配備されていた。



 北。冒険者ギルドマスターのゴドム・ハンサ率いる冒険者中心の軍。


 北西。騎士団長ジーラス・ヒート率いる騎士団、魔法士団の軍。


 西。王国軍、傭兵、冒険者の精鋭が集まる軍。


 南西。魔法士団長アイリス・フォート率いる魔法士団、騎士団の軍。


 南。中立管理官ニグレット率いる寄せ集めの集団。



 ______



「来るか…予定よりも早いな」

「あれが本前兆ですか?」

「ああ、あの黒い渦から魔物がわらわら出てくるぞ」


 遠方に見える黒い渦の様に見える魔力溜まり。

 ここから魔物が発生する。原因は未だに解明されていない災害。黒い渦の中から出てくるので、その場で魔物が作られるのか、何処からか転移してくるのか。

 過去に、あの中へ入った者も居た。そのまま吸い込まれ、強力な魔物が発生したという記録もある。原理も解らない。


 この黒い渦を攻撃すると事態が悪化する。黒い渦の魔力が活性化し、魔物のクラスが跳ね上がる。これにより消えた街も少くない。

 その為、攻撃も出来ず、魔物を倒していくしかない。


「なんか、移動してませんか?」

「ああ、大移動の厄介な所は魔力溜まりが移動する。魔物の大移動と呼ばれる由縁だ」


 少しずつ移動する魔力溜まりの黒い渦。

 しかも、この黒い渦は複数発生し、魔物を出したら渦同士が引き合う。

 そして、それが合体していく。結果は黒い渦が大きくなるという、なんとも残念な事態に発展する。


 だから、終わるまで黒い渦を追わなければいけない。


「最初の魔物は弱い。温存しながら行くぞ」

「はい!」



 やがて、各箇所に黒い渦が発生。

 魔物が溢れてきた。


 第一波と呼ばれる最初の大移動。



 ______




 王都の北。


 鉱山の街を背に、冒険者中心の軍は発生した魔物と戦っていた。


「お前らぁ!冒険者の意地見せてやるぞぉ!」


「「「おおぉぉぉ!」」」


 魔物はクラス1のゴブリンやクラス2のオークが中心。強くてもクラス3。弱い魔物だが、数は千を超える。

 千という数字は正直少ない方。


「俺が先陣を切るぜぇ!」


 ギルドマスター、ゴドム・ハンサが一人で突っ込む。

 太陽に照らされたスキンヘッドと、露出の多いシャツから見える見せつける様な筋肉。

 お祭りを前にした子供の様な笑顔で腕をブンブン回す。


 両手に嵌まった魔武器ギガース・グローブが輝いた。


「はっはっはー!行くぞぉ!巨人の鉄拳!」


 ギガース・グローブが巨大化。10メートルを超える拳を魔物に叩き付ける。


 ドゴォォン!_


 宙を舞う魔物達。地面にクレーターが出来る衝撃を次々と繰り出していく。


 ドゴォォン!_ドゴォォン!_


 出遅れた冒険者達…

「もう…これ…ギルマスが全部やっちまうんじゃね?」

「ああ…もう半分くらい潰してる…」


 王都冒険者ギルドマスター、ゴドム・ハンサ。元Sランク冒険者。異名は悪鬼、大鉄拳、粉砕のハゲ等数多く存在する…生ける伝説。

 五十歳を過ぎても尚衰えない身のこなし、パワー。


 冒険者達はほとんど何も出来ず、第一波の大移動が収まっていく。


「「「……」」」


「よーし!黒い渦は西の方に移動した!元気な奴は第二波に参加するぞ!付いてこぉい!」



 北側の冒険者達は、守りの陣営を残し、西へ向かう。




 ______





 王都の南側、ニグレット率いる寄せ集めの集団。


 そこでは、既に第一波は終わっていた。


「ねぇ、ニグお姉ちゃん」

「どうした?トリス」

「私達いらないよね」

「まぁ、西に向かったら出番あるんじゃないか?」

「次は私やりたい!」


 待機していた陣営で、ニグレットとトリスは仲良く座って前方を眺めている。トリスは王都に居る方が危険なので、連れて来ていた。

 寄せ集めの集団。100人も居ない。決して人選に手を抜いている訳では無い。

 戦力が異常に強いからだ。

 主なメンバーは、ニグレット、トリス、ミランダ。



「終わりましたよ。ニグレット隊長さん」

「お疲れ様。ミランダちゃん」


 星剣・メティオールブレイドを持つミランダが振り返り、ニグレットの元へ行く。

 ミランダの背後、魔物が発生していた場所。


 大災害が起きたかの様に地形が変わり、大量のクレーターが存在していた。


「すごいなー、その剣の能力。隕石群出せるなんて」

「ですよねぇ…トトさん、なんて物をくれやがったんですよほんと…これじゃあ私、変な二つ名付きそうです…」


 隕石を墜とす。単純だが強力な攻撃。

 女子三人で引いたくじ引きで、当たりを引いたミランダが一人で第一波を収めていた。

ニグレットとミランダは、予行演習の際、力を示していた。反応は予想通りの反応だったが。

 そして、今居る周囲の反応は当然、唖然としていた。気にする事なくニグレット、トリス、ミランダは黒い渦を追う為に西を目指す。



「はいはーい!次私やるー!」

「トリスちゃん、遊びに来たんじゃないんだよ」


「まぁ良いんじゃないか?そういや、トトは居ないのか?」


「なんか帝国に行ってクソイケメン殴って来るって言ってたよ?多分そろそろ来る予感だけど…」



 各箇所で、第一波は収束を迎えていく。


 次は、第二波の大移動。北西、西、南西の地点で起きようとしていた。

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