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流れの武器屋  作者: はぎま
ロドニア帝国
87/163

王都へ。

 


「うーん…」

「トハシ、どうしたの?」

「いや、一度ノール王国に行こうと思うんですけど…やり残した事は無いかなって」


「…行っちゃだめよ」

「ん?リンダさんも行くんですよ」


「…ん?」


 リンダが首を傾げて見詰めてくる。

 リンダは血が元で遅老の薬が出回っていた事実があるので、金儲けを企む者から狙われたり、損害を受けたラティール家からの逆恨みも可能性はゼロではない。


「ルーアさんはどうするんですか?」

「トハーシさんが養ってくれるなら行きますよ」

「行かないって事ですね」

「……はっ!」


 リンダが気付いた。ニヤニヤを隠そうとして変顔になっている。



「お嬢様、ブス寄りのお嬢様になっていますよ」


「それは言わなくて良いわ。ルーア、今までありがとうね」


「ふふっ、こちらこそありがとうございました。でも、また一緒に暮らせますよ。ねぇトハーシさん?」


「はははっ、そうですね。頑張りますよ」


 トトとルーアが笑い合い、リンダがなになに?と聞いて来るが、ルーアは秘密ですと言うだけ。


 ルーアはこの家に残る。

 危険があろうとも、この家を守りたいという意志がある。

 それは尊重したい。でも、危険があるかもしれないのは確か。



「ルーアさん。これ、御守りです」

「ありがとうございます。…なんですかこれ?腕輪?」


≪召喚具ナイトオーガ、ランクS、ナイトオーガ召喚≫

 オーガヘルム、オーガアーマー、オーガガントレット、オーガグリーブ、氷の巨人の魔石、魔銀結晶を合成した召喚武器。


「魔力を通しておけば、危険が迫った時に自動で、まぁまぁ強いナイトオーガが召喚されます。まぁ、気休めですがどうぞ」


「おー、ありがとうございます!少し不安だったんですよ!」


 早速腕に嵌めて魔力を通す。まぁまぁ強いというか、クラス6の強さ15000を超えるナイトオーガなので、かなり強い。

 喜んでいるルーアを見て、物欲しそうにリンダが見詰めてきた。



「…そういえば、リンダさんって魔武器持ちでしたよね。持っていきます?」

「…いらないわ。元々帝国の魔武器を借りてる様なものだから」

「ちょっと見せて貰って良いですか?」


≪紅の炎杖、ランクA+、魔力攻撃1950、魔力上昇・赤色属性強化・炎舞≫


 性能は良い。同じ様な物は作れるが、材料が足りない。赤色属性の物は爆斧・煉獄竜に合成してしまっているから。


「うーん…リンダさんって他に何色の属性がありますか?」

「私は赤、青、緑、黄色よ」

「おー、天才ですねー」

「…もっと褒めて」


 赤、青、緑、黄はかなり凄い。反対属性を二種類持っている時点で、努力では補えない才能がある。

 とりあえず良い武器が出来るまで、細身の剣の雷光剣を渡しておく。


「とりあえず、何か良い物手に入るまで…これで我慢して下さいね」


≪雷光剣・プラズマライザー、ランクS+、雷迅レベル100、攻撃2600、魔力攻撃2600、雷魔法・雷技・雷化≫


「…魔武器よね?」

「ええ、魔武器ですね」

「…いくつ持ってるの?」

「10は超えていたと思います」

「…」

「お嬢様…玉の輿ですよ」

「ルーア、黙って」


 ルーアとはここで別れる。

 リンダとルーア別れを惜しむ様に抱き合い、ムンゾ家を出て帝都の外へ歩いて向かう。



「ちょっとホークに連絡しますね」

「良いわよ」


『トト?どうしたの?』

「これから王都に帰るわー」

『あっ、中立連合の手続き終わったから私も行くよ!今どこ?』

「あー、じゃあ南門出た所で待ち合わせなー」


 ホークアイとの通信を終え、南門へ向かう。


「…あっ」

「どうしたの?」

「あーいや、王国に行く為の乗り物が、2人乗りなんですよ…アホークも乗るってなったらどうしようかなーって」


 SGドラゴンは2人乗り。

(入れなかったらホークをドラゴンの手で掴めば良いか)


「ふーん、どんな乗り物?」

「この世界には無い乗り物ですよ。お楽しみに」

「楽しみね」



 南門から出て、ホークアイを待つ。しばらく待っていると、ホークアイがやって来た。


「お待たせー」

「おう、待ったぞ。ちょっと移動するか」


 人気の無い所まで三人で移動。辺りを見渡し、人が居ない事を確認。


 収納からSGドラゴンを出した。

「_ひゃぁ!」

「う…わ…何これ…」

 3対の翼を広げる10メートルの白銀ドラゴン。驚くのは仕方無いので、背中のハッチを開けて手招き。

 フラフラとリンダとホークアイがやって来る。


「とまぁ…空を翔ぶ乗り物を作ったんだけどさ、2人乗りなんだよね」

「……作った?」

「そうそう。前の席は広いからなんとかなるか…ちょっと狭いけど」

「ちょっと頭が追い付かない…」

「私も…」


「はーい、じゃあ乗って乗って」


 縦に並んだ席の後ろにホークアイを押し込み、前の席にトトとリンダが座る。

 トトの前にリンダがすっぽり入っているので、後ろから抱き締めている様な形。

 リンダはいつもの通りの反応なので、前方のモニターを映して飛び立たせる。


「トト…こんな物を作って、君は戦争でもするのかい?」

「んな訳ねえだろ。馬車の旅にトラウマがあるから作っただけだ」


 三人は雑談しながら、呑気に目指す。


 現在、魔物の大移動が発生している王都へ。


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