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流れの武器屋  作者: はぎま
ロドニア帝国
84/163

悪のり。

 真っ暗な部屋の中で、キラキラと白く光る自称不壊の勇者トト。


 対するは、トトを睨み付ける剣聖エクレール。困惑した表情の占い師サアラ。騎士A、騎士B、騎士C。

 騎士Dは応援を呼びに階段をかけ上がる。



「掛かって来るが良い…帝国の騎士よ」


 急にキャラを変えたトトが救世剣の切っ先を向け、エクレールを挑発する。

 挑発と言ってもエクレールが闘いたそうにしていたから。

 人一倍不壊の勇者を崇拝している彼女は、トトが自称する不壊の勇者が許せない。


「私は…剣聖、エクレールだ」


 エクレールは目を細めて、トトに応じる様に剣の切っ先を向ける。その目には疑惑、怒り、そして期待が見えた。

 不壊の勇者を自称するこの男、それ相応の強さをみせないと容赦しないという意気をもって、高速の突きを繰り出した。


 キンッ!_


 トトが突きに合わせて剣を滑らせる。

 切っ先から鍔の部分まで滑らせ、そのままの勢いでエクレールの腕を突き刺す所でエクレールが脱力。

 腕を下ろし、その横をトトの剣が通っていく。


 エクレールが伸びきったトトの腕を斬り付ける所で、トトが左手をエクレールに向けた。


「甘い、衝撃」

 ドンッ!_「がはっ!」

 波打つ衝撃がエクレールの腹部に直撃。

 身体がくの字に折れ曲がる所で、トトが伸びた右腕を曲げ肘鉄を顔面にくらわす。


 ゴッ!鈍い音を立ててエクレールの身体が浮き。

 低姿勢で潜り込み、左手の掌底を鳩尾に。

 ドンッ_壁に激突し、エクレールが沈黙した。



「_なっ!速い…」

 一瞬の攻防でエクレールが沈黙。目で追えなかったサアラは立ち竦んだ。

 トトがサアラの前に立つ。

 剣聖が一瞬でやられるなら勝ち目は無い。サアラは諦めた様に両手を下ろし、殺すなら殺せという目を向ける。


「…これを、エクレールに」

「え、あ、はい」

 トトはサアラに小瓶を渡し、横を通り過ぎる。騎士ABCは威圧感で動けず、剣を持っているだけ。

 それだけの力の差があった。


 余裕を感じさせる足取りで階段を上っていくトトを眺めるしか出来なかった。


(ごめんエクレールさん…お詫びの品でも送ろうかな…顔に傷残らないよね?大丈夫だよね?)


 鎧の中で遠い目をするトトが階段を上りきり、少しの威圧を放ちながら出口を目指す。

 次々と騎士がやってきて剣を構え包囲されるが、トトの威圧の前では無力。

 苦しげに道を譲り、その後に悔しそうな表情を浮かべる者で溢れた。



 ゆっくりと見せ付ける様に歩き、城の外へと到着した。そこでは多くの騎士が取り囲み、トトの一挙一動に集中している。


「何者だ!ここが何処か解った上で来たなら断罪に処す!」


 この状況では、何を言っても無駄な事は解るので、辺りを見渡し、ホークアイの姿を探す。

 少し離れた所で、そわそわとしているイケメンを発見。囲む騎士を無視して、ホークアイの元へ歩いた。


「止まれ!攻撃準備!」


 騎士達がトトに攻撃を加える所で、トトが救世剣を掲げて見せ付ける。騎士達がざわめく中、ホークアイに話し掛けた。


「勇者よ、いざ、勝負」

「私が勝負を受ける!皆は下がって下さい!」


 少々演技がかったホークアイに、流石勇者という声が聞こえるが呆れた表情に気付く者は居なかった。



「お前は何者だ!_(ねぇ、何やってんの?)」


「私は、不壊の勇者。忘れ物を取りに来たんだよ…そう…私を裏切った者の命だ!_(いやー、転移陣見に来たら見付かっちゃってさぁ。ちょっと闘ってくんない?)」


「命だと!裏切った者とは誰だ!誰の命を奪った!_(良いけどさぁ、報酬期待してるよ)」


「くっくっく。それはこの国で一番偉い者が知っている_(ありがとう。後で黒騎士役もお願い)」


「…答える気はなさそうだな。行くぞ!聖破斬!_(あっ、そういう事ね)」


 ホークアイの聖剣が輝く。薄暗い朝に朝日が差す様な光。

 実際はただ眩しくしているだけなのだが、騎士達が期待を込めた表情でホークアイを見詰める。


 ギンッ!_


 振り下ろした聖剣と、下から振り上げた救世剣が激突。光の剣同士の激突により、辺り一面に眩しい光が発生。

 周りの目潰しに成功したホークアイとトトが、城壁まで飛び上がる。


 ギンッ!ギンッ!_


 城壁での目立つ闘いが始まった。外からも中からも見られるお立ち台の様な場所で、ピカピカと光る剣閃を放つ。

 騒ぎを聞き付けた騎士達、メイドや役人などが次々と見に来る。

 半ば見世物の様な状況が出来上がった。


(そろそろアヴァロスになってもらうから)

(分かったよ。なんか楽しいね)

(確かに、またやる?)

(やらない)


 トトが黒い珠を取り出し、ホークアイに押し付け。


「強制武装・アヴァロス」


 ガンッ!_


 武装が展開する前にホークアイに武器を押し付け、遥か遠くに弾き飛ばす。

 ボオォン!この音はホークアイが立てた音。

 周りから悲壮感漂う声が溢れた。


「……そんな」「勇者様が…」


「勇者は倒れた!私に挑戦する者は居るか!」


「はぁ、はぁ、俺が…相手だ!」


 トトの後ろから息が切れた声がする。だが凄くノリノリだ。


 黒い鎧を身に纏った黒騎士の姿。わざわざ違う方向から来たのだろう、気を使っているのが解る。


「トハーシ殿だ!」「トハーシ様!」「おお!」



 黒騎士の姿をしたホークアイ。ノリノリな理由は青白く光る刀の武器にある。これくれるの?これくれるの?というオーラがひしひしと感じられた。


≪羅刹刀・青夜叉、ランクS+、羅刹レベル250、攻撃3722、夜間攻撃力倍加・火光属性特攻・羅刹≫



「行くぞ!_(これくれるの?良いの?)」

「ふっ、いざ勝負_(良いぞー、後で俺にとどめ刺してねー)」


 国を巻き込んだ大人二人の悪ふざけは続く。

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