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流れの武器屋  作者: はぎま
ロドニア帝国
78/163

黒騎士と勇者

 回復アイテム、妖精の雫で破壊砲撃の反動を軽減出来た。たがまだ万全とは言えない。


「感謝…する。アヴァロスだ」


「ホークアイです。なんとか時間を稼ぐので、回復に専念して下さい」


「…あぁ」


 殻兵獣はまだ回復をしていない。攻めるには今しか無い。そう判断したホークアイは全力で行く。


『ググ…』

「決めさせてもらう。聖刃斬!」

 ザザン!聖なる刃が殻兵獣を斬る。


 斬り傷が綺麗に入っていた。


(やっぱり聖属性が弱点か。それに、武装すれば狂気に耐えられる…なるほど)



「行ける?よし!聖烈刃斬!」


 ガッ!「くっ」殻兵獣が拳で聖剣を弾く。

 ホークアイの胴ががら空きになった。


『エビルエナジー』ギユュュ!


 締め付けられる音が響き、黒い光がホークアイに直撃。


「ぐぅぅぅ…こんなもの!勇者魔法!聖光壁!」

 ガキン!聖なる壁が黒い光を押し退け弾く。


『グギ…エナジーヒール』

「はぁ、はぁ、ちょっと強いかな…でも回復が遅い…なんとか、なるか?」



(闘い方が上手いねぇ…そろそろ俺もやりますか)


 トトは立ち上がり、なんとか均衡を保っているホークアイを見る。このまま闘えばホークアイの武装がもたない。


「待たせた。なんとか闘える」


「了解しました。どうしますか?このままじゃやられます」


「これを使え。二刀流くらい出来るだろ?」


≪聖竜剣・セイントリヴァイヴァー、ランクーー、聖竜ーー、ーーー、ーーー≫


「聖竜剣…これなら…ありがたくお借りします」


 聖剣と聖竜剣を持つ姿に(似合い過ぎて引くわー)いつもの感想をもらした。



『エビルエナジー』ギユュュ!

 黒い光が放たれる。


「任せろ。破壊」バキン!


 黒い光が四散する中、ホークアイが側面に回り込み。


「流石!双聖烈斬!」ザザン!2対の聖剣で斬り裂く。

『…やりおる』


「俺も居るぞ。破壊の一撃・壱式」

 ドンッ!

 トトは正面から脳天を攻撃。


 怯んだ隙にホークアイが追撃。

「双聖竜咬!」ザシュッ!

 竜の顎の様に聖剣を交差し斬り裂く。



『分が…悪いか』斬り刻まれる中、殻兵獣の瞳が歪んでいった。


「うん?次は何を?破壊の一撃」


 バキン!殻兵獣は横凪ぎに放った一撃を躱さず、身体の向きを変えた。飛ばされる方向を調整する様に。


 ドオオォン!そのまま吹き飛ばされ、止まる事無く進路上にあった物に衝突。


「あ、やべ…」


 巨大な殻兵獣の身体。ギーガ・タイラントの身体に衝突した。



「アヴァロスさん。あれは…」


「ああ、あいつの元の身体…こういう場合は大抵…」



 ギユュュ!ギユュュ!絞られる音が響き、ギーガ・タイラントの巨大な身体が小さくなっていく。


「吸収…してる?」


「全部吸収されるとキツイ。破壊連波!」

 バキバキ!バキバキ!ギーガ・タイラントの身体を攻撃。破壊させていく。


「私も!双聖飛斬!」ドンッ!

 斬撃を飛ばし、ギーガ・タイラントの身体を攻撃していく。



 バキン!バキン!


『これで…充分』


 半分程破壊したが、大分元の身体を吸収し殻兵獣の力は増していた。


「ちっ、強いな。_っ!」バコンッ!

 高速で距離を詰められぶん殴られる。

『連撃…連殺』バコンッ!バコンッ!バコンッ!

「ぐはぁっ!」トトの身体が宙を舞う。


「アヴァロスさん!…このままじゃ」


 ドサッ。「痛え…なぁ」地面に打ち捨てられ、薄暗くなって来た空を見上げる。


 そして無理をして立ち上がるが、足がガクガクとしていた。



「くそっ!聖剣奥義!」

 トトに向かっていた殻兵獣を強襲。

「シャイニングエンド!」ザンッ!


『甘い』手で受けられ『連撃』バコンッ!バコンッ!


「ぐはぁっ!」ホークアイは倒れ、立ち上がりそうに無い。



『グオオオォォ!』殻兵獣が雄叫びを上げる。自分の勝ちだと言う様に。


「…まだ…その雄叫びは…早いんじゃあないかい?」


 ガクガクとした足に鞭打って歩き出すが、中々上手く歩けない。回復を試みるが、時間が足りなかった。




『とどめを…刺そう』


 歪んだ瞳を向けられ殻兵獣が一歩踏み出した時。



 ゴオオオ!殻兵獣が炎に包まれた。




「はぁ、はぁ…トハ、シ。助け…に来た…よ」


 歯を食い縛り、狂気に耐えながらも凛と立つリンダ。泣きそうなのに、強がっているのが解る。


「…あなたって人は」


「私が…トハシを…守るんだ!バーニング!グレネード!」


 ゴゴゴォォ!『…』炎に包まれながらも殻兵獣はリンダを見据える。


「はぁ…リンダさん…死にたいんですか?」


「…トハシと…死ねるなら…良い…よ」


「…はははっ、もう…良い女ですねぇ」


 このままではリンダの心が壊れる。だが、破壊神剣を仕舞えば全員死ぬ。



「リンダさん、お願いがあるんですが…」


「何…よ」


「…明日、俺は筋肉痛で動けなくなります…だから、看病してくれませんか?」


「ふん…喜ん…で」


 トトは聖印の守りを取り出し、リンダの首に掛ける。これで少しは保つが、時間は無いのには変わり無い。



『人とは…不思議なもの…だな』


「なんだ?羨ましいか?」


『いや…我等には無い…感情だからな』


 リンダを見据えていた殻兵獣。攻撃を加えなかったのは観察の為なのか、羨望だったのかは解らない。興味を持った事は確かだったが。



 トトは破壊神剣を掲げる。殻兵獣が警戒する中、トトは能力を解放した。


「これ…寿命縮むし…俺も動けなくなるんだよなぁ…仕方無いか。封印禁術・千手の鎖!」


 ジャラジャラ!白と黒の斑模様をした鎖が殻兵獣に絡み付く。腰から下が鎖で雁字搦めになり動けない。


『ぬっ…これは…』


 そして、トトにも殻兵獣と同じ場所に鎖が巻き付いていく。


「くっ…動けないだろ?代わりに…俺も同じ所が動かなくなるんだけどな…」


 向かい合い、お互い動けない状態。距離は10メートル程離れているので、剣や拳は届かない。だがそれで充分だった。



 キイィィィィ!急激な魔力の吸い込み。


『…これは…参った…な』


 キイィィィィ!甲高い音が鳴り響く。


「エビルエナジーは破壊するから意味無いぜ。リンダさん!俺の後ろへ!あとそこのクソ勇者持って来て!」


「わ、わかった!」


 リンダに引き摺られていくホークアイを確認。武装が解けている。トトは少し焦りながら浄化兵器を殻兵獣に向け、魔力をかき集める。



「悪いな…俺のせいで起こしちまってさ」


『どの道…近い内…目覚めていた』


 キイィィィィ!浄化兵器の魔力が溜まる。



「ん?どういう事だ?そもそも、お前はどんな存在?」


『我等は…カケラだ』


「トハシ…もう…駄目…」


「…時間切れだ。…じゃあな。リンダさん、目をしっかり閉じて」



 ポチッと浄化兵器の発射ボタンを押す。



『また…天上で…会おう…トハシ』


 カッ!視界が真っ白く染まり。


 高エネルギーレーザーが発射され。


 ゴオオオオ!遅れて轟音が鳴り響く。



「…」



 破壊神剣を仕舞い、狂気が消え去る。


 そして暗くなった夜空を照らした光の柱が消え去り、静寂が訪れた。


「…」



「くっ…うっ…アヴァロスさん…終わったんですか?」


 目が覚めたホークアイが、頭を押さえながらゆっくりと立ち上がる。辺りを見渡し、安堵の表情を浮かべた。


 リンダは黙ってトトとホークアイを眺めている。


「あぁ、終わった。……」


「貴方は本当に凄い。尊敬します」



 ホークアイが拳を握りこちらに向けてきた。トトは拳を合わせる挨拶はこちらの世界でもあるんだなーと思いながら、拳を握る。



 ようやく近付いて来た軍は、圧倒的な力を持つ黒騎士と、勇者という名前に恥じない働きをしたホークアイに称賛を贈る様に湧いている。


 共に闘った黒騎士と勇者。


 黒騎士と勇者が拳を合わせる瞬間に立ち会う。


 この二人の物語は永遠に語られるであろうと帝国の者達は確信していた。



 そして、黒騎士の拳が勇者の拳とすれ違い



「幻のひだりぃ!」勇者の頬に突き刺さった。


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