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流れの武器屋  作者: はぎま
ロドニア帝国
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帝都入り

「これどうしようかなぁ…」


≪救世剣・シクザールメサイア、ランクーー、攻撃ーー、ーーー≫


 タケルが持っていた真の聖剣。一応トトが使える様にはしてあるが、ただバレットベルトに入れておくのも勿体無い気がした。


「タケルの墓があればお供えしたいけど…無いんだろうなぁ」


 帝国に裏切られた本物の不懐の勇者。墓など無い気がした。



「せめて皇帝くらいには認めて欲しいよなぁ…本物の勇者はターケルだって。おっ?見えてきたなー。デカイ城があるから間違い無い」


 王都から帝都まで、SGドラゴンで1時間程で到着した。


「へぇー、1時間で着くんだなぁ…飛行機で1時間だから、東京から大阪くらいの距離か?」



 街並みは王都に似ている。規模は違うが、王都の街並みは帝都を参考にしていると聞いたのは本当だろう。


「帝都の資料だと、北区が職人街、西区が学業系、東区が商業、南区が役所関係、中央区が貴族街に皇城か…まんまパクりだな」


 王都と同じなら迷う事は無いだろう。とりあえず帝都に入りたいが、空から入るにはマナー違反なので門から入る。


 人目の付かない街道の外れまで行き、SGドラゴンから降りる。そこから帝都に向けて歩き出した。



「うーん…またクソ男クソ男言われるのも飽きたよなぁ…なんかあったっけ?」


≪偽装の耳飾り、ランクA≫

「ダンジョンで見つけたヤツがあったな…おー!顔も変えれて職業も変えれるしレベルも付けれる!…でもクソなピアスと合成してもクソが勝つから困る。そのまま付けても高ランクの鑑定だと見抜かれるし…まっ、SSランクにしちまえば良いか。合成」


 偽装の耳飾りにマギマタイト、オリハタイト等を合成し、無理矢理SSランクにする。

≪偽装しています、ランクーー、ーーー≫


「まぁ…偽装してみよう」

 


≪トト、ニートレベル1、強さ5≫

「おー!やったー!レベルが付いた!ニートは嫌だな…職業変えれるかな?」


≪トト、自宅警備員レベル1、強さ5≫

「ん?間違えたかな?…いや、このオーラ…呪怨砲、邪魔しないでよ」


≪トハーシ、変態レベル1、強さ5≫

「おい…ん?呪怨砲の仕業じゃない?…次は誰だよ…タケル、てめえか!」


≪トハーシ、マブギジレベル072、強さ444≫

「あーもう!お前らがいじるから壊れたじゃねえか!しかもレベル072は恥ずかしい!」


 一応レベルがあるので、仕方無くこのままに。また合成しようとしたが、バグを起こした物を再合成しても無駄だと感じたので放置した。


 ため息を付きながら門へ到着。列に並び、順番が来た時に名前が違うのに気付き身分証は無くしたと言う。代わりに金貨1枚を支払い中へ。



「王都よりは人が居るなぁ…まぁ広いし当然か」


 大通りを歩いていると、向こうに大きな金属の像が見える。何かシンボルかな?と近付いて眺めてみた。


「えーっと…説明はっと…あった。不懐の勇者・オーランド公爵の像、魔王討伐の功績を称える…か」


 多くの若者が居るので、恋人の待ち合わせスポットみたいと感じながらも像をまじまじと眺める。


「これがオーランド公爵か。なんか色々書いてあるけどサクセスストーリー的な何かだな」


 オーランド公爵家の年表なども書かれている。まだ物語を読んでいないが、それだけ知名度のある物語なのだろう。



 とりあえずどうするか考える。これだけ広い帝都なので、絞り混まないと中途半端になってしまう。


「うーん…リストとしては…クソイケメンを殴る、帝国の転移魔導具を使えるか調べる、オーランド公爵家の見学、買い物…サムスン魔導具店の本店があるんだっけ?後は…ヴァイラ王国の情報か…」


 1週間くらいなら滞在しても問題は無いので、とりあえず宿を探す。


 王都と同じなら、中央区寄りの大通りに面している場所には高級宿屋が並んでいる筈なので、少し歩いて探してみる。



「んー、あったあった。けど、泊まるには紹介状がいるのか…紹介状のいらない所は…ここかな」


 少し割高だが、紹介状のいらない宿屋を発見。丁度部屋が空いているというのでそこに決めた。


 正直部屋は王都の宿屋、安らぎの鳥の方が良かった。だが滞在は1週間くらいなので我慢は出来る。


「高いのに微妙とか残念だなぁ…いや、あの宿屋が良かっただけか。さて、どうしようかな」


 困った時のアミダくじ。リストの内容でアミダくじをしてみる。


「あみだくじー、あみだくじーっと、買い物かぁ…さっきしたばかりなんだけど、まぁいいか」



 東区の商業街へと足を運ぶ。


 背中の剣をカタカタさせながら。



 ______



 皇城にて。


「急に呼び出して何の用です?私はこの国の管轄では無いんですけど」


「急に申し訳ありません。力を貸して頂けないかと…この国に厄災が迫っております。どうか」


「力を貸すって言われても、私じゃなくても帝国の中立管理官とか、剣聖さんとか居るじゃないですか。そもそも厄災ってなんです?」


 占い師のサアラと青の勇者であるホークアイが対面して座っている。呼び出されたホークアイは不機嫌だ。勇者というだけで呼び出す権力者達にうんざりしているからだが。



「過去、厄災を予言した時は魔王が現れました…今回はそれに並んだ物が現れるかもしれません…」


「厄災の魔王ですか…不懐の勇者の時代ですね。正直、クラス8以上の存在なんて、私には力不足ですよ。勇者というだけで呼び出すのは勘弁して貰いたいですねぇ」


 何かも解らない物の為に無駄な時間は使いたく無い。帝国には過剰と取れる程に戦力は集まっている。それこそホークアイよりも強い者も数多く居る。



「勿論、剣聖様や槍聖様など各方面に声を掛けています。皇城に居てくれるだけでも良いので、宜しくお願い致します。勿論報酬は払います」


「…はぁ…私は今、中立連合の手続きで来ているんですよ。その手続きが滞る事があれば直ぐにでも帰ります。それで良いなら…」


「あっ、ありがとうございます!助かります!」


「ところで、何故貴女が私の交渉をしているんです?あまり表に出ない存在ですよね?」


「…皇帝様がホークアイ様なら私が適任と…何故かはわかりませんが…」


「…なるほど。サアラさん美人ですから、確かに適任です。ですが皇帝は解っていないですねぇ」


 首を傾げるサアラは、青い髪が綺麗な10人中10人が美人と答える程に美人だ。皇城内でも人気がある存在だが、ホークアイは首を横に振る。



「何が解っていないのですか?」


「ふふっ、それは秘密です…まぁ、誰が来ても了承していたというだけなんで気にしないでください。では、手続きに滞りが無い様にお願いします」


 少し寂しそうに笑うホークアイは、部屋を出て客間の方へ向かう。



「…厄災の魔王に並ぶ存在か…不懐の勇者は1人で倒したって話だけど…当時の帝国の戦力よりも不懐の勇者1人の方が強かったって事だよな。厄災の魔王も不懐の勇者と同じくらいの強さと考えると…今の帝国は勝てないな」


 不懐の勇者が居た時代は、帝国の戦力は今の2倍はあったと言われている。


「武装はしたくないんだよなぁ」


 ホークアイの魔力は聖剣に馴染んで来たので、武装は出来る様になった。しかし武装なんてしたら真の勇者として担ぎ上げられる未来しか見えない。


「はぁ…死ぬよりましか」

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