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流れの武器屋  作者: はぎま
ニーソの街
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武器を作ろう2

「金貨1枚と銀貨5枚になります。いつもありがとうございます」


「はい、ありがとうございます(うわっ…ハゲのおっさんの机…ギルドの会計とか沢山書類がある…きっと受付嬢に押し付けられているんだな…)…ではまた」



 おっさん頑張れと心の中でエールを送る。


 時刻は夕方。ギルドで麻袋と報酬を貰い、薬屋へ。収納の指輪を作るために大食い蛙の胃袋の粉末を買う為だ。


 一度ハゲのおっさんが居なくて、違う受付嬢に査定して貰っている。いつもなら50株で金貨1枚+αの筈だったが、規定の半額…銀貨5枚。文句を言おうと思ったが、新人が調子に乗っていると思われるのが嫌だったので、社会勉強だと思い気持ちを飲み込んだ。



「おっさんは良い人だよなー。ピアスしてたけど昔はヤンチャしてたりして。とりあえず他の受付には並ばないでおこう。損した気になる」



 受付嬢は美人だから並びたくなるが、きっと罠だと言い聞かせた。


 薬屋に到着。中に入り昨日は見ていなかった棚を眺める。



「そういやポーションと合成していないな。薬草ナイフを強化しなきゃ。……漢方とか合成したら健康武器になりそう。正直選択肢が多すぎて困るんだよなー。やっぱり容量の大きな収納リングじゃないと…」


「いらっしゃい。昨日の坊やか。食欲は戻ったかい?」


「ああ、お陰様で。でもまだ不安なので胃袋の粉末を3包下さい」


「はいよ。銀貨9枚ね。後は良いかい?」


「大丈夫です。それじゃ」



 薬屋を出て、少し奥にある服屋に入る。流石に着替えが欲しいからだ。



「いらっしゃいませー」


「あの、金貨2枚で下着と着替え買えるだけ下さい。色は黒系統で」


「はーい。着替えは3セットで下着と肌着は5セットですねー。ありがとうございましたー」


「はい、どうも」



 まだファッションにはお金はかけたくないので、地味な服装で纏める。着替えを収納し、雑貨屋へ。



「いらっしゃい」


「身体を洗う時に付ける物ってありますか?それと歯ブラシとかあれば」


「ああ、泡の実ね。歯ブラシは貴族が使うもんだね。庶民が歯を磨くのは泡の枝を使うんだ。1つ銅貨1枚だよ」


「じゃあ10個ずつ下さい。後はコップとお皿、水を入れる皮袋を」



 銀貨3枚を渡し、泡の実と枝、木で出来た食器と皮袋を購入。


 雑貨屋を出て、次は武器屋へ向かう。夕方という事もあり、冒険者の姿が多い。武器屋にも五人程先客が居たが、気にせずお買い得コーナーを物色。



「あのおっさん安い武器しか買えないんだな」


「確か、薬草ばかり採っているのよね。それしか能が無いなんて惨めね」


「こら、駄目だぞ。おっさんだって必死に生きているんだ。いくら能無しでも可哀想だぞ」


「「クスクス」」


「……(樽の中には25本の武器…色々あるし、全部買おうかな)すみません。樽の中の武器全部下さい」



 店員に金貨2枚と銀貨5枚を渡し、武器を縄で縛り抱えて武器屋を出る。中に居た冒険者に笑われたが、次に作る武器で頭が一杯だったので気にせず店を出た。



「重たい…収納…10本も入らないか。それでも楽になったから早く帰ろう」



 なんとか汗だくになりながら宿屋へ到着。荷物を置いて身体を洗い、凝り固まった身体をストレッチで伸ばす。



「よし!先ずは収納の指輪を作ろう。作成!」


 小銭入れから出した100円玉3枚と大食い蛙の胃袋の粉末を1つずつ合成しトゲのある指輪を作成した。


「これで大分楽になる。貴重品入れ、武器入れ、素材入れ、日用品入れにしよう」


 作った指輪を左手の親指、人差し指、中指に嵌める。手をグーパーして感触を確認。



「後は武器屋で買ったボロい武器をリサイクルしよう。剣が10本、杖が2本、斧が3本、槍が5本、金槌が3本、これは棒?いやメイスが1本、鞭が1本」



 それぞれ錆びたり、欠けたりして使い物にならなそうだがトトには宝の山に見える。1本しか無いメイスと鞭は収納し、複数ある武器はそのまま強化する事にした。



「先ずは剣。10本分を1つに纏めてみよう。確か炭素が2%以下の鉄が鋼鉄になるんだっけ?やってみるか。作成」



 剣が淡く光り合わさる。不純物って何処に行くんだろうと考えながら剣のイメージを固める。


 刃渡り1メートル。鈍く光る銀色の剣が出来上がった。握ってみると適度な重さ。よく磨がれた様な鋭さ。満足出来る出来だった。



「重さは10本分じゃ無いのか。武器作成って不思議な能力だよな」



 ビュンッ。剣を振ってみると綺麗な軌道を描き振りやすい。長年愛用している武器の様に、手に吸い付く感覚。



「剣なんて振るの初めてなのにこの感覚。もしかして武器の方にレベルが付いて、武器によって相応の力が発揮出来るとか?要検証か…」



 自分で驚く程の綺麗な動きを繰り返し、鋼鉄の剣をしまい次の武器へ。



「次は杖…先端に魔石があるけど魔力の補助かな?火とか出すなら属性石が必要だけど…無属性とかあるのかな?…_行けるか?作成!」



 杖が合わさり、指揮棒の様な杖の先端に魔石が付いた魔法杖を作成した。室内では試し撃ちが出来ないので、明日検証する事に。


 その調子で、鋼鉄の斧、鋼鉄の槍を作成した。



「後は金槌だけど、手を振り上げた後に指輪を出せば直ぐに振り下ろせるから…鋼鉄でかつ重さ重視で行くか」



 軸の曲がった1メートル程の金槌を並べ、鋼鉄の鎚を合成し作成する。170センチの身長程の柄の先端に、50センチ四方の四角い金属の塊。各面に大きな突起の付いた、破壊力のありそうなバトルハンマーが完成した。



「今度はボロい金槌3本以上の重さ…よく分からないな…でもこれ、痛そう…飛び上がって収納から出せば、ここら辺の魔物には一撃必殺だな」



 最後に薬草ナイフを取り出し、ポーションと合成しポーションナイフを作成した、これで軽い怪我は怖くない。3センチと短いので、10円玉を取り出し刃渡り5センチの細身のナイフにする。



「これで持ちやすい。ポーションナイフって回数制限あるのかな?」



 鋼鉄セットを作り終え、ベッドに横たわり天井を見詰める。



「明日はオークに挑戦してみようかな…」



 頭の中でイメージトレーニングをしていたが、1日働いた疲れもあり直ぐに眠りに付いた。

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