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流れの武器屋  作者: はぎま
迷宮・古壁の回廊
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帰って来たけど…2

「ふぃー…危ない危ない。あんな可愛い人に責められたら泣く自信があるよ」


 オレンジ色の髪が綺麗で笑顔の可愛いクルミナ。嫌悪の目を向けられるのは耐えられなかった。


 トボトボと夕方の王都を歩く。仕事を終えて帰る人、飲みに行く人、これから仕事の人々とすれ違いながらボーっと考えていた。



(…俺はこれからどうなるんだろうな。定職に就く?…レベルが無いから人間関係がなぁ…。俺はこの世界から見たら異端…稼げるだけ稼いで隠居が無難だよな…この身体だから、恋愛なんて出来ないだろうし…そもそもクソ男を好きになる物好きに出会う確率は低いな)


 ため息を漏らしながら王都を歩き、黒ギルドに到着。受付に確認すると、まだニグレットは帰っていないそうだ。週末にトリスとの時間を作る為に、平日は忙しいのだろう。


 とりあえず受付のお姉さんに、帰っている事を伝言してもらう。


「次は…ミランダさんか」


 隣の赤ギルドへ。奥へ進み、呼び鈴を鳴らす。するとミランダではなく、別の事務員が対応。聞くと退職して冒険者活動を再開するらしい。


 用は無いので赤ギルドを出てとぼとぼ歩く。


「…猫耳お姉さんが一緒に居そうだから、無理して会わなくても良いか。その内会うと思うし…」



 宿に戻る前に、北区にある丘へ行く事にした。少し歩くと到着。夕陽が沈む頃なので誰も居ない。そしてベンチを見ても誰も居ない。


「…アイリスさんも忙しいのかな?」


 誰も来る様子は無い。仕方無く宿へ戻る。


「お帰りなさいませ」

「はい、あの一応宿の延長したいんですけど…また1ヶ月かな」


「ありがとうございます」


「あと、俺を訪ねて来る人に、帰還している旨は伝えて貰えると助かります。またちょっと出掛けるので」


「了解致しました」


 宿の延長だけ済ませて出る。うーんと伸びをしてから王都の門へと歩き出した。



「帰って来たけど…誰にも会えないってオチか。正直そんな気はしてたんだよ…」


 暗くなってきた空を見上げながら歩き、王都を出る。正直何かしていないと寂しさを紛らわせなかった。


 街道を北に向かう。骨董品店から買った宝の地図の事を思い出したので、気分転換に行ってみる。


「魔鉄結晶とか魔水晶も切れたし、鉱山行こう。宝の地図には期待してないけど、良い鉱石には期待だな。とりあえずもう少し爆竜の戦士に慣れたら煉獄火炎を合成しようかっと、武装」



 爆竜の戦士に武装して駆け足で進む。翼は出し入れ可能なので仕舞ってある。


「おー!前より早い!」


 辺りはもう暗くなっている。気にせず暫く進んでいると、遠くの前方から馬車が2台やって来るのが見えた。


 翼を出し、上空に上がる。少し怖かったので50メートルも上がっていないが、暗いので馬車からは見えないと踏んだ。



(んー?綺麗な馬車…貴族かな。だとしたら後方の馬車は騎士団か?こんな夜に走っているって事は…)


 目線を馬車の奥へ向けてみる。大きな魔物に追われている様で、御者に焦りが見える。


 後方の馬車が迎撃しているが、効果がある様に見えない。


(魔物は…っとこの距離でも鑑定出来そう)


≪レッサーキマイラ、クラス5、強さ6750、合成魔獣の出来損ない≫



 クラス5が出るなんて珍しいな程度に思っているが、王都周辺では異常事態。騎士団はクラス4には対応出来そうな面子だが、クラス5には役不足。


 トトは上空から聖銃を抜き「サンダーレーザー!」バシュン!撃ち抜く。


 ドサッ。っと急にキマイラが倒れ、馬車が止まる。恐る恐る近付いた馬車の者達は混乱していた。


 特に話す事も無いので、その隙に飛び去る。


「クラス5なんて出るんだ。それにしては騎士団が弱いけど大丈夫なのかな?」



 決して大丈夫では無いのだが、トトには関係無い事。特に関心も無く、鉱山に向けて飛んでいく。


「クラス4も結構居るなー。危ないし一応仕留めとくか」


 目に付いた魔物を撃ち抜き、滑空しながら収納。シューティングみたいだなと思った頃には鉱山に到着していた。


 深夜に着いたので、門は閉まっている。悪い事とは思いながらも、坑道まで隠れて飛行。




「到着っと。前より断然早い。飛行機とか作ったらもっと早くなりそう」


 素材が集まったら早速作ろうと思いながら、坑道を突き進む。最奥までは距離があるので駆け足で。


 数時間して到着。前に蓋をした時と同じ。誰もトトが掘った坑道には気付いていなかった。


 少し掘り起こして、誰かが来たら困るのでまた蓋をする。そして自分が掘った緩やかに下に行く坑道を下りていく。


「とりあえず魔鋼の武器は片手だし時間が掛かるから、材料だけかな。ロミオさんの魔導具に空間系統があったから、素材は相当量入る」


 ロミオから大人買いした魔導具は半分くらいしか見れて無いが、多種多様にある。メイン素材というよりは、サブの素材が大半だが黒金貨40枚という値段は決して悪い買い物では無かった。それはトトにとってはという話だが。



「そろそろ魔鉄が出る地帯か。掘ると熱中しちゃうから、先に宝の地図の確認だな」


 宝の地図を広げて、地図と照らし合わせる。ベタな感じの地図で、宝の場所にバツ印が書かれていた。


「ここから北東に行けば円形の山脈の中心、それより手前らへんか…勘を信じよう」



≪パワー・ドリルアーム、ランクC+、壊し屋レベル51、攻撃302、大ドリル≫


 前に使ったドリルを取り出したが、今一性能に不安が残るので強化してみる。


≪ストロング・ドリル、ランクB+、ドリル野郎レベル50、攻撃750、特大ドリル≫


 両手で持つ直径がトトの身長ぐらいの特大ドリルを作成。スイッチ1つで勝手に回転する優れもの。歩く速度で採掘出来るのでかなり早い速度。


 掘った後の岩石は、サクリファイスでドリルの強化に充てているのでトトの負担も少ない。



 ガガガガ!「前の何倍も早いなー」


 ガガガガ!「鉱脈探知機とか出来ないかな」


 ガガガガ!「でも両手塞がってるし、振動や音で知らせるタイプでもドリルを持っている以上気付かないんだよなー」


 ガガガガ!「…段々やわらかくなってきた」


 ザザザザ!「おっ、砂地?」



 砂地が現れ、少し考えた後に上へ行く事にした。くの字を重ねる様に削りながら上っていく。



 ガガガガ!「もしお宝あったらドリルでぶち抜きそう…」


 ガガガガ!「上に家とか無いよね?」


 ガガガガ!「地図には山脈だけだから大丈夫かな?」


 ザザザザ!「おっ、抜けたかな」


 地上に到達。少し乾いた大地で、特に家などは無い。魔物も見当たらない不思議な場所。周囲を見渡すと、高い山に囲まれ盆地の様になっている。地図には円形に山脈が描かれており、この盆地の事は描かれていない。


「高い山に囲まれている…RPGとかで空を飛ぶ乗り物に乗ったら行ける様な場所だな。広そうだし後で探検しよ」



 楽しみが増えたトト。大体の場所は合っていたので、今度は下に掘り進む。


 途中から掘る幅を広げながら掘り続けると、ふとドリルの感じが変わった。


「何だ?硬い地盤か?」


≪魔鉄結晶、ランクC≫

「おっ、やったねぇ!」


 魔鉄結晶の岩盤が現れる。以前はこの中に魔水晶があったので、慎重にドリルで削っていく。


 ガガガガ!「よし、抜けた…」


 岩盤を抜けた先、空洞があったので中を確認。


≪魔銀結晶、ランクB≫

≪魔水晶、ランクB≫

≪魔金結晶、ランクA≫

≪金鉱石、ランクB-≫

≪銀鉱石、ランクB-≫

≪オリハタイト、ランクA+≫

≪ディープレッド、ランクB≫

≪クリアホワイト、ランクB≫

≪マギマタイト、ランクS≫


「えっ?凄くね?奥に続いているし…大鉱脈?」


 至る所に貴重な鉱石を発見出来る。奥にも続いており、呆然としながら金銀等に光る鉱脈を眺めた。



「…いや、どうしよう。これだけの量…半端無いな。食料は沢山あるし、上に拠点作って引き篭もるか?というか宝の地図は本物だったのか…」


 誰にも邪魔されないゆっくり出来る場所。トトは望んでいた場所を見付けてしまった瞬間だった。


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