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流れの武器屋  作者: はぎま
迷宮・古壁の回廊
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 王都に到着したホークアイとミランダ。


 二人でギルドに行き報告を済ませた。ミランダは1日休暇を得たので心と身体を休める為に実家へ行き、ホークアイはニグレットの元へ向かった。



「で?のこのこ逃げ帰って来たのかい…」


「…ああ」


「どうするんだ?トリスはショックでベッドから出てこないんだよ?」


「…すまない。と言っても無駄か…トトは絶対に戻って来る。これは確実に言えるよ」


「ふーん。本当かねぇ」


「ああ。トトから、ニグには言っても良いって了解を得ているから言うけど…トトは私より強い。正直…格の違いを見せ付けられたよ…」



 ニグレットに睨まれるホークアイは、へっぽこな剣を取り出し解放。光輝く聖剣に変化した。


≪聖剣・ブリリアント・ブレイド、ランクS-、攻撃2150、聖属性・聖剣技・全能力上昇≫


「…聖剣だと?…お前職業が」


「そう…勇者になったよ。この聖剣はトトに貰ったんだ」


「…色々持っていると思ったが、聖剣まで持っていたなんてな。ふっ、面白い奴」


「本当に面白いよトトは。…ねぇニグ。私はこの聖剣をまだ使いこなせていない。使いこなす為に…いや違うな。トトに追い付いて、並び立つには自分を鍛え直さなきゃいけないんだ」


「…辞めるのか?」


「ああ、辞める。五月雨は折れたし、ダンジョンでトニトルス・ロペラを回収した。辞めるには今しかチャンスが無いんだよ」



 ただ辞めるのでは無く、結果を出して辞める。筋は通した。ニグレットは若いねぇ…と頬杖を付く。


「まっ、自由にしな。私は…トトを骨抜きにしてから考えるよ」


「いや、ほんとやめてあげて…ただでさえ軽く女性不信なのに」


「そうなのかい?あー、トトはレベルが無かったか。じゃあライバルが少ないから良いって事で。トトを好きな女は居ないんだろ?」


「んー…多分。ミランダちゃんはよく解らないから微妙なライン。あっ、アイリス・フォートと友達らしいよ」


「アイリス・フォート…そういえばトリスが言っていたねぇ…。ホーク、ちょっと散歩に行ってくるから留守番頼む」



 ホークアイが止める間も無く、ニグレットは部屋を出ていく。ホークアイは散歩とか嘘だろ…と思いながら立ち尽くした。


「ヤバいな…ニグが動いた」


 不安しか無いが、ホークアイにニグレットを止められる訳も無く。ドカッとソファーに座り天を仰ぐ。


「……」


 隣の部屋から聞こえる泣き声に、胸を痛めていた。



 ______




 ゴオオオ!


 吹雪の中、雪原を進むトト。


 白雪杖の効果で寒くは無いが、視界が悪い。


「この地図合ってるのか?真っ直ぐ進んでるけど着かないぞ」


 今までの階層とは比べ物にならない広さ。



「他の冒険者は数十人が斥候、探索、物資、攻略組とかに分かれてダンジョンを攻めるらしいけど…こういう所も攻略出来るのかな?」


 ホークアイから聞いた一般的な攻略法。人数が多い程に思惑等が絡み合うので、縁がない話だ。


 もっと速く進めるのだが、吹雪による視界不良の癖に魔物の視界は良好。不意討ちで無駄に身代わりの指輪を鳴らしたく無いので、慎重に進む。


 ゴオオオ!


「俺って紙装甲だからなぁ…強化はしてるんだけど…何か良い方法は…盾?…邪魔だよなぁ」


 何回身代わりの指輪をパリンパリンさせたか解らない。身代わりの数はまだあるが、有限だ。


 思考の海に潜りながら、真っ白な視界の中を進む。



「おっ?」


 そして、急に吹雪が止み。


 氷で出来た下りの階段が現れた。


「おー!階段発見!」


 ホッと一息付きながら階段を目指す。


 ゴゴゴゴ!「あー…やっぱり?」


 ドオオン!階段の前に現れた巨人。


 氷の巨人と大きさは同じ。だが手には大きな氷の斧を持ち、しっかりと頭以外を青い鎧で纏っている戦士の姿。


≪氷凍のカミル、クラス7、強さ26390、勇者物語に登場する氷の巨人≫


「カミルって…白雪杖の原料に使ったカミルの涙のカミル?勇者物語って鑑定さんの情報源は何処から来てるんだ?…まぁそれよりも…」


『凍れ…全て凍れ』


「俺が出会うクラス7は全部喋るタイプじゃねえか…帰ったらクソイケメンは殴ろう」



 正直身体の負担が大きいので、強い武装はあまりしたくない。数値以上に感じる強さを感じながら、何の武器を使うか悩んだ。


「どうするかな…爆竜と聖竜は負担が大きいから…_ちっ、来るか」


 ドオン!トトが横に飛び、氷の斧が雪原を割る。



「うへぇ…当たったら痛いじゃ済まないな…サクリファイス!」


 邪妖刀を抜き、弱い武器を犠牲にしながらカミルの足元へ。


「邪剛斬!」ガシュン!足元を斬り付けるが鎧を斬れない。


「うわ硬い!」『氷羅刹』ドゴン!斧の一撃。



 雪原に谷が出来る程の威力。


「お次は!邪突連華!」ガッガッガッガッ!鎧の継ぎ目を突き攻撃するも上手く阻まれる。


 トトは素早く移動。距離を取り後方へ。


≪カミルの斧、ランクS-、攻撃1950、氷斧技・氷の領域≫


≪カミルの鎧、ランクS-、青色属性吸収・吸収時に防御力倍加≫


「うわぁ…魔武器に魔防具…ふざけんなよ…しかもセット装備」


 本気を出さないと死ぬと直感。爆竜の戦斧を取り出す。



≪爆竜の戦斧、ランクーー、ーーー、攻撃ーーー、ーーー≫


「おうりゃ!武装!」


 ボオウン!爆炎が巻き起こり、爆竜の戦士に武装。


『氷牙斬』ゴオオオ!「当たるかよ!」


 氷の斧が迫り、竜の翼を広げたトトは上に飛び上がる。


 カミルの頭上を旋回。



「一撃で決める!爆竜奥義!」


 爆竜の戦斧を振り上げ力を溜める。そして、それを見たカミルが青いオーラを放つ。


『氷羅刹』「紅の覇爆!」


 ザンッ!力を込め、爆竜の戦斧を頭上から一気に振り下ろす。


 ドゴオン!カミルは氷の斧で受けるが弾かれた。


「行けええ!」ドドドド!遅れて来る連続爆発。


 ドドドド!身体全体を覆う爆発が響く。



「はぁ…はぁ…武装解除」


 武装の影響で火傷が酷い。直ぐ様回復をして爆発が終わるのを待った。


「……」


 爆発が収まりカミルの姿が現れる。


 青い鎧はボロボロに崩れ、上半身が露になっていた。


「あん?…ほとんど…無傷」


 所々火傷はあるが、気にならない程度の傷。鎧だけがボロボロだった。

『凍れ凍れ凍れ』



「あー…もしかして…」


≪白雪杖・クロウカシス、ランクS、白雪姫レベル45、魔力攻撃2270、青魔法・青色属性吸収・赤色属性無効・魔力超上昇≫


「この杖の能力はカミルの涙がベース…赤色属性無効って事は、赤色属性がほとんど効かないのか…_うおっ!」


 ドゴン!迫る氷の斧から退避。カミルを見ると怒りの形相。


 直ぐに爆竜の戦斧を収納。超へっぽこな剣を抜き、解放する。


「んー…どうしよう。鎧が無いから防御力は下がったのは確か…耐性も下がったか?」


 退避しながら加速。カミルの後ろに回り込む。



「広いから大丈夫!呪怨砲!」

 禍禍しいバズーカを取り出し、後方から放つ。


 ゴオオオ!_オオォォ!_ギィヤァァァ!_ウランデヤルウランデヤル!_オオォォ!_タスケテタスケテタスケテ!_オオォォ!_ハァハァオジョウチャンコノパンツハイテヨ_オオォォ!_イヤァァァ!_ノロッテヤル!


「_ひぃ!やっぱり恐い!」


 カミルの身体が黒く染まっていく。


≪氷凍のカミル、クラス7、強さ26390、勇者物語に登場する氷の巨人、弱点・聖光土、毒・混乱・痺れ・衰弱・筋肉痛・嗅覚遮断、攻撃0・魔力0≫


「よっしゃぁ!流石は俺が作った負の結晶!」

『ガ…グ…ゴ…』



 カミルが硬直している隙に頭上まで飛び上がる。


「これでもう終わってくれ!聖竜破烈斬!」


 ザンッ!『ガアアアア!』頭の先から胸まで達する斬擊。


 黒く染まったカミルから溢れる聖なる光。


 光が収まった瞬間にカミルが崩れ落ちた。



「はぁ…はぁ…広い所限定で、呪怨砲最強説だな」


 フラフラとカミルの元へ。氷の斧とボロボロの青い鎧は魔武具なので回収。 カミルは白雪杖に合成した。


≪白雪召杖・クロウカシス、ランクS、白雪姫レベル126、魔力攻撃2756、青魔法・青色属性吸収・赤色属性無効・魔力超上昇、カミル召喚≫


「うわ…召喚具になった…そういやエビル・トルメンタも魔竜を合成したらまた召喚具になるのかな?」



 やりたい事は沢山あるが、先を急ぐ事に。


 再び長い階段を下りる。



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