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アゾットゼルク・ゴーレムから逃げ出したトトは、魔物を蹴散らしながら突っ走り壁を破壊しながら地下45階に到達。
「……」
地下46階に下る階段の前で立ち尽くしていた。
「…転移陣が無い」
5の倍数階にある転移陣。しかし地下45階には転移陣は存在していなかった。
そもそも転移陣の起動方法を知らないトトにとっては、転移陣があっても結果は変わらなかったが。
「42階で休憩していたら感じた重い気配…絶対あの全身タイツは俺を追って来てる…どうするかな。最下層が何階か解らないし…足止めに新しく壁でも作るか…作成」
≪石の壁、ランクF≫
トゲ付きの壁を作り、行き止まりや通路を作成。階段への道を隠す。
「これで追ってくるならお手上げかな。捨て身で対峙するしかない」
ダンジョンの壁を加工しているので、破壊される事は無さそうだがダンジョンが壁を元に戻す事も考える。
暫く待ち、加工した壁に変化が無い事を確認。少し不安に感じながら地下46階へと足を進めた。
「カラドリオスの短剣のお蔭で睡眠を取らなくて良いのは嬉しいな。寝たら殺されてたっていうのは嫌だし」
地下46階の地図を作成。端にある隠し部屋の方へ進む。
「戦力強化はしないとなぁ。良い武器とか出れば全身タイツにリベンジ出来るってのに」
ぼやきながら隠し部屋への壁を破壊。中に入り銀色宝箱を確認していく。
≪バザーゴの斧、ランクA、攻撃560、闇風属性≫
「時々名前とか出てくるけど、この世界の物語とか分からないから思い入れを持てないんだよな…」
≪ユーレスの弓、ランクA、攻撃436、風水属性≫
「下層にもなると属性が2つ付くのかな?地下に行けば行くほど魔力とか何かの濃度が高くなるとか?」
≪綺麗なパンツ、ランクB、清潔≫
「サイズぴったりだ…」
≪鑑定メガネ、ランクーー≫
「あっ…宝箱さんありがとうございます。聖印の守りに組み込むか」
≪幸運の首が無い人形、ランクA+≫
「幸運の人形!…って首の無い◯カちゃん人形だな。下着姿なのは意味があるのか?」
後は宝石やお金。欲しかった鑑定メガネを入手し、鑑定の幅が広がる事に喜んだ。
「ランクは…S+まで鑑定出来る!よしよし!聖竜剣は…鑑定出来ないからSS以上か…色々鑑定したいけど、先ずは全身タイツを迎え撃てるくらいにならないとゆっくり出来ないな…」
早々に隠し部屋から出て、次の階段まで短縮するのに壁を破壊していく。
地下46階に来てから道幅は15メートルにもなり、ランク6の魔物ばかりになっていた。
≪ブルードラゴン、クラス6、強さ12500、青色属性のドラゴン、弱点・赤色属性≫
「ん?射程も長いし、鑑定が詳しくなってる…流石Sランクの鑑定!ファイアレーザー連射!」
ボオオオ!バシュン!バシュン!バシュン!『ギャアァァァ!』
ブルードラゴンを撃破して青色属性の武器に合成。
≪氷凍杖・ダイヤモンドダスト、ランクA+、極寒の魔導師レベル100、魔力攻撃1500、青魔法・水氷属性吸収・火属性無効・魔力上昇・進化可能≫
「おっ、進化するんだ。武器進化っと」
≪白雪杖・クロウカシス、ランクS、白雪姫レベル1、魔力攻撃2006、青魔法・青色属性吸収・赤色属性無効・魔力超上昇≫
「…そういや一回も使って無いんだよな…姫とか…俺が使ったら姫に…なれる?」
絶対に似合わないので使わないが、武装したらどうなるか気になる所。
気になるので葛藤しながらダンジョンを進む。
≪ヴァンパイア、クラス6、強さ10001、不死者の定番、弱点・聖・光・炎≫
『ゴミがやって来た様ですねぇ「聖竜破斬!」_ギャアァァァ!』
「やっぱりSSランクの武器は強いなぁ。ランク6なら瞬殺出来る。でもランク7になると強さが跳ね上がるからなぁ」
ヴァンパイアは聖属性の攻撃で灰になり、纏っていたローブが落ちる。
≪闇の衣、ランクA、闇属性吸収・聖光属性弱体≫
「弱体だけ消せないかなぁ…んー…出来ないか。それにしても、防御力が見れないのはどうにかならんのかな?呪いなのか?」
壁をぶち抜き階段を発見。地下47階へ足を進めた。
他の階よりも長い階段を降りた先。
「……」
白銀の世界。
雪原が広がっていた。
「…寒っ」
寒いので、白雪杖・クロウカシスを装備。すると、極寒の寒さが快適に。
「良かった…作っておいて」
ホッと一息付いて辺りを見回す。後ろには階段と壁。前方には地平線が続く様に雪原が広がり、軽く雪が降っている。
地面の雪を一掴み。
「本物の雪だな。サラサラ…作成」
≪雪の地図、ランクF、白いから見えづらい地図≫
四角い地図には後ろの階段と、2時の方角にある下り階段が描かれており、他にも何か描かれているが舞い降りる雪のせいで見えづらい。
「その階の物じゃないと地図が作れないからなぁ…階段目指しながら木でも探すか」
一歩踏み出すとズボッと膝まで埋まる程の雪。ため息を吐きながらマスター忍者の靴が持つ飛行能力の応用で、雪の直ぐ上を歩く。
暫く歩くが雪原が広がるばかり。
「この階は広いな…まだ何も出てこない。…ん?魔物かな?」
≪雪だるまん、クラス4、強さ3000、雪だるま、弱点・赤色属性≫
≪生贄人形、クラス4、強さ3333、生贄になる人形≫
≪犠牲人形、クラス4、強さ4444、犠牲になる人形≫
遠くの方で揺れている雪だるまと、カタカタ動く2体の人形。
近付くと、こちらをじっと見詰めだした。
『ニンゲン』『ニンゲン』『コロス?』『コロス』
雪だるまの足元から青い魔方陣が出現。
10メートルはある大きな雪玉が現れ、トトに向かって飛んでくる。
「デカイなぁ。本当にこれ吸収出来るのかな?」
白雪杖を雪玉に向ける。ギュンッと雪玉を吸いとり、雪玉が消えた。
「確かに吸収したな。…んー?吸収したら俺には還元されないの?…あぁ、次の魔法の威力が上がるのか」
魔物が興奮する中、白雪杖を眺めるトト。人形が不審な動きを見せる。
『イケニエ』『ギセイ』『『ガッタイ』』
人形が雪だるまの頭に乗り、手を繋ぐ。
『『サクリファイス』』
『ガガゴガグゲ』
人形2体が雪だるまんの両側にズボッと嵌まる。
≪スーパー雪だるまん、クラス6、強さ10777、凄い雪だるま、弱点・赤色属性≫
「おー!強くなった!…あの人形の力…武器を犠牲にして強くなれるか?やってみるか。ファイアレーザー連射!」
ボオオオ!バシュン!バシュン!バシュン!
嵌まった人形を避けてスーパー雪だるまんを撃ち抜いていく。
ジュゥゥと雪だるまんが溶けていく。
次第に小さくなり、やがて溶けて無くなった。同時にポトリと落ちる2体の人形。
人形に近付いて適当な武器に合成してみる。
≪犠牲の剣、ランクB、剣王レベル19、攻撃357、犠牲技≫
「犠牲技…色々犠牲に出来るのか。他の武器を犠牲にして攻撃力を倍加させる技とか必殺技とか…犠牲の度合いで変わる?怖いなぁ…でも妖刀に組み込めば強そう…合成」
≪邪妖刀・犠牲の常闇、ランクS-、闇堕ちレベル404、攻撃3020、レベル上昇・ダメージ倍加・邪技・犠牲技≫
「攻撃力ぶっ飛んでるなぁ…ダメージ倍加と犠牲技で倍加させれば軽く4倍以上の攻撃になるのか…すげえな。とりあえずまた人形見付けよう」
邪妖刀を装備し、再び階段の方向へ歩き出す。途中に出てくる氷の鳥や蝶を撃ち抜きながら。
突撃ボゴッ!と魔物が出現。
≪氷の巨人、クラス6、強さ12000、氷属性の巨人、弱点・赤色属性≫
『ゴオオオ!』
「…デカイなぁ。7か8階建てのビルぐらいあるぞ…ファイアレーザー連射!」
ボオオオ。バシュン!バシュン!バシュン!
炎のレーザーが氷の巨人を貫く。
溶けてはいるが、直ぐに修復。
「レーザーが細いからそんなに利かないか…ちょっと妖刀の威力見たいな」
邪妖刀を取り出し、瞬時に氷の巨人を斬り付ける。
斬!ボゴンッと腕が落ちた。
『ゴアア!』
「…少し抵抗があったけど斬れたな。じゃあ次は…」
適当な武器を取り出し。
≪魔鋼の槍、ランクC、重槍士レベル5、攻撃210≫
「犠牲技を試そう…サクリファイス!」
魔鋼の槍がボロボロと崩れ落ち、妖刀が鈍く輝き。
氷の巨人の背後に回る。
「邪連殺!」斬!斬!斬!
邪悪な軌跡が氷の巨人を通過。
遅れてガラガラと氷の巨人が崩れ落ちた。
「…こりゃ強い。ランクが低い武器だと直ぐに効果が切れるけど、頑張れば武装無しでクラス7とも渡り合えるかな?」
強くなる手応えを感じながら広大な雪原を進む。