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流れの武器屋  作者: はぎま
迷宮・古壁の回廊
44/163

下層40階

「おはよう、お二人さん。目に隈なんか作って眠れなかったのかい?(お楽しみだったのかい?)」


「おはようございます…なんか夜中に凄く恐い夢を見て…それから目が覚めてしまいまして…」


「おはよう…私も悪夢を見てね…裸のおっさんがパンツ何色?パンツ何色?って…うごぉ…」


「…そりゃ災難だったな。あっ、ミランダさん。これ荷物整理してたら出てきたんであげますよ」


 罪悪感を消す為に、ミランダにコメットメイルを渡す。


≪コメットメイル、ランクA、火地属性軽減≫


「え?こんな高価な物頂けませんよ!「いや今更なんでどうぞ」…ありがとうございます。大事にしますね」


「…トト」


「…なんだよホーク。……ほれ」


≪雷剣・トニトルス・ロペラ、ランクーー、攻撃ーーー、ーーー≫


「_ぶっ!なんで持ってるの!?」


「なんか宝箱から出てきたんだよ。別にいらないからあげる」


「魔武器をいらないとか中々ぶっ飛んだ事を言うね…中立連合に提出すれば黒金貨50枚は貰えるけど?「引退記念にホークの手柄にしてやるよ」…ふふっ、ありがとう。これで気兼ね無く辞めれるよ」


 紫が入った黄色の、雷の模様が美しい芸術的価値もある魔剣。トトは適当な武器を合成して、自分も使えるようにしてから能力を調べてみたが、武装、雷技、雷魔法、素早さ上昇くらいの能力だったのでそこまで興味は持てなかった。


(雷光剣・プラズマライザーは雷化っていうスキルがあるからなぁ…)


「二人共寝不足は良くないから、回復してあげるよ」


 眠そうな瞳を向けられると罪悪感が加速するので、合間に作った短剣で回復。トト以外にはクソな短剣に見える。


≪カラドリオスの短剣、ランクーー、攻撃1、状態異常回復(超)≫



「ありがとう。凄く楽になったよ…それあったら睡眠要らなそうだね」


「ありがとうございます。凄く寝た休日くらいスッキリしますね!」


「おぉ?そう?じゃあ徹夜しようかな」


 睡眠が要らないに越した事は無い。基本ソロで探索するトトには嬉しい報せだ。


 準備を済ませ階段を降りる。石の壁という代わり映えしない景色だが、地下40階は少し空気が重い感じがした。



「一応地下40階は全ての場所を見るつもりだから宜しくね。先ずは外周から」


「はい、少し空気が重いですね」


「そうですねぇ…この感覚はあると思いますよ。そういえば、ルナライトちゃんって誰か分かります?」


 銀色の髪のクールな印象がある美少女フィギュア。恐らく女神か何かだと当たりは付けているが、気になって仕方ない。



「ルナライトちゃん?…あぁ、トトさんは女神教じゃ無いんですね。ルナライト様は光と闇を司る女神様ですよ?」


「そうですか、ありがとうございます。因みに女神って存在するんです?」


「ええ、顕現はされるそうですよ。女神教は多神教ですので、他にも火、風、水、土の女神様が居ます。教会に行けば詳しい事を教えて貰えますよ」


「へぇー…それぞれ信仰している女神が居るんです?」


「ええ、基本は適性のある属性の女神様を信仰します。私は火のフラマフラム様、土のテラティエラ様、光と闇のルナライト様を信仰してますよ」



 この世界の人間はほとんどが女神教。存在している神を信仰するのは当然の事。


 他の属性はカテゴリーが違うそうだ。死属性や破壊属性など、ヤバめの属性は邪教と呼ばれる事があるらしい。


 ホークアイは水、風、光なので水のアクアマリン、風のベーチェルネード、光と闇のルナライトを信仰。


 40階の外周を回り、内側を回っていく。



「トトも女神教に入りたいのかい?」


「いや、気になっただけだよ」


「まぁ入りたくなったら教会に行けば簡単だからね。そういえば、ダンジョンのお宝で極稀に女神様の人形が出る場合があってね。持っていると加護を得やすいんだって」


「人形…これか?」


≪ルナライトちゃん人形・フルカラー、ランクーー≫



「うぉ…凄いね…ダンジョンで1体見つかれば良い方だと言われているから幸運だねぇ。因みに女性が持つと恋愛運が上昇して、男性は所持数が多い程女運が下がるらしいよ。なんでも他の女性を見て女神が嫉妬するって話さ」


「え?そうなの?これ以上女運が悪くなるのは嫌だなぁ……売ったりしたら駄目なの?」


「手放すなら、教会に寄付するのが最善だね。売ったり、脱がしたりしたら災いが起きるらしいよ」



 売ると破産する者が多く、脱がすと次の日にはオカマになったり加護が消えて人形恐怖症になったりするらしい。サマーバージョンは罠だと思うしかない。



「…まじかよ(呪い人形じゃねえか…下手な事は出来ないな)…例えば珍しい人形だと呪…加護が得やすいのか?」


「過去に…パジャマバージョンを手に入れた人は加護を得たって聞いたからね。女性の冒険者だったんだけど、直ぐに貴族と結ばれたらしいよ」


「……(コンプリートしたいんだよなぁ…女神に見られなきゃ良いとか?違う空間とか作れるかな?)…加護ってどんなの?」


「属性の力が上がったり運気が上がったり恩恵は多いらしいよ。加護を得られるなんて余程信仰が無いと駄目だし、ステータスに記載されるから自慢にもなる…これも教会なら教えて貰えると思うよ」


「ふーん。俺が持っても仕方無いし、加護は別に要らないかな」



 出てくる魔物を倒しながら半分程回る。全て回るとトト達でも1日は掛かる。


 途中昼食を挟みながら探索していき、行き止まりの小部屋に到着。



「…居ないねぇ。別の階なのかな?次は南側だねぇ。そういえば、この奥に隠し部屋があるって話だよ。開け方が解らなくて放置されてるんだけど、トト解るかい?」


「いや、解らないけど隠し部屋には行けるぞ」


「…ん?行けるの?解らないのに?」



 引き返そうとしていたホークアイが立ち止まり、期待した目で見てくる。トトは危ないから待ってろと、テクテクと小部屋の奥に行き破壊の鉄鎚を取り出した。



「え?まさか…トトさん?」

「いや、いくらなんでも壊せる訳無いさ。ダンジョンの壁は特殊だからね」


 ドゴンッ!トトは慣れた仕草で壁をぶち壊す。1人分が通れる大きさの穴が出来たら破壊の鉄鎚を収納して二人に向き合った。



「ほら行けた。…ん?」

「「……」」


「おーい。…先行くぞー。おっ銀色宝箱」


「トトが去った後に破壊音がすると思ったらこれか…慣れてるし…一体幾つ宝箱手に入れたんだよ…」


「ちょっとこれは…見なかった事にしましょう…」



 隠し部屋の小部屋には銀色宝箱が1つ。トトは先に罠を解除。遅れて呆れた目のホークアイと遠い目のミランダが入ってくる。


 ホークアイとミランダは隠し部屋の銀色宝箱なぞ初めて。密かに期待が胸を膨らましていた。



「じゃあ罠は解除してあるから…ミランダさん開けて良いよ」


「え?良いんですか?…ダンジョンのお宝って憧れだったんですよ。ありがとうございます!」



 ミランダが隠しきれない笑顔で宝箱を開け、中を確認した。


≪薔薇のブローチ、ランクB、魅力上昇≫

「わぁー。綺麗ですね!」「ミランダさん似合いそうですね」「着けてみたら?」


≪妖精の弓、ランクB+、攻撃411、魅了≫

「これは良い弓ですね!ピンク色が可愛い」「トト似合うんじゃない?」「おぅイケメン。馬鹿にしてんのか?」


≪転移石、ランクA≫

「あっ、これ欲しい」「良いですよ」「良いよ。行ける場所は解らないから気を付けてね」


≪霊刀・夜叉鬼、ランクB+、攻撃555、光属性特攻≫

「トト、これ鍛えたら強くなる?」「なるぞー。じゃあ預かるな」「え?これもう完成されてますよね?」


≪幸運のコイン、ランクB+≫

「トトさん…貰って下さい」「トト…貰っとけ」「お、おう…ありがとう…(幸運…やっぱり開ける人、もしくはメンバーによって中身が変わりそうだな…)」


≪風迅のベルト、ランクB、素早さ上昇(大)≫

「ミランダさんどうぞ」「そうだね」「ありがとうございます」


≪血塗られた靴、ランクA-、流血・血管破壊≫

「トトさん…」「トト、宜しく」「はいよ」


≪ディープ・レッド、ランクB≫

≪ディープ・イエロー、ランクB≫

≪ディープ・ホワイト、ランクB≫

≪ディープ・ブラック、ランクB≫


「丁度ミランダちゃんの属性だね。トトに何かおねだりしたら?」「え、いや、でも」「良いですよ。何が良いです?メテオブレイドの予備にします?」



 お金は山分けし、宝箱を収納。ミランダの荷物がかさばって来たので、保存付き収納リングを渡しておく。


「じゃあ帰ったら色々作るんで、出来次第渡すって形で」


 小部屋を出て宝箱の感動に浸るホークアイとミランダ。トトは皆で開けるのも楽しいなと感じていた。


 雑談しながら他の場所を回る。弱い魔物しか出ず、とりあえず下り階段の手前にある広い部屋へ行く事に。



「ここが最後だな。…ん?」

「あれ、ですかね?」


「あー…あれ倒さないと帰れないね…」



 階段に続く部屋の中央。待ち構える様に静観している存在。


 全高3メートル。上半身は人型、下半身は球体の様に丸い。



「ゴーレムタイプ…ですかね?」

(顔は、無いな。何処で見てるんだろ)

「報告にあった魔物だと思うよ」



 空中に制止しているメタリックカラーの魔物。


「硬そうですね…」

(…メタリック全身タイツ)

「ゴーレムタイプは防御力が高いからね」


 そして、両手に持つメタリックなハンマーが鈍く輝いていた。


≪重力鎚・クレイジー・グラビトン、ランクーー、攻撃ーー、ーーー≫


≪アゾットゼルク・ゴーレム、クラス7、強さ24512≫


「クラス…7です」

「…頑張ろうか」


「…なんか身体…重くね?」

「…重い…ですね」


「…あっ、クレイジー・グラビトンの特性言うの忘れてた」


「ホークアイさん…」

「ホーク、俺の不幸コレクションやるわ。何が良い?」


「いや、ほんとごめん」







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