ダンジョン探索2
「索敵して片っ端から仕留めれば良いか。クラス4を合成しまくればレベルも上がるし、楽しくなってきた。とりあえず…作成」
≪身代わりの指輪、ランクC、攻撃1、致死ダメージ回避(2)≫
「2体分合成したから2回は致死ダメージ食らっても大丈夫だけど、ただの保険だからな」
ホークアイ、ミランダの分も作成しておく。自分だけ持っているのは気不味いからだ。
「にしてもクラス4は簡単に倒せるなー。最初あんなに死にかけたのに。そうだ、地図作ろ」
≪石の地図、ランクF、攻撃1≫
「地下20階は隠し部屋あるのかな?でも完成された地図見ても解らん……あっ微妙に色が薄い部屋があるけどこれか?」
方眼紙に描いた様な地図。このダンジョンほとんどの階は似た構造になっている。ぐるりと外周通路があり、枝分かれした通路から小部屋などを通り、下り階段まで行けば次の階に行ける構造。
2つ小部屋を進んだ先にあるので行ってみる事に。
「おっ、身代わり人形とデカイ犬。バーストショット」
≪ジャイアントウルフ、クラス3、強さ1012≫
ボンッボンッ。致死ダメージを複数当て仕留め、小部屋に入る。
小部屋と言っても教室3つ分の大きさ。中には複数の身代わり人形と鎧騎士。
≪フレイムナイト、クラス4、強さ2653≫
フレイムナイトは滑る様にトトに詰め寄り_ゴオオ!_横凪ぎの範囲攻撃。
「うぉっ!っと聖連斬!」
ザザザザンッ!へっぽこな剣が聖なる光を放ちフレイムナイトを斬り刻む。
身代わり人形がずり落ち「とどめ!聖光剣!」
ザンッ!聖なる刃がフレイムナイトを両断。
フレイムナイトを撃破した。
「…勇者の技は強いな。この世界の勇者の扱いってどんな感じなんだろう」
人前で使うつもりは無いが、周りの認識が気になる所。
魔物を回収して次の小部屋へ。
「キャハハ」「キャハハ」
「身代わり人形楽しそうだな」
≪フライングフィッシュ、クラス3、強さ1101≫
空中を泳ぐ魚に乗る身代わり人形。両手を上げてカクカクと喜んでいる。数は10。
「ロックオン、ホーミングレーザー!」
バシュン。バシュン。魚を撃ち抜き身代わり人形がボトボト落ちる。
楽しい時間を奪われた怒りなのか、フライングフィッシュが一斉に襲い掛かって来た。
「拡散ショット!連斬!」
タタタンッ!ザザンッ!襲い掛かって来た魚を仕留めた。
「ふぅ、数が多いと緊張するな。もっと場数を踏まないと」
身代わり人形とフライングフィッシュを収納し、小部屋から出る。
少し進むと行き止まり。
「やった。隠し部屋だ…けどどうやって入るのかな?」
壁を調べてみるが仕掛け等は見つからない。破壊の鉄鎚を取り出し_ドンッ!_壁に叩き付けた。
ガラガラと壁が崩れ落ち、向こうに部屋が見える。
「よしよし。中には何があるのかなっと…よっしゃ!宝箱発見!」
教室程の小部屋の中心に細長い鉄製の箱。開けると_ブシュッ_「うおっ!」毒霧が噴き出す罠。しかし聖印の守りの効果で毒は効かない。
「危ない危ない…今度から罠調べよ…」
毒の霧を払い、宝箱の中を確認。中には金貨等のお金、宝石の付いたナイフ等が入っていた。
≪宝石のナイフ、ランクB、攻撃25≫
4色の宝石が嵌まった綺麗なナイフ。売ったら高そうだ。
≪炎の尖晶石、ランクC≫
≪氷の尖晶石、ランクC≫
≪土の尖晶石、ランクC≫
「尖晶石…属性攻撃か防御に使えそう」
≪馬の銅像、ランクC≫
「ただの置物だな」
≪暗闇のマント、ランクC、闇属性防御≫
「これ良いな。着てみよ……厨二感が凄いけどまぁ良いか」
≪緑柱石の腕輪、ランクC、素早さ上昇≫
「エメラルド?綺麗だからこれをベースに後で加工してみよ」
≪カミルの涙、ランクA、氷属性強化(大)≫
「うわ…これは凄い……アイリスさんにあげようかな…」
≪腕の無い人形、ランクC、人形呼び≫
「人形系の魔物が呼べる?これがあれば身代わり人形狩りが進むな!お金は光金貨30枚、白金貨30枚、金貨30枚……そういやお金って世界共通?全部女神?が刻まれているけど…」
疑問に答える者は居ないので独り言で終わる。中身の確認が終わり、勿体無いので鉄製の箱も回収。
その後は腕の無い人形を使い、身代わり人形狩りをする事にした。
腕の無い人形を振ると、身代わり人形が笑いながら出てくる。倒しては呼び出し、また倒す。
身代わりの指輪(10)を量産。気付いたら夜の時間になっていたので、テントの場所まで戻る事に。
「やぁトト。おかえり」
「トトさん、おかえりなさい。丁度食事が出来ましたよ!」
「ただいまー…」
ニコニコするホークアイと、少し表情の固いミランダが出迎え、トトは思う。こいつらデキてるなと。
「ちっ、リア充が。お土産やるからありがたく受け取れ」
「荒むのは目だけにしときなよ。ありがとう、これは?…うわ…身代わりの指輪10ってなにさ…10回致死回避って…」
「ありがとうございます。うわ…凄いですね…良いんですか貰っても…」
「どうぞどうぞっと。見張りの順番は?」
「結界石使うから見張りしなくて良いよ。王級職業でも壊すのに一時間は掛かるから、その間に起きれるし」
食事を食べ終え、それぞれのテントに入り朝の時間まで就寝する。トトは安眠ベッドの上に転がり、今日の戦利品を整理。
(ムーンブレイドでも加工するかなー。正直魔銀の細剣じゃ不安だし、炎と土の尖晶石でも使ってミランダさん用に調整するか…)
≪メテオブレイド、ランクA-、メテオブレイダーレベル52、攻撃860、魔力攻撃860、火土光闇属性・隕石落下・魔力上昇≫
(ちょっと強すぎる?…まぁ良いか。彼氏に買って貰えや)
魔水晶、氷の尖晶石、カミルの涙を合成。
≪氷凍杖・ダイヤモンドダスト、ランクA+、極寒の魔導師レベル56、魔力攻撃1280、青魔法・水氷属性吸収・火属性無効・魔力上昇≫
(あっ、これ武装出来る…魔武器っぽい。とりあえず保管だな)
後はへっぽこな剣にクラス4の魔物を合成。鑑定は出来ないが少し強化された気がした。
(隠し部屋の宝箱って凄いなー。魔武器が出来るくらいのお宝。これである程度確信を得たかもな…武装出来る武器が魔武器って考えれば良いと思う)
現在武装出来る武器は、爆炎の戦斧、浄化兵器シャイニング・ソーラー・レイ、聖剣ブリリアント・ブレイド、氷凍杖ダイヤモンドダストの4つ。
呪怨砲、邪妖刀・蠢く闇、聖銃アトリビュート・フォースイーグルはあと一息の様子。
(他の属性も欲しいなぁ。トニトルス・ロペラとクレイジー・グラビトンって貰えないかな?雷と重力とか強そうだし)
考えている間に眠気に襲われ、気付いた時には朝の時間。
安眠ベッドの効果で、快眠のトトはテントを収納して食事の準備。やがて匂いに誘われる様にホークアイとミランダも起き出した。
「おはようトト。早いね」
「おはようございます」
「おはようさん。お土産あげるから、また夕方辺りから探索して良い?」
「お土産貰えるなら大歓迎だね。じゃあ今日は下層の25階が目標かな。26階から39階まで行ける罠があるからね」
「へぇー。それならもっと深くまで探索出来そうなのにな」
「いや、このペースが異常なんだよ。クラス4を一撃で倒せるとかおかしいからね」
隣でミランダもうんうんと頷いている。クラス4を一撃で倒せるのは帝級職業以上か、魔武器所有者。
銃聖と勇者という伝説級職業を2つ標準装備しているトトには朝飯前なのだが、ホークアイとミランダはトトの実力が未だに解らない。
朝食を食べ終え、3人は階段を下りる。
「さて、21階から下層なんだけども…ここからクラス5の魔物が出始めるから気を付けて」
「クラス5って何が出るんだ?」
「このダンジョンだったら、ドラゴンやキマイラみたいな大型な魔物から、王級職業の技を使う鎧とかかな」
「へぇー(クラス5までなら武装しなくても良さそうだけど…)おっ、何か来るぞ」
ズンッ。ズンッ。大きな足音を立てて何かが通路を歩いている。3人は物陰に隠れて観察。
≪グリーンジャイアント・クラブ、クラス5、強さ5860≫
「…蟹だ」
「あれは物理攻撃があまり効かないからね。風属性だから飛び道具は効かないけど…トトのレーザー?って奴なら効くかもよ」
「いや、時間掛かりそうだし後で挑戦するよ。サクッと行こうぜ」
倒せる事には突っ込まないが、半ば呆れた表情のホークアイ。ミランダはクラス5を目の当たりにして表情が強張っていた。
「じゃあクラス5との戦闘は避けて、クラス4以下は音を立てない様に仕留めるよ」
「了解。撃ち抜いて欲しい奴が居たら言ってくれ。この銃は威力が上がるに比例して音が大きくなるから」
「すみません…私は足手まといかも知れません」
「…ホーク。ミランダさん用の武器買うか?」
「…なんで私に言うんだよ。……必要だったらね」
一行はクラス5を避けながら、ダンジョンの下層を進んで行った。