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流れの武器屋  作者: はぎま
迷宮・古壁の回廊
36/163

ダンジョン探索

 1泊した場所まで来た3人。とりあえず計画を練る事に。



「ホークとミランダさんはどれくらい居れるんだ?」


「私はダンジョンから帰ってきたら仕事を受けると言ってあるから、いつでも良いんだ」


「私もお二人と帰ると申請してあるので大丈夫です」


「了解、じゃあ大体の戦力確認だな」


 正直ホークアイとミランダの闘い方はよく知らない。ホークアイは魔武器を使うのを見たくらい。ミランダは全く知らない。



「私は魔武器の影響で青魔の双剣士っていう職業。素早さ特化の前衛かな。魔法も中位までなら使えるし、手数で攻める剣技が持ち味だね」


「私の職業は魔法剣士です。魔法は中位までなら使えますし、剣技もある程度使えますので前~中衛です」


「俺はクソ男だ。それなりの事が出来る」


「…いや武器師でしょ。最近忘れてたけど」


「そうとも言う。ホークのは分かるからいいや。ミランダさんの武器見せて」



 ミランダの剣を見せてもらう。使い込まれた銀色に光る細身の良い剣。


≪魔銀の細剣、ランクC、攻撃320≫


「…良い剣ですね。(魔銀はまだあったなぁ…どう使おう)この攻撃力は中々お店で見ませんよ」


「ふふっ、兄がCランクに上がったお祝いに、わざわざ帝国まで行ってプレゼントしてくれたんですよ」


「そうですか…お兄さんに愛されていますね(これなら良いか…でもこれいくらだよ…絶対ミニャ(誰か)がいらん事言ってボコボコにされるぞ)ホーク、このメンバーならランク何まで対応出来る?」


「トト次第だけどランク5か6かなぁ…」



 確認を終え、隊列を決めて行動開始。前からホークアイ、ミランダ、トトの順番。


 階段を降りていく中、トトは思う。40階まで行くのが面倒くさいと。



「ホーク…下層まで行くのに短縮出来ないの?」


「出来るよ。各所に下に行ける罠があるからそれを利用するんだ」


「落とし穴かなんかか?」

「そうだね。斜めに滑り落ちる罠があるんだ。近い所でこの階から10階まで降りられるよ」


 それを聞いて安心。だが降りた先は広場になっており、クラス4が居る確率が高いらしい。危険が伴うので高ランク冒険者しか使わない。



 タンッ。タタンッ。「…ねぇトト…ずっと気になっててさ…そのクソな銃見せて欲しいんだけど」


「私も気になって仕方無いんですけど…前より性能上がってますよね」


 タタンッ。「見た後に、記憶から抹消するなら良いぞ」



 1発でクラス3を複数貫く弾丸にホークアイとミランダは引いている。魔銃というのはそんなに性能が良い物では無いからだ。


 秘密にすると約束した二人に、クソな銃の鑑定阻害を解除。


≪聖銃・アトリビュート・フォースイーグル、ランクA+、銃聖レベル45、攻撃1225、合成弾、レーザー化≫


「_ぶっ!」「_っ嘘!」


「はーい。君達は何も見ていない、何も知らない、忘れろ、記憶から消せ、ほら消せ」



「ホークアイさん…これ…魔武器ですよね?」


「…私の立場じゃ…魔武器ではないとしか言えない…認めたら駄目なんだ。だからこれはクソな銃…そういう事にしておこう」


「……でも、トトさんの立場が上がりますよね」


「別に言いふらしたきゃ言えば良いぞ。その時はトリスを連れて全力で逃げてやるから」


「言わないよ。…そのへっぽこな剣は?「これは駄目」…そうか」


「…(…トリス?)…私も言いませんよ」


 下へ降りる階段から離れた場所に滑り落ちる罠があり、少しして到着。


 教室程の大きさの何も無い空間。ホークアイが中心に立ち、床を指差した。



「この出っ張りを踏んだら作動するけど準備は良いかい?」


「良いぞー」「大丈夫です」


 ガコッ。ホークアイが出っ張りを踏むと床がパカッと開き「うごっ!ケツが!」大きな滑り台の様に3人は滑っていく。


 数十秒滑った後、ザザッと広場に到達。その後バタンと滑り落ちた穴が閉じた。



「グゴゴゴゴ…グゴゴゴゴ…」


「…静かに」「…はい」

「ケツの肉がえぐれるかと思ったよ」

「分かったから静かに」


 横たわり眠る魔物。デップリとした5メートルの人型。太い身体に太い腕。手に大きな棍棒を持っている。



≪ワイルド・トロル、クラス4、強さ2888≫


「コイツは遅いけどタフで再生能力が少しある。私の武器じゃ脂肪が邪魔で急所まで届かないから相性が悪い魔物だよ」


「私も苦手です」


「ふーん。じゃあレーザー化で撃ち抜くか。弱点の属性は?「風、雷、光だよ」了解。サンダーレーザー!」


 バチバチ!バシュン!「グゴゴごギャ!」ワイルド・トロルの頭、胸を貫き感電死させた。


「「……」」


 プスプスと黒い煙が立ち上ぼり、サンダーレーザーの威力がよく分かる。


「楽で良いねぇ。流石俺」


 トトはスタスタとワイルド・トロルに近寄り収納。


「行こうぜー」


「度肝を抜かれるとはこの事だねぇ」


「なんか私足手まといですね」


「いや、ミランダちゃんが居るからトトも張り切っているし、トトと二人だと絶対喧嘩になるから居てくれた方が助かるよ」


「ホークアイさんはトトさんと仲良いですよね。どうしたらトトさんと仲良くなれるんですか?」


「どうしたらとかは特に無いかな。一緒に居れば解るんじゃない?」



 地下10階。中層には魔物の種類が増える。クラス2~4の魔物が主だ。



「さて、中層に来たけどまだまだ冒険者の姿はある筈だから、下層の入り口の地下20階が今日の目標だね。11階から18階に行ける罠があるからそこに行こう」


「了解」「はい」


 広場から通路に出ると直ぐに敵が出現。


≪リザードマン、クラス2、強さ150≫


「私が行きますね!」


 ミランダが魔銀の剣の切っ先をリザードマンに向ける。


「ギャギャ!」

「ファイアボール!」

 ボンッ。「ギャ」リザードマンに火の玉が当たり仰け反る。


「ダブルスラッシュ!」

 ザザンッ!連撃で首を斬り落とした。



「おー、格好良いですね。魔法が使えると牽制になるのか」


「へへっ、ありがとうございます。皆さんには及びませんが、安定した闘いを心掛けていますので力になれると思います」


「魔法剣士は魔武器を使う素質があるから、良い魔武器に出会えたら化けると思うよ」


 ホークアイが良い魔武器の所でチラチラ見てくるが、無視してリザードマンを回収。



「リザードマンは収納して帰りに渡しますね」


「いえ、トトさんが貰って下さい。無理を言って付いて来ちゃいましたから」


「んー、ありがとうございます。じゃあ…代わりに武器で返しますね。細剣で良いです?」


「気にしなくても良いですよ。「ミランダちゃん貰ってあげなよ」…いや、でも…分かりました」



 使っていない武器は沢山あるので、どれでも良いのだが魔法剣士となるとムーン・ブレイドを細剣にすれば良いやくらいに思っている。


 下へ降りる階段へ向かいながら、このダンジョンについて聞いていくが中層の完全な地図は存在していないらしい。なのでまだ隠し部屋がある筈と冒険者が探している。



「ミランダさんは他に何の属性が使えますか?」


「火の他には、土、光、闇、支援系魔法ですね」


「ミランダちゃんは光と闇の反対属性が使えるから珍しいよね。そのまま冒険者を続けても大成したと思うよ」


「いえ、使えるだけで大した魔法は使えません。器用貧乏タイプですよ。それに…」



 思い出す様に表情を落とす様子に、他の要因もありそうだが、もう辞めているのでホークアイとトトは聞かずに話を戻す。


「因みに反対属性は習得が難しいのか?」


「そうだね。火と水、風と土の様に反属性は文字通り反発するから大変なんだ。だから反属性を習得するのは才能か相当な努力をしたかって訳」


「ふーん。じゃあ反対属性を持っている武器とか魔物は珍しいのか?」


「珍しいね。そのクソな銃なんて、ほとんどの属性使えるとかおかしいからね。扱いは気を付けてよ」



 調子に乗ってほとんどの属性を使える銃を作ったが、既にオーバースペック。トトは生返事で返す。


 魔物を倒しながら、階段に到着。一組の冒険者パーティーが居たので、休憩せずにそのまま下へ。



「冒険者って直ぐに鑑定するよな。じろじろ見られる感じが嫌なんだけど」


「まぁ珍しいパーティーだからね。前衛二人にクソ男パーティーなんて直ぐ話題になるよ」


「そういえばトトさんは人を鑑定しませんよね。どうしてですか?」


「そんなの第一印象がそれに縛られるからな。基本的に闘う相手以外は鑑定して良いか聞くし…勝手に鑑定して勝手に評価付けて勝手に自分より下だと決めつける。それは失礼だと思っただけだよ」


「「……」」



 ホークアイとミランダはレベルが無い者の気持ちは解らないが、トトと関わる事で理解しようとはしている。レベルが無い者こそ鑑定をして生存率を上げて貰いたいが、偉そうな事は言えない。


 一度は思うからだ。レベルがあって良かったと。



「強い魔物が1体現れるだけで上も下も無くなるってのに…なっちゃいないねぇ…この世の中はっと。サンダーレーザー」


 バチバチ。バシュン。トトは大きなリザードマンを貫き収納していく。


 その様子をホークアイとミランダは少し乾いた笑いを浮かべて眺めていた。



「なんかトトさんを見ていると、職業とかレベルを気にするのは馬鹿らしくなりますね」


「はははっ、まぁね。ところで…今でもトトは20点なのかい?」


「……20点?」「ニーソの街の採点は容姿、財力、性格、職業だったよね?それって男としての点数だよね?」


「…な…なんでそれを」


「いや、王都に向かう馬車での会話…筒抜けだったよ」


「……えっ?」



「おーい、行くぞー」



 その後も時間が掛かる魔物はトトがサクサク倒していく。ホークアイとミランダの微妙な雰囲気にトトは首を傾げるが、やがて地下11階の罠に到達。



「この調子なら昼には20階に行けるかな」


 ガコッ。罠を起動。床が開き3人で穴を滑る。トトは尻に布を敷いて防御。



 ザザッ。たどり着いた先は広場になっており。



 ガシャン。「キャハハ」「キャハハ」


「んー?黄色い鎧と…なんだあの腹話術みたいな奴」


≪身代わり人形、クラス2、強さ100≫


≪アースアーマー、クラス4、強さ2500≫


 全身土色の騎士と、その肩に乗る2体の人形。スピーカーの様に笑い声が反響している。




「おっ!身代わり人形だ!ホーク、どう倒したら良い?」


「普通に倒して良いよ。アースアーマーを攻撃し続ければ共倒れするから」


「了解!そろそろ剣使うかなー」


 へっぽこな剣を抜きアースアーマーに駆ける。


「クロスラッシュ!」

 ザザンッ。アースアーマーを大剣ごと斬り裂く。


 パリンッ。何かが割れる音が響き、身代わり人形が1体肩からずり落ちた。


 そしてアースアーマーの斬られた部分が瞬時に修復。


 ブオンッ。トトに大剣を振り下ろす。

「カウンタースラッシュっと」ガシュッ。アースアーマーを両断。


 パリンッ。もう1体の身代わり人形もずり落ち、アースアーマーの傷が瞬時に修復。


「反撃はさせんよ。天地連斬!」

 ザザザザンッ!上下同時にアースアーマーを斬り刻む。


 ガラガラ。斬り刻まれたアースアーマーの破片が落ち、完全に沈黙。



「すげえな、へっぽこな剣…(もしかしたら武装出来るかも…やらないけど)…身代わり人形もっと欲しいな」


 アースアーマーと身代わり人形を回収。地下20階までは階段を2回降りるので、階段の場所まで真っ直ぐ進む。



「ホーク、20階に着いたら身代わり人形狩りに行って良い?」


「良いよ。まだまだ時間はあるし」


「行く前に食材とか置いていって貰って良いですか?炊事はしますよ」


「おっ、助かります。じゃあサクサク行こう」


 クラス4が出ても直ぐに倒して回収。身代わり人形が居る場合は何回か仕留めないと倒せないので、他の冒険者が居ない理由がわかる。


 二時間程歩き、やがて下層の入り口、地下20階の階段に到着。


 階段付近は魔物が出ないので、テント、食材、調理器具を出してホークアイ、ミランダと分かれトトは1人身代わり人形狩りする事になった。



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