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流れの武器屋  作者: はぎま
王都ノール
27/163

魔鉄鉱山、廃坑道

「よし、準備は大丈夫。行くか」


 翌朝。宿から出て街の北側、坑道へ向かう。冒険者達も坑道の方へ歩いている。皆純度の高い魔鉄を求めている。


「昨日クリア・レッドが出たらしいぞ」「うわ、まじかよー。売ったら光金貨じゃねえか」「山ゴブリンが増えてきたらしいよ」「あいつら臭いから狭いし嫌だなー」



 ランクが高い魔鉄鉱は1キロ白金貨1枚で取引される程高い。一獲千金目指して毎日の様に坑道へ行く者も少なくない。


 地主から雇われている者は6~12番坑道で採掘をし、それ以外は1~5番坑道で採掘をしている。


 13番坑道は魔鉄を取り尽くした廃坑道。掘っても掘ってもランクの低いただの鉄か岩しか出なく、採算が合わないので誰も近寄らない。何故トトがそこに行くかというと、「廃坑道はロマンだ」らしい。



「ここ、かな?あっ13番坑道ってうっすら書いてある」


 坑道がある山の端の端。誰も近寄らない雑草に埋もれそうな坑道の入り口。入り口にロープが掛けられ危険の文字が書かれている。支えている支柱が斜めになって危ない。


「照明魔導具の出番が来たなー。ぽちっとな」


 電気スタンドに似た照明魔導具のスイッチを入れると明かりが付き、坑道内を照らす。武器はデザートイーグルを装備。


「明るさは普通。充分充分。地図によると、分かれ道を右に右に行けば最奥に行くのか。そこで結局何も採れずに廃坑って感じかな?」



 少し進んだ先。休憩所と書かれた場所には、ボロボロの道具が棄てられている。スコップ、つるはし、バケツ、鉄製なので回収していく。


「掘るのに道具要るよな。作成」


≪凄いスコップ、ランクD+、現場監督レベル10、攻撃120、無機物特攻≫


≪凄いつるはし、ランクD+、現場監督レベル10、攻撃120、無機物特攻≫


「これで大丈夫かな?魔鉄が出たら強化しよう」


 最初の分かれ道を右に行く。少しずつ下り坂になってきた。ゴブリンが居たので撃ち抜き進む。


「これが山ゴブリンかな?黄色いゴブリンだけどオイニーはバイヤーだな」


 カツカツとトトが歩く音が響く。壁にはかつて採掘していた時の文字が刻まれ、ひんやりとした空気が漂っていた。


「幽霊とか出そう…あっ、白の属性石買うの忘れたなー」



 時折出てくるゴブリンやムカデ。顔を顰めながら倒していった。


「おっ、広い所に出たなー…特に何も無いか」


 分かれ道は右に進み、下り坂を一時間程歩くと行き止まりに到達した。



「ここ、かな?最深部」


 壁を照らすとただの岩。

≪岩石、ランクF≫


「掘ってみるか」

 ザクザクとスコップで掘る。岩を掘っているのだが、砂場を掘っている様に簡単に掘れる。


「掘った岩どうしよう…収納するのにも容量が不安だし…武器にしてみるか、作成」


≪岩の剣、ランクF、レベル1、攻撃10≫


「レベルだけ?まぁ、これに合成し続ければ良いか。それに微量でも鉄やらは混じっているからそのうちランクは上がるはず」


 ザクザク。ザクザク。「合成」ザクザク。ザクザク。「合成」ザクザク。ザクザク。「合成…」


「何か良い方法無いかな…全然進まない」


 30分程頑張った。ザクザクと掘れるが10メートル掘れたくらい。



「採掘といえば、ドリル、ダイナマイト、削岩機…ダイナマイトは爆炎で代用出来るけど崩落が怖い。ドリルと削岩機…魔石とデンジャラス・オーガの素材を使えば一応作れる。両方やってみるか」


≪パワー・ドリルアーム、ランクC+、壊し屋レベル30、攻撃260、無機物特攻≫


≪パワー・パイルバンカー、ランクC+、壊し屋レベル30、攻撃260、無機物特攻≫


「なんか凄いの出来たな…よし、試そう」


 ドリルから。ギュイイィィ!_ガガガガ!_「すげぇ!」


 触れた部分から次々と削れていく。片手で操作出来るので、岩の剣に合成するのも効率が良い。


 ガガガガ!_「硬い所はパイルバンカーだな。楽だ…合成」_ガガガガ!


 先程の何倍も早い。斜め下に進むように掘り進んでいく。



 ガガガガ!_ガッ!ガガガガ!「ん?硬い?鑑定」


≪魔鉄鉱石、ランクF≫

「おー!やっぱりあるじゃん!ランクが高い所まで行こう」


 ガガガガ!今度はドリルに削った魔鉄鉱石を合成し強化ながら、更に掘り進める。


 ガガガガ!「まだかな?鑑定」


≪魔鉄鉱石、ランクF+≫

≪パワー・ドリルアーム、ランクC+、壊し屋レベル40、攻撃280≫


 ガガガガ!_「まだまだ!」_ガガガガ!


 ガガガガ!_「空気どうしよう…あぁ、送風の魔導具があったか」


 ガガガガ!_ガッ!「そろそろ?鑑定」


≪魔鉄鉱石、ランクD≫

≪パワー・ドリルアーム、ランクC+、壊し屋レベル51、攻撃302、大ドリル≫


「ここら辺から他の武器を強化するか。大ドリルって_うお!ドリルがデカくなった!」


 周辺を採掘し、ランクDの魔鉄鉱石を他の武器に合成していく。


≪魔鋼の剣、ランクC、剣豪レベル80、攻撃360、伸縮≫


≪魔鋼の槍、ランクC、重槍士レベル80、攻撃360、伸縮≫


≪魔鋼の斧、ランクC、重戦士レベル80、攻撃360、伸縮≫


≪ボーンクラッシャー+、ランクC、重戦士レベル80、攻撃360、伸縮、骨砕き≫


「まだレベル上げれそうだな。100までやってみよう」



≪魔鋼の剣、ランクC、剣豪レベル100、攻撃400、伸縮、進化可能≫


「あん?進化?ってどうやるの?…あぁ、上位変換するのか。武器進化!」


 魔鋼の剣が光を放ち、より硬質な色合いに変化した。


≪鋼王の剣、ランクC、剣王レベル1、攻撃303≫


「おぉ!剣王!ランクが上がらないのはノーマルな剣だからか?あっ、伸縮が無くなってる」


 他の武器も進化させてみる。


≪鋼王の槍、ランクC、槍王レベル1、攻撃303≫


≪鋼王の斧、ランクC、斧王レベル1、攻撃303≫


≪破壊の鎚、ランクC、破壊者レベル1、攻撃303、骨砕き≫


「レベルは上がりにくそうだけど強いなー」


≪銃王・デザートイーグル、ランクB-、魔銃王レベル20、攻撃460≫


「レベル20にするのに一時間掛かるけど、かなり強い…次は妖刀」


≪妖刀・邪毒王、ランクB、闇武者レベル30、攻撃460、邪毒、猛毒付与≫


「大分時間かかったな…闇武者って強そうだっと売れる武器作らなきゃ…」


 レベル上げに夢中だったが、我に帰り売れる武器を作成していく。魔鋼シリーズを作りながら掘り進む。


「売り物の魔鋼シリーズはレベル上げなくて良いから楽だなー。鉄鉱石もあるから鋼鉄シリーズも出来るし」



 ガガガガ!ガッ!ガッ!_「ん?強化したドリルでも削れない…鑑定」


≪魔鉄結晶、ランクC≫

「魔鉄結晶?魔鉄の結晶?よくわからないけど硬い。でも少ないな…」


 周りを削ってみたが、魔鉄結晶は2キロくらい。


「ホークの刀でも作ってやるか、売り付けたいし。素材はラファーガの魔石と…宝石でも使うかなー」



 ホークアイに対して自重する気が無くなって来たので、盗賊の宝であるクリア・グリーンを使う。


≪風狼刀・嵐、ランクB、風武者レベル40、攻撃520、風属性、獣系特攻≫


 緑の鞘に納まった緑色の刀身。引き抜いてみると風が巻き起こる。


「…あれ?強すぎない?…もしかして宝石ってブースター?ラファーガの魔石と相性が良かった?組み合わせも大事って事か…」


 まぁ言い値で売ろう。多分グチグチ言われるが今更だと思い風狼刀・嵐をしまう。



「組み合わせは難しいな…あっ組み合わせで思い出した。鑑定してるとたまに俺の職業が一瞬変わるんだよな…剣と銃でガンブレイダーとか斧とハンマーで重量歩兵とか…」


 色々合わせてみるが、合わない組み合わせもあるので研究中だ。


 試しに風狼刀・嵐と妖刀・邪毒王を持ち鑑定する。


≪トト、黒風の武者レベル70、強さ_≫


「あー!強さのところで消えた!鑑定のランクが足りないのかな?」



 もっと強くなれる組み合わせもあるはずと、思考が逸れていく。


「…出来るだけ武器を背中に背負ったり腰に差したりすれば強くなれるかを、まだ試していないんだよな」


 うーんと悩み、武器ホルダーを作ってみる事にした。


≪ガンホルダー、ランクD、攻撃1≫


≪剣帯、ランクD、攻撃1≫


「作れるもんだなー剣帯は複数と、槍、斧、ハンマーのホルダーがあれば良いか」


 長柄の武器は背負い、剣帯は両方の腰と後方に。とりあえず魔鋼シリーズで固めてみた。


≪トト、超重量歩兵_≫

「あー…さっきよりも鑑定が短い…でも強くなれる事が解ったから良しとしよう。他人から見ると動きにくそうだけど…」



 思考が逸れて、休憩の様になってしまったので採掘を再開。下に掘り進める。


 ガガガガ!_「結構売り物の魔鋼シリーズ溜まったなー」_ガガガガ!


 ガガガガ!_「魔銀と宝石の使い道考えないと」_ガガガガ!


 ガガガガ!_「爆炎の戦斧も強化してみるかなー」_ガガガガ!



 途中から爆炎の戦斧を取り出し、合成していく。特に強くなっている気はしない。レベルが上がりにくいのかな?と思うが一向に強くなる感覚は無いので、違う武器を強化していく。



 ガガガガ!_「先にデザートイーグルと邪毒王の強化かな」_ガガガガ!


 ガガガガ!_「これ帰りどうしよう」_ガガガガ!


 ガガガガ!_ガッ!_「あっ、魔鉄結晶だ。やった」_ガガガガ!


 ガッ!ガッ!_「ん?魔鉄結晶の岩盤だ。やった」


 硬い壁にぶち当たり、パイルバンカーを取り出し削岩していく。


 ガッ!ガッ!ガッ!バコンッ!「おっ?空洞?」



 壁をぶち破った先に空洞が存在していた。照明を当てるとキラキラと光が反射している。


「宝石?水晶かな?鑑定」


≪魔水晶、ランクB≫


 空洞の中は教室程の大きさ。空洞の床、壁、天井にビッシリと魔水晶が存在していた。


「すげぇ…綺麗だな…宝石屋さんで見た、岩を割ったら空洞にビッシリとアメジストがあるみたいなもんかな?」


 1つ手に取り眺めて見る。


「強度の関係で近接武器は剣ぐらいにしか使えない…デザートイーグルに少し組み込むかな。合成」


≪銃王・デザートイーグル、ランクB、魔銃王レベル40、攻撃520、レーザービーム≫


「ぶっ!レーザービーム!まじかよ!」


 魔水晶の可能性が広がった瞬間だった。その後、丁寧に魔水晶を採掘していく。


 外の時刻はもう夜になっていたが、トトは気にせず採掘をし半分程採掘が終わった。


「高級品だと分かると、神経使うな…多分周りの岩は魔鉄結晶。採掘楽しいな。レーザー光線銃を量産したら戦争が変わるなー。やらないけど」


≪レーザー光線銃、ランクB、銃王レベル5、攻撃420、貫通≫


「いや、これ本当にヤバいな。攻撃力以上の性能ありそう…あっ、あれ作ろうかな」



 そして、トトは魔が差した。


≪ビームライフル、ランクB、銃王レベル10、攻撃430、貫通≫


「憧れだよなー。……盗賊の宝、シャイニング・クリスタル…ランク不明…やるか?やっちゃう?作成!」


 シャイニング・クリスタル、魔石多数、魔水晶を半分、空洞の周りにある魔鉄結晶を全て使い作成。



≪浄化兵器・シャイニング・ソーラー・レイ、ランクーー、ーーー、攻撃ーーー、ーーー≫


「……」



 全長3メートル。太さ直径1メートルの筒状の兵器。透き通る白色に光輝く砲身。持ち上げてみると、何故か持てる。肩に担ぎ、引き金を引くと発射出来る仕様。


「…やっちまった」


 見るだけで分かる。


「魔武器だこれ…」


 誰にも見せられない。


「だが、後悔はしていない」


 ストレスが溜まったらぶっぱなそう。そう心に決めて何もない空洞で休憩する。



「あっ、もう次の日の朝だ…丸一日採掘してたのか…」


 今回はこれぐらいにして、来た道を戻る。


「俺が掘った坑道は分からない様に塞ぐか。来週また来よう」



 帰りは一時間程で廃坑の行き止まりにたどり着き、穴を塞ぐ。


 それからのんびりと帰路に向かった。

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