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流れの武器屋  作者: はぎま
王都ノール
23/163

王都に到着

「さて、5分経ったな」



 門にてホークアイを待っていたが、来なかったので街を出る。女3人言いくるめるのに短い時間だったかな?と心の片隅で考えながら、朝焼けの空を眺め1人歩いていた。



「独り旅も良いもんだなー。この道を真っ直ぐ行けば次の街、そして1日歩けば王都に着く」



 横を見ると草原が広がり、風で草がサワサワと揺れている。薬草を採っていた時が昔の様に感じられた。



「護衛依頼は失敗かな。護衛対象を置いて1人で王都へ向かうんだもんな」



 はははっと笑い、暫く歩くがホークアイは来ない。女性を振り払い、無理矢理にでも来ない所がホークアイの甘い所なんだなと感じていた。


 魔物も出ない。独り旅が続く。暇なので駆け足で街道を進む。



「安全ブーツで駆け足だから、馬車より速いんだよなー…ん?街の壁。もう街に着いたのか?」



 暫く駆け足で走っていたら、もう次の街に到着。時刻は昼。とりあえず街に入る事にした。


「宿探すかなー…でもこのまま王都目指しても良いかもだけど、流石にホークを待った方が良いか。宿は…あれかな?」



 大通りを進み、ベッドのマークが描かれている看板を発見。中に入り、銀貨6枚を払い部屋を取る。


「部屋は取ったから安心だけど、どうしようかな。買い物するか」


 いつもの通りに買い物へ。王都の近くにある街なので、最初の街ニーソよりも大きい。露店等が並び、活気がある。


「色々あるなー。食べ物の物価は少し高いな。農耕地帯から離れているのかな?あっ冒険者ギルド…一応ホークに伝言しとくか」


 途中に冒険者ギルドがあったので中に入る。両開きのドアが開かれており、開放的な作り。


 受付が4つ並び、一番並びの少ないおっさんの所に並んだ。



「いらっしゃい。用件は?「伝言をお願いしたいのですが?」了解。この紙に伝言を書いて、依頼ボードの近くにある伝言ボードに貼り付けてくれ。内容は?「待ち合わせですね」了解」



 おっさんから紙を受け取り、記入台で内容を書く。『ツールへ。明日朝6時に東門で待ち合わせ。トト』


 伝言ボードに貼り付けて冒険者ギルドを出た。


「よし、とりあえずこれで安心かなーおっ武器屋」


 買い物を再開。武器屋は似たような物ばかりで、特に良い収穫は無かった。


 隣にあった薬屋へ。


「いらっしゃい」

「どうも。上級毒消し2つとハイポーション下さい」


「はいよ。白金貨1枚に金貨5枚。万能薬もあるけどいるかい?白金貨1枚だが病気の他に、石化や麻痺、混乱にも効くんだ」


「へぇー。じゃあそれも2つ下さい」


 白金貨3枚払い、薬屋を出る。そして隣の店を眺め、なんとなく入った。


「いらっしゃい」

「どうも」


 魔法の店。小規模の本屋程の大きさ。魔法書や巻物、媒体など様々な物があった。


(魔法杖に魔法書を合成したら魔法使えるかな?)


 属性毎に色で分けられている。とりあえず1つ手に取り値段を確認。


(赤、緑色複合上級魔法ファイアストーム…光金貨5枚…高え)


 そっと魔法書を戻し、ボーッと眺める。


(緑色上級魔法のフライ。光金貨5枚…確実に覚えられる保証はありませんってどうなの?…俺に必要な魔法ってなんだろ?攻撃あるし、回復あるし、サポート系統かな?)


 サポートサポートと探していく。


(赤色中級魔法のパワー、白金貨2枚。緑色中級魔法のスピード、白金貨2枚。無属性下級魔法のシールド、金貨5枚。無属性中級魔法のマジックシールド、白金貨1枚。後は…高いな…)


「すみませんこれ下さい」

「白金貨5枚に金貨5枚」


 お金を払い、店を出る。


「結構お金、使っちゃったな」



 後は特に用事は無い。宿に戻り、武器の強化に充てた。



 毒無効ネックレスに上級毒消し、万能薬を合成。


≪聖印の守り、ランクーー、攻撃1、状態異常(大)無効≫


「あれ?…凄いの出来ちゃったかも…でもこれで生存率は上がるから良いか」


≪超安全ブーツ、ランクB、攻撃10、自動回復(大)≫


「これで全速力で走っても疲れないかな」


≪ガードリング、ランクC+、攻撃1、防御壁≫


≪強風のベルト、ランクC、攻撃1、パワー、スピード≫


「魔法書だとピンポイントで効果が出るなー。でも高い」


≪毒手榴弾、ランクD、攻撃100≫


「毒袋、魔石、鉄で20個出来たけど…1人の時しか使えないな」


 色々作ったが、アクセサリーが増えてジャラジャラしているのが気になって来た。


「このチェーンとブレスレット邪魔なんだよな…2本あるし…合成して作り替えるか…何にしよ…ウエストポーチって出来るかな?……鋼鉄製ならいける!基準が分からんけど今日買った胃袋と合わせて、合成、作成!」


≪亜空間リンクポーチ、ランクーー、攻撃200≫


「指輪とリンクして使えるから、ポーチを開けなくても触れば大丈夫な仕様、空き容量、目録も見れる優れもの。俺しか使えない。これが武器だと誰が信じよう。って俺何言ってんだろ…」


 これでアクセサリーが戦人の収納リング、ガードリング、聖印の守り、大分スッキリした。


 ドラム型の亜空間リンクポーチの名前を普通のポーチに変更。強風のベルトに通す。空き容量はまだ1割埋まっているくらいなのでまだ余裕。



「これで軽くなった。武器ホルダー作って背中に武器を沢山背負えばレベル上乗せするかな?王都に着いたらやってみよ」



 アイディアは沢山あるが、実現するには素材がまだまだ足りない。王都を拠点に素材を探す事になりそうだ。


 一区切り付いたので就寝する。




 次の日。東門の前にてホークアイと待ち合わせ。



「ごめんトト!私が不甲斐ないばっかりに!」


「まぁ俺も大人気なかったと心の片隅では思っていたから良いんだけど…あれは何?」


「あれは…気にしなくて良いよ!」

「いや気にするよ。うわ…すげぇ睨まれてるんだけど…何?あれは着いてくるの?」


 遠巻きに睨んでいる女冒険者4名。1人増えている気がするが、王都まで一定の距離を挟んで着いてくるという事で落ち着いたらしい。



「クソ男のせいで楽しい旅が台無しだわ!」「クソ男」「闇討ち頼もうかしら」「クソ野郎」



「私にはあれが精一杯だった…」


「ふーん…丸聞こえだな。俺の悪評が増えそうで何よりだ」



 平謝りするホークアイ。一緒に組むと災いが起きそうな予感。ホークアイはトトにとって疫病神的存在になりうる逸材だった。


 負のオーラを出しながら歩くトト。隣にホークアイ。そして後ろから女冒険者が付いてくるというなんとも残念な結果に終わった。



「なぁホーク」

「なんだいトト」


「俺と臨時で組む時は女遊び禁止な」

「そんな!…うっ分かったよ。お詫びに女の子紹介するから許して」


「いらん。ホークの女友達なんて、ろくな未来にならねぇ」

「皆良い子達だよ?」


「ホークの前ではな…」


 後ろから突き刺さる視線を感じながら、昼過ぎには王都に到着。


 大きな砦の様な壁が建ち並ぶ壮観な景色。中央に大きな門。その両側に門があり、中央の門は王族、貴族、賓客、騎士、魔法士が使う門。右側は王都民、冒険者の門。左側は商人や旅行者等の一般職。


 2人で右側の門へ行く。後ろから突き刺さる視線は気にしない。



「はぁー、なんかやっと着いた気がする」

「そうだね。ラファーガからの襲撃が無かったらスムーズだったんだけど」


 右側の門は比較的スムーズに流れる。5分程で身分証を提示して中に入れた。


 門の向こうには外周、中央に続く大通り。多くの人や馬車が行き交う整備された道路。大きな建物が並び、各ギルドの看板が掛けられている。



「おー、王都だけあって人は多いなー」


「ふふっ、そうだね。王都ノール。人口は3万を超えるノール王国の首都だよ。中央区に王城と貴族街があって、主に北区は職人街、東区は商業街、西区は学問街、南区は今居る所で各ギルドや役所関係が集合しているんだ」


「ふーん。(人口3万は多い方だなー)しっかり分けられているんだな」


「そうだね。なんでも転移者が帝国の街並みを設計して、それが大陸に広がったって話だよ」


「転移者か…(地球の人かな?)ギルドに寄るのか?」


「そうだね。と言いたいけど、先に宿を取ろうか。埋まる前に部屋を取らないと大変なんだよ」


「了解」


 宿は大通り沿いに選びきれない程に存在している。ギルドを通り過ぎ、中央区手前まで行った場所に目当ての宿。安らぎの鳥という宿に行く。


 5階建ての綺麗な作り。高級そうな宿だった。


「いらっしゃーい。あっホークさん、いらしてたんですね」

「ええ、二部屋ありますか?」


「ありますよー。ホークさんはいつもの最上階スイートですね。そちらの「トトです」トトさんは2階の角部屋しか空いてないのでそちらで良いですか?ホークさんの紹介ですから1泊金貨1枚にしときますよ?」


「はい、宜しくお願いします(料金表だ。スイート白金貨2枚…VIPだな…2階でも金貨5枚…完全に高級宿じゃねぇか!)…とりあえず1ヶ月分良いですか?」


 白金貨3枚払い予約を済ませる。ホークアイはギルドの口座から引き落としらしい。



「そういやあのストーカー達はどうするんだ?」


「流石にこの宿には紹介が無いと入れないからね。まぁそれは良いとして、ギルドに行こうか」



 2人で来た道を戻り、南区の冒険者ギルドへ。建物が3つ存在しており、F、E、Dランク用の白い冒険者ギルド。C、Bランク、特別枠用の赤い冒険者ギルド。A、S、SSランク用の黒い冒険者ギルドがあり、黒い冒険者ギルドへ入る。


 中は高級サロンの様に優雅な作り。豪華なソファーや調度品が並ぶ。


 5階建ての4階まで吹き抜けになっており、マンションの様に部屋が沢山ある。どうやら冒険者は部屋が割り与えられ、完全個室になっている様だ。



「俺、場違いじゃない?」

「そんな事無いよ。クラス4と単独で渡り合えるんだから自信持ちなよっと。ニグ、入るよー」


 2階に上がり、ニグレットと書かれた部屋に入る。



「おう、ホーク。生きていたか。トトさんも無事で良かった」


「トトに助けられてね。トト、改めてありがとう」


「お、おう、ニグ、さん?」


「そうだよトトさん。私はニグレット。驚いたかい?変装は得意なんだよ」


 ソファーにもたれ、カラカラと笑う赤く長い髪を後で纏めた女性。白い肌に燃えるような赤い瞳。赤いドレスを身に纏い、物腰の柔らかな雰囲気のスタイル抜群の美人がそこに居た。


「驚きました…すげぇ美人ですね_っ!(なんて、事だ…)」

「ふふっ、ありがと。ん?どうした?惚れたか?」


「い、いえ…(ニグパンツ捨てちまったじゃねえか!くそぉおお!)何でも…ない…です」


「トト、ニグに惚れるのだけはやめた方が良いよ。命が幾つあっても足りないから」


「どういう意味だい?…まぁ後でお仕置きをするとして、報告よろしく」



 ホークアイがニグレットにラファーガの件を報告。トトがギックリ腰の件を伝えると、ニグレットは呆れた表情でホークアイを見ていた。


「情けない…鍛え直さなきゃいけないねぇ。予定は組んで置くから私のノルマこなしな」


「…了解」


「トトさんはホークにギルドを案内してもらってから、馬車の荷物を赤ギルドに置いて欲しいかな。報酬もそこで受け取れる手筈だからよろしく。私はまだここで仕事があるから付いていけないけど、ホークの分も今度埋め合わせはするからね」


「まぁ忙しいでしょうから、お気持ちだけで大丈夫ですよ」


 パチリとウインクされる。並の男ならズキューンと来るのだが、女性不振になり掛けているトトには効かない。


 つれないねぇ。と言われながらもニグレットの部屋を退室。ホークアイは、げんなりした表情。



「はぁ…黒ギルドは私が居ないと入れないから。赤ギルドはこっち…」


「はいよ。ホークの変装はニグさん仕込み?」


「そうだよ。ニグは厳しいんだ…」



 遠い目のホークアイと共に赤ギルドへ入る。黒ギルドに比べてランクは下がるが清潔感のある落ち着いた雰囲気。


 受付が3つ並び、冒険者の姿も見える。そこには並ばず、奥にある特別枠と書かれた受付に行く。


「いらっしゃいませ。ホークアイ様。ニグレット様から伺っております。こちらへどうぞ」


「ホーク、特別枠って何?」


「ああ、特別枠ってのはランクが参考にならない強さを持った者や、特別な能力を持った冒険者以外の者の為にある物なんだ。トトも特別枠に推薦したからね」


「え?そうなの?強制依頼とか無い?大丈夫?」


「ああ大丈夫大丈夫。ただ低ランクと扱いを分ける物だから、今まで通りで良いよ」



 案内された先。狭い体育館程の解体部屋に到着。ここで馬車の荷物を取り出す。


「トト、ラファーガはどうするの?売る?」


「うーん、売ったら幾らくらい?」

「光金貨4枚くらいかな?」


「じゃあ売ろうかな。あっ、魔石と爪は売らないからね」


 ラファーガを出して、魔石と爪を係員に解体してもらい、収納。それでも光金貨3枚にはなるそうだ。


 用件は済んだので、解体部屋を後にする。再び特別枠の受付にて査定を待つ事になった。



「終わったら商業ギルドに行きたいんだけど」


「案内するよ。私の紹介なら優遇してもらえるし」


「特別枠って他に居るの?」

「いえ、現在は居ません。ホークアイ様がトト様の推薦をしましたので、明日には特別枠はトト様のみになるかと思います。なので、ご利用の際はこちらのベルを鳴らして下さい」


「了解しました」



 査定の結果が出た。特別指名依頼の報酬に、緊急討伐が多数、クラス4の討伐、ラファーガの納品。全部で光金貨7枚、白金貨5枚になった。








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