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流れの武器屋  作者: はぎま
ニーソの街
22/163

王都へ向かう

 トトとホークアイは二人きりで夜を明かす。可愛い女の子だったら良いなと思うが、隣に居るのはムカつく程のイケメン。



「ありがとうトト。大分良くなったよ」


「そりゃどうも。それじゃあ行こうか」


 立ち上がり次の街を歩いて目指す。馬は襲われて死んでしまったので、馬車を直しても意味が無いからだ。



「王都に着いたら、たまに仕事で組んでくれないか?トトとなら並び立って闘える」


「んーまぁ臨時なら良いよ。とりあえず生活基盤をしっかりしてからだけど」


「ふふっ、ありがとう。助かるよ」



 暫く歩き、ラファーガが現れた場所に到達。闘いの跡がまだ残っていた。



「クラス4が出現するのは良くあるの?」


「まぁクラス4くらいなら良く出るよ。といっても月に一回あるか無いかだけどね」


「へぇー。ところでさぁホーク」

「なんだい?」


「彼女何人居るの?」


「……」


 トトの問いに考え込むイケメン。指を折るのが止まらない。何周かした後に爽やかな笑顔をトトに向けた。



「…沢山」

「…爆発しろリア充が」


「なんでさ。強い者は多くの女性を幸せに出来るんだよ?トトは彼女居ないの?」


「…居ないよ」

「そんなに強いのに?というかなんで前髪下ろしてるのさ。半分顔が隠れて表情が良く分からないんだけど」


「あぁ、髪切らなきゃな。今度切るわ」




 森の中を歩く。鳥の鳴き声が響く気持ちの良い朝。すれ違う馬車は無く、静かな森を談笑しながら通り過ぎた。



「森を抜けたから、あと2、3時間で次の街に着くかな。それから馬でも借りる?歩きでも日数は変わらないけど」


「また魔物が出たら馬が可哀想だから歩きで(そもそも馬に乗れないしな…今度戦車でも作るかな)…とりあえず早くベッドで寝たいや」


「そうだね。早く治療院に行ってハイヒール掛けてもらわなきゃ」


 街にある治療院に行き、お金さえ払えば怪我や治せる病気を治してくれる。ヒール、ミドルヒール、ハイヒールと魔法にもランクがあり、下級、中級、上級、王級、帝級、伝説級と難易度が上がっていく。


 街道を進んでいくと、やがて壁に囲まれた街が見えてきた。何やら物々しい雰囲気。ホークアイはハゲのおっさんツールに変身。


 街の門に到着。


「止まれ。身分証を…犯罪歴無し。通れ」

「どうも。あっ、ニグというぽっちゃりなおっさんは来ましたか?」


「ん?ニグ?あー…クラス4が出たと言っていた奴か。ならあんたがツールだな。そいつなら王都に向かうと言っていたぞ」


「ああ、そうでしたか。ありがとうございます」


 衛兵に話を聞き、トトとツールは宿で部屋を取る。


 その後は別行動。ツールは冒険者ギルドに寄ってから治療院へ。トトは街を散策する事にした。


「ホークはクラス4の報告かな?とりあえず薬屋に行こう。ハイポーションを買わなきゃ」


 ミドルポーションナイフではもしもの怪我に対応出来ない。お金はあるので薬屋を探す。


(所持金は白金貨7枚に金貨20枚。それに盗賊が持っていたお金が…そういえば数えて無いな)


 戦利品の整理をしていないので、宿に帰ったらやろうと思いながら薬屋を発見。中に入る。


 中はコンビニの大きさで広い。儲かっていそうな雰囲気だった。


「いらっしゃい。何かお探しで?」

「はい。ハイポーションを1つ下さい」


「はいよ。白金貨1枚ね。他はいるかい?」


「えーっと(ハイポーション高いな…直ぐ治せると思ったら安いのか?)大食い系統の魔物の胃袋ってありますか?」


「い…蛙、ワーム、熊の胃袋の粉末ならあるぞ「ワームと熊の値段は?」…ワームが金貨1枚、熊が金貨3枚だね「じゃあ1つずつ下さい」まいど」


 白金貨1枚と金貨4枚渡し、ハイポーションとワームと熊の胃袋を受けとる。薬屋を出て、次は武器屋に入った。



「いらっしゃい」

「どうも…っと」


 薬屋と同じ大きさの店内に、所狭しと武器が並べられている。


(んー?これは属性武器か)


≪火の剣、ランクC-、攻撃100、火属性≫


(うーん…弱いよなぁ。これが上位職業が使う武器か)


≪土の剣、ランクC-、攻撃101、土属性≫


 トトが普段使っている武器よりも弱い事になんとも言えない感じになるが、これで光金貨5枚する。


 特に見るものも無く、安売りのエリアへ。ボロい武器に混じって割りとまともな武器を発見。手に取ってみた。



「この感じ、毒沼みたいだな…呪い武器?」


≪首狩りの鉈、ランクD、攻撃15、首狙い時攻撃力上昇≫


「物騒だけど良いな。あれ?ここにも」


≪骨砕きのハンマー、ランクD、攻撃12、骨砕き≫


「そういえばハンマーの強化してなかったな」


≪骨十字の剣、ランクD、攻撃7、邪属性≫


「持ったら発狂しそう…すみませーん。このコーナーの武器全部下さーい」


「え?あ、ああ…ちゃんと処分してくれよ」



 他の武器も買い、80本白金貨1枚で購入。防具屋では鉄製品を購入し、宿に戻る。



 ホークアイとは別の部屋。隣り合ってもいない。まぁそういう事なんだろうと思いながら武器を作成していく。



≪ハイポーションナイフ、ランクC、攻撃10≫


「ホークはああ言っていたけど量産したいなー。バレなきゃ良いだろ。もうバレてるけど」


≪妖刀・邪毒、ランクB-、侍レベル48、攻撃296、邪毒付与≫


「毒沼と骨十字合わせてみたけど…なんかこれ悪者の武器だよな…」


≪ボーンクラッシャー、ランクD+、重戦士レベル31、攻撃162、骨砕き≫


「スケルトンが出たら活躍かな」


 まだ時間はあったので、盗賊の宝を確認。お金は光金貨4枚、白金貨15枚、金貨、銀貨、銅貨は多数あった。


「おおー。これもう冒険者しなくて良いんじゃないか?」


 商人の物と思われる日用品、雑貨等はどうしようかと悩み、何処かで売れば良いやと意識を投げ魔導具を確認。


「照明の魔導具は…洞窟で使うか…時計の魔導具は、確か光金貨5枚で売っていた気がする…高級品だ。送風の魔導具…何かに使えるかな」


 他の物も見ていく。


≪属性石(黄)、ランクC≫

≪属性石(青)、ランクC+≫

≪属性石(赤)、ランクC≫


「これはデザートイーグルに組み込むかな。合成」


≪魔銃・デザートイーグル、ランクC+、魔銃士レベル61、攻撃322、散弾≫


「散弾は範囲攻撃か、やった。あとは宝石だけど…」


≪クリアホワイト、ランクB≫

≪クリアグリーン、ランクB≫

≪ディープレッド、ランクB≫

≪シャイニング・クリスタル、ランクーー≫


「この世界の宝石の価値が分からない…」


 宝石の位置付けもよく分かっていないので、何処で売れば良いのかも分からない。とりあえず何かの武器に出来そうなので取っておく事に。


「最後に銀色のインゴットだけど…鑑定」


≪魔銀、ランクB≫


「魔銀?…ミスリル?だとしたら嬉しいけど…」


 2キロのミスリルと思われる金属。使い方に悩む。


「武器屋で魔銀を見てからかな。この世界での位置付けが分からないと勿体無いし」


 盗賊の宝を一通り確認。凄い収穫に、また盗賊を倒そうと心に決める。


 ベッドに横になりながら、これからの事を考えていたらそのまま眠りに入ってしまった。




 翌朝。



「やぁ、おはようトト」

「……あぁ、おはようホーク…それはなんだ?」


「…ふふっ」

「…元居た場所に置いてこい」


「…やっぱり駄目?」

「……」


「何よコイツ」「ホークアイさまぁ、私達と行きましょうよぉ」「こんな奴ほっといてまた私達と行きましょう?」



 朝、宿の集合場所にはホークアイと女冒険者らしき3人組。トトを親の仇の様に睨み付けていた。



「あんたがホークアイ様の依頼主ね!早く依頼を取り消しなさい!」「ホークアイ様は私達と行くんですぅ!」「何様よ!クソ男ね!」


「……(依頼主は俺じゃねえ…)ホーク…俺は1人で行く」


「まっ!待って待ってごめんよトト!ちょっ!ちょっと待っててくれる?」


「…15分後に門で待つ。5分待っても来ない場合は1人で行く…」


「わ、分かった!必ず行くからね!」


「えー!私達と一緒に行きましょうよ!」「良い事しましょぉ?」「クソ男なんかほっといて今日もここに泊まりましょ?」



 トトの冷たい視線を受け、ホークアイの顔が引きつる。さっさと門の方に向かうトトに焦っていた。



「危なかった…あと一歩でキレる所だった。…この世界の女性は皆ああなのか?」


 門に向かうトトは深いため息と共に天を仰いだ。

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