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流れの武器屋  作者: はぎま
ニーソの街
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魔武器とは

翌朝。トトはテント、日用品、調理器具、保存食、調味料を買いギルドの資料室に居た。


「残りのお金は白金貨2枚、金貨10枚、銀貨15枚…何とかなりそうだな。いまいち魔武器の定義が分からないから資料があれば良いけど…あった」



武器には鉄の剣などの武器、火属性の剣などの属性武器、魔力弾を撃つ杖や能力がある武器は特殊武器、魔武器、神武器などあり、細かく分ければ多くの種類がある。



「魔武器…ランクA以上、高い耐久性、高い攻撃力、特殊能力、固有技、能力上昇などが基準値以上の武器を指す…曖昧だなー。人の手で作り上げる事は困難を極める武器の最高峰」



爆炎の戦斧を思い浮かべる。項目には当てはまる様な気がした。


「作り直しちゃったけど、爆炎の戦斧は多分魔武器だよな。となると…デザートイーグルは魔銃って書いてあるけど条件は満たしていないから特殊武器かな?はぁ…良く分からない」


強化して条件を満たせば魔武器になるが、道のりが険しそうだ。



「素材の山があれば1個くらい魔武器を作れそうなものだけど…神武器は神が作りし武器…ってなんだよ。もっと曖昧だな。神って居るのか?」



神に興味は無いので、資料を読み進めた。特に面白い内容は無く、新しい資料を発見し読み進める。



「んー?ノール王国暦340年度版、魔武器一覧。へぇーこの国ノール王国っていうのか。魔武器所有者も分かるのは載っている。そんなに数は無さそうだけど…おっ?」


ノール王国


魔槍ヴォルテックス・ウインド

ノール王国第一王子、アラン・ノール・ニューロード


魔剣ブレイジング・サン

王国騎士団団長、ジーラス・ヒート


魔剣ブラッド・ペイン

ヴァンカリス公爵家、アイヤード・ヴァンカリス


魔杖ギアチァイオ

王国魔法師団団長、アイリス・フォート


魔剣ドラゴン・キラー

Sランク冒険者、ドーグ・サラス


魔双刃五月雨

中立管理官、Aランク冒険者、ホークアイ


魔剣トニトルス・ロペラ

所在不明


魔拳ギガース・グローブ

冒険者ギルド王都ギルド長、ゴドム・ハンサ


魔鎚クレイジー・グラビトン

所在不明


…………



「他にも書いてあるけど魔剣が多いなー。後は、ハゲおっさんイケメンのホークアイが載ってる。中立管理官?Aランク冒険者…魔双刃ってなんか格好良さそうな魔武器だな」



周辺の他国の魔武器も載っていたので、武器作りの参考の為にノートに書き写す。


1つの国に平均で10個の魔武器が存在している様だ。爆炎の戦斧の様に、公開されていない潜在的に存在している魔武器は倍はあると推察。


昼になり、良い情報を得られたトトは、薬草を抱えて並ぶ冒険者の横を通り過ぎギルドを出た。



「明日は依頼の日だから早く寝るとして、準備は終わったから…」



大食い蛙を狩ろう。収納はいくらあっても役に立つ。


屋台で買った串焼きを食べながら、駆け足で沼へ。


30分程走り、目的地に到着。沼には以前来た時よりも多くの冒険者が居た。森に入れない冒険者が、沼に居る魔物の素材を取りに来たのだろう。



「うわー、前は8人とかそこらだったのに50人くらい居るや。んー…あっあそこの沼は人が居ない」


沼地の外れ、他の沼よりも黒く濁った沼へ向かう。その様子を他の冒険者は笑いながら見ていた。


「あいつ薬草だよな。毒沼へ行ったぞ」「毒になったらせしめてやろうぜ」「あそこは割に合わないからな」



「(毒沼?毒消しリング…いや、刺付きのネックレスを作っておくか…)…作成」


戦利品の毒消しと、ナイフを合わせてネックレスを作成し毒沼と呼ばれる場所へ向かう。


≪毒無効ネックレス、ランクC、攻撃1、毒(小)無効≫


「ん?なんか凄いの出来た。もう1つ作っとこ」



沼に到着。25メートルプール程の大きさ。ポコポコと泡が弾ける黒い沼。RPGである様な、入ったらダメージを受けそうな沼。



「うわ…沼自体が毒なのか?でも蛙は居るな、鑑定」


≪大食い毒蛙、クラス1、強さ10≫


「うん、俺より強いな。ムカつくから撃ち抜こう」


タンッ!_バシュッ!蛙が粉々に弾けた。


「あ…強すぎた…強さ10に攻撃力230だとこうなるわな…仕方ない。槍にしよ」


鋼鉄の槍を取り出し、ザクザクと蛙を倒していく。10匹倒し、地面に置く。


「なんか胃袋と毒袋だけ残して合成出来ないかなー…合成」


メイン武器のデザートイーグルを当て、合成。すると胃袋と毒袋だけ残してデザートイーグルに吸収された。


「出来た!これで時短になる!合成!」


楽な方法を編みだし、次々と蛙を倒す。胃袋は指輪にして繋げ、ブレスレット状複数とチェーンを作っていく。毒袋は加工せずに収納。


収納チェーンを加工中にふと考える。これを誰かが鑑定したら不味いのではないかと。


「普段身に付けている物を鑑定されたら、収納魔導具を持っているカモだと思われる…どうしよう…隠蔽?出来るかな…素材が足りない」



鑑定妨害や鑑定無効も素材が足りない。そして、デザートイーグルを見て閃いた。


「名前を変えてしまえば良いのか。収納チェーンを鑑定しても能力は記載されてないし…出来るかな?名前は普通のチェーン、普通のチェーン…作成!」


≪収納チェーン、ランクB、攻撃100≫


→≪普通のチェーン、ランクB、攻撃100≫



「何!名前が怪しい!普通のチェーンなのにランクB!…まぁ…収納よりは良いか?」


乾いた笑いを浮かべながら、身に付けている物の名前を変えて行く。何故か普通と付いてしまった。


≪普通のリング、ランクB、攻撃1、基礎能力上昇≫


≪普通のブレスレット、ランクC+、攻撃1≫


「くそ!ただのチェーン!作成!」


≪ただのチェーン、ランクB、攻撃100≫


「なんでだよ!もう普通で良いや!作成!」


≪普通のチェーン、ランクB、攻撃100≫



「…はぁ。なんか疲れた…」



気持ちを切り替えて大食い毒蛙を倒していく。何匹倒したか分からないが、200匹は倒したかなという所で蛙の姿が見えなくなった。


≪魔銃デザートイーグル、ランクC+、魔銃士レベル36、攻撃272≫


「結構上がったなー。レベル100になれば職業ランク上がるかな?」



夕方までは少しあるので、毒沼を眺めながら休憩する。冒険者達は素材を抱えて街に向かっている。



「その内2丁拳銃もしたら格好良いけど、まだ先かなー」


やがて冒険者の姿は無く、トトだけが残る。


「帰るかな。毒も手に入ったし、加工が楽しみ……毒…この毒沼も素材になる?」


フラりと立ち上がり、毒沼に手を入れる。


「…出来る。武器は…毒…暗殺…忍者…刀かな。作成」


毒沼に鉄の剣を投げ入れ武器作成する。毒沼が輝き、水位が下がっていく。


やがて毒沼の毒水が消え去り、底が見えてきた。


「なん、だ?底に何かある」


底に刺さるドス黒い刀。そしてその周辺には毒沼に沈んでいた物が姿を現していた。



「冒険者の荷物?結構ある…何人毒沼に落ちたんだろ?ボロボロの武器防具、お金もボロボロで使えないか…あっ金貨は使えそう。白金貨もある!やった!」


10人分以上ある荷物。毒に浸食された日用品や薬、ボロボロの武器防具、皮袋に入っていたお金は白金貨5枚、金貨30枚。


他に無いかと水気の無い、25メートルプールの大きさの沼跡を探索。すると、中心部分に黒い石を発見。



「属性石?鑑定」


≪属性石(毒)、ランクB≫


「高ランクの属性石だ!やった!これがあったから毒沼だったのかな?」


誰かが投げ入れたのか、たまたま入ったのか分からないが、得をした気分で1メートルあるドス黒い刀を引き抜いた。


≪妖刀毒沼、ランクC+、侍レベル30、攻撃260、毒付与≫


「うわ…強…なんか毒沼で死んだ人の怨念とか入ってそう…毒石を合成したら強くなると思うけどまた今度かな」



夢中で沼跡を探索していたので、辺りは暗くなっていた。蛙がゲコゲコ鳴いている。もう何も無いのを確認して街に駆け足で向かう。




宿に到着。強くなっている手応えを感じながら、この街での最後の夜を過ごした。


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