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流れの武器屋  作者: はぎま
第二次女神大戦
152/163

内殻。

 

「死んだ癖にまた出てきやがって」

『銀河の楽園がある限り…我等は復活する』

「そうかい…じゃあやられてくれ」


 トトが深紅の斧を振るう。

 殻兵獣が防御。しかし爆発と共に吹っ飛ばされ、「__焦熱火炎」焦熱の炎が周囲の殻獣もろとも焼き尽くす。


『__エビルエナジー…』

 黒い弾丸が迫り、トトは斧で打ち払う。上空に飛び出てきた殻兵獣は両手をトトに向け、力を溜め始めた。

 トトは殻兵獣に向かって走る。


「おら来いよ。__焦熱破紅斬!」

 斧に焦熱を纏わせ殻兵獣の胴体を狙う。

『…フォースブラスト』

 ギュゥゥ__締め付けられる音を響かせながら、黒い光が深紅の斧に衝突。

 黒い光が焦熱に呑まれ…

『…見事』殻兵獣を吹っ飛ばした。

 殻兵獣は燃えながら他の殻獣を巻き込んで転がり、顔を歪ませながらゆっくりと立ち上がる。

「エナジーヒール」…回復をしながらトトの元へと歩きだした。


「…やっぱり、楽しそうに闘うなぁ」

『楽しいさ…これだけが生き甲斐だからな』

「まともに喋れるようになったんだな。なぁ…銀河の楽園の目的ってなんだ?」

『…次元世界全ての宇宙となる事…』

「…ちょっと壮大過ぎて解らないけど…世界の支配って事か?」

『そう捉えてもらえば良い』


 挨拶代わりの闘いが終わり、呑気に会話をしているトトと殻兵獣。

 それをルナライトは横目に見ながら他の殻獣を倒しているのだが、会話しないで早く倒して欲しいと思っていた。


『泰人…早く倒して』

「そうは言っても、あいつに殺意が無いからなぁ…」

『くくっ、元より一度負けた身だ。今のままで勝てるとは思っていない』

「今のまま…か、変身でもするのか?」

『あぁ…銀河の楽園が力をくれる』


 殻兵獣が顔を歪ませながら空高く飛び立ち、悪神の元へと向かっていった。


『…逃がした』

「楽しそうだったからついな…とりあえず、悪神に攻撃するかぁ」

『次は私も手伝う』

「神結界は大丈夫なのか?」

『神結界は女神の中で私が一番得意だから』

「よし、じゃあやるか!」


 トトが消滅兵器を起動させて真上に構え、ルナライトが白い立体魔法陣を展開。立体魔法陣から無数の砲身が現れた。


「…こうやって並んで戦えるなんて、思っていなかったな」

『…そうだな……怒っているか? 私が記憶を消した事…』

「…最初は悲しかったけど、今は…感謝してる」


 今も悲しい気持ちは持っているが、それよりもここまで強くなれたのはルナライトのお蔭だと思っていた。


『…やめろ、礼なんて聞きたくない』

「ルナのお蔭で、ここまでの力を手に入れる事が出来た。これで、思い残す事が後二つまで減らす事が出来たよ」


『……やはり、帰るのか?』

「…いや、俺はこの戦いで死ぬと思う」


 実際に対峙してみて、戦ってみて解る。強さの桁が違う。クラス10を簡単に生み出せる存在に、勝てる算段が見付からない。


『…泰人は死なない。私が守ろう』

「はははっ、ありがとうな。勝てる見込みがあれば期待しとくよ。撃つぞ」


 トトが消滅兵器のボタンを押し、ルナライトが魔法を発動。

『禁術…ホーリィレイ・フルバースト』

 キイィィィイ!__消滅兵器からレーザービームが射出され、立体魔法陣の無数の砲身が一斉射撃。


 悪神の真下から落ちてくる欠片ごと吹き飛ばしていく。

 やがて亀裂が発生。欠片が落ちてくるが消滅砲と一斉射撃により塵となっていった。


 バキッ!_バキッ!_「おっ?」

『割れた…』

 悪神が分割された。

 中心に数メートルの塊を残し、北南東西…そして中心に分割された欠片が落ちる。


 分割された欠片は形を変え…


「ルナ…あれはクラス何だ?」

『あれは…クラス外だ…』

「って事は…女神達より強い?」

『あぁ…』


 中心に落ちた欠片。大きさは先程の比では無く、形を変えながら収縮。


 真っ黒い身体に、銀色の線が血管のように張り巡らされ、脈動している。黒い翼を広げ、トトを見据える銀色の瞳が妖しく輝いていた。


≪核星獣・ルゼルタイタニア、クラス外、強さーー≫


『待たせたな…トハシヤスト。さぁ…始めよう』



 ______



 悪神の西位置。


『はっはっはー! 行くぞー! ……ん?』


 クラス10…殻駆獣と戦っていたフラマフラムが異変に気付く。

 悪神が分割され、巨大な欠片が落ちてきた。

 欠片が空中で形を変えていく…


『__ギャオォォオオ!』


 グシャッ!__対峙していた殻駆獣が、新たな殻獣に踏み潰された。

 見上げる程の大きな黒い体躯。岩のようにゴツゴツとした皮膚には銀色の角が至るところに突き出ている。

 縦に割れた瞳孔がフラマフラムを見下ろし、翼を広げて雄叫びを上げていた。


≪核星竜・ムドゥイン、クラス外、強さーー≫


『くくっ、まじかよ。強さが見えねえ』


「ノワールさん…あれは無理です」

「私も、無理かなぁ…」



 ______



 悪神の南位置。


『くっ…神結界!』


 異常を察知したヴェーチェが神結界で殻獣を閉じ込めている。

 しかし、長くは持ちそうにない。


「ちょっと…これはまずいかなぁ」

「私も手伝いますねー」


 トリスがヴェーチェの隣に立ち、「封印禁術!」

 白い鎖を殻獣に絡ませる。ヴェーチェの神結界が少し安定を見せてきた。


『ありがとう。トリスちゃん!』

「いえいえ、これも聖女の仕事ですから。でも長くは持ちませんねぇ…」


 閉じ込められた殻獣は、怒りを内包しながらヴェーチェを睨み付けている。虹色の羽に鎖が巻き付き、丸太のように太い足を蠢かせ少しずつ結界を溶かしていた。


≪核星蟲・メギドバタフライ、クラス外、強さーー≫


「蝶って近くで見るとキモいですねー」

「虫…」

「まぁ…虫だからね。ちょっと僕は力を溜めるよ」



 ______



 悪神の東位置。

 やっと殻獣を倒した所に、分割した欠片が落ちて形を変える。

 鎧を纏った銀色の騎士の姿。手に持つ銀色の剣が輝き、銀色のオーラを纏う。


≪核星鎧・星の勇者、クラス外、強さーー≫


『あらぁ…分が悪いわねぇ』

「勇者って…」

「私はサポートに徹するよ。あれじゃあ一撃で死ぬからね」



 ______



 悪神の北位置。

 欠片が変化し、クラス外の殻獣が生まれた。

 真っ白い毛並みを持つ巨大な狼。


『女神よ…消え去れ』


≪核星獣・ユーサネイジア、クラス外、強さーー≫


『なんや犬コロか…強さが見れんとなると…』

『ニャートラ』


 テラティエラが強さを測るが、明らかに自分よりも強い。

 まともに戦えば直ぐに殺されるが、テラティエラには秘策があった。


『ふっふっふ…この武器を使う時が来たなぁ…』


≪千神拳・ニャーテラ、ランクーー、千神ーー、攻撃ーー、超破壊混沌爪武、超武神術、ニャートラ召喚≫


 トトが作ってくれた武器…これを使う時が来た。


『ニャートラ! 合体や!』

『ニャーートラ!』


 ポンッ!__ニャートラが子猫サイズに小さくなり、テラティエラの肩に乗る。肉球と爪が付いたガントレットを嵌め、内包していた力を解放した。


『武神装・千神獣王!』


 黄色い光の柱がテラティエラを包み、武神装が展開される。

 黄色い虎柄の武闘着に、虎柄シューズ。サイドテールの髪は下ろされ、頭にピョコンと猫耳が生えた。


『よっしゃー! ほんなら…』


 虎柄の肉球ガントレットを鳴らし、核星獣と互角に闘える力を確信しニヤリと笑う。



『行くニャ! ……ニャ?』



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