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流れの武器屋  作者: はぎま
第二次女神大戦
151/163

中殻。

 悪神の北位置。


『んあ? なんでこっち来るん?』


 四元超星を放ち、次の殻獣に備えていたテラティエラが異変に気付く。悪神がゆっくり回転しながら移動している。

 直前にレーザービームが当たるのを目撃していたので、それのせいかと思ったが…


『大方…ルナちんが駄々こねてやす兄ちゃんの邪魔したんやな』

『ニャートラ』

『ニャートラもそう思うか。よーしよし』


 大きな虎柄のネコをワシャワシャ撫でながら、ボトボト落ちて来る欠片を眺める。


『…まだ全部欠片が落ちていないけど。全部こっちに落ちたらウチに集中するやんなぁ…ニャートラ』

『ニャートラ!』


 ニャートラが少し移動。口を開け、どす黒いエネルギーを溜めていく。

 狙うは悪神…


『__ニャーーー!』

 ドオォォオオ!__破壊光線が悪神に直撃。高エネルギーに押され、北側に移動していた悪神が方向を変える。


『よっしゃ! 良くやった!』


 悪神の向かう方向は…東。


『アクアー! きばりやー!』


 テラティエラは晴れやかな表情で笑い、形を変えていく欠片…殻獣に向かって走る。



 ______




 悪神の東位置。

 アクアマリンが異変に気付く。


『あらぁ? こっちに来るわねぇ…』

「うわっ…魔物が落ちて来ますよ…」

「もしかして…テラティエラ様はこっちに擦り付けようと…」


『テラ…後でお仕置きねぇ。みんなぁ、南に押し出すわよぉ』


 アクアマリンが杖を掲げ、空中に大量の水を出現させる。

 ノーレンが異銃・ライトニングブラスターを構え、力を溜めていく。

 ニグレットも銀環・アゾットゼルクを大砲に変型させ、魔力砲の準備。


『水大砲ー』

 大量の水が圧縮し、一気に射出。

 悪神の動きを止める。

「__天雷砲!」

 動きの止まった悪神に雷の砲撃。続いてニグレットが、「魔力砲!」幅の広い魔力の塊を放つ。


 全員魔力を込めていくと、少しずつ悪神の動く向きが変わり…

 南の方角へ。


『よーし! じゃあアイツら倒すわよぉ』


≪殻騎獣・デュラハンロード、クラス9、強さ85999≫


≪殻機獣・オリハルコンゴーレム、クラス9、強さ92347≫


≪殻木獣・フレザードツリー、クラス8、強さ58036≫


「強っ…過ぎ…」

「ノーレン君。頑張ったら良い事してあげようか?」

「はい! がんばります!」



 ______



 悪神の南位置。

 女神達が足を引っ張り合うお蔭で、殻獣が良い感じに分散されていく。もちろんこちらも顔を引きつらせたヴェーチェが暴風を引き起こし、なんとか悪神の向きを西に変えていった。


『はぁ、はぁ、余計な体力使わせて…』


「少し休んでて。ここは僕と…」

「私も頑張るよー!」

「…手伝おう」


 タケルとヴェーチェの前に、トリスとアイリスが立つ。

 迫る殻獣に、「__氷刃雪崩!」アイリスが氷刃の雪崩を発生させ切り刻む。

 トリスも負けじとウサギの杖を握り、ヤバい色の魔法陣を展開。


「__裏魔法・モノマネ!」


 トリスの魔法陣からアイリスと同じ氷刃の雪崩が出現。

 広範囲に渡って殻獣が粉砕されていった。


「うわー。トリスちゃん、その魔法凄いね」

「ふふーん。タケルさんの技もモノマネ出来ますよー」

「へぇー、案外トリスちゃんが一番強いかもね。おっと…四聖獣奥義・玄武水霊破!」


 クラス9の殻獣を大量の水刃で貫く奥義を放つ。

 トリスはそれを見て、「裏魔法・モノマネ!」

 次々と殻獣を貫き、殲滅していった。


「…トリス、張り切り過ぎないように」

「平気だよアイリスさん。トトさんに笑われたくないからね」

「ふふっ…そうだな。私も恥じない行動をしなければ」


(ん? なんだこの違和感…)


 タケルが二人のやりとりに違和感を感じ首を傾げるが、戦闘中なので後にしようと頭の隅に追いやる。



 ______



 悪神の西位置。

 女神達の押し付け合いの結果、西位置に一番大きな欠片が落ちた。


『はっはっはー! クラス10か! やっと骨のある奴が来たな!』


『…銀河の塵となれ』


≪殻駆獣・アダマントケンタウルス、クラス10、強さ185883≫


 メタリックな鉄色の半人半馬。身の丈を越す戦斧を持ち、鉄色の瞳をフラマフラムに向けている。

 クラス10の魔物は、女神が全力で戦う相手として神話やおとぎ話にしか語り継がれていない。



「クラス…8…9…それに10…私は…足手まといなのでサポートに徹します」

「足手まといじゃないです。ミランダさんの攻撃は星の力が含まれていますから、案外通用するんですよ」

「ノワールさん……はい、弱気になっちゃいけませんね!」


 元々好戦的では無い二人は共闘する内に打ち解け、次第に信頼が生まれていた。

 フラマフラムと殻駆獣が対峙する中、二人は離れ他の殻獣を相手にする。


「__メティオール!」

 ミランダの隕石群が殻獣達を押し潰し、

「__破滅の星!」

 ノワールの破滅の星が殻獣達を破壊。

 更に、近付いた事で圧迫感が凄い悪神を狙い、元の中心部まで二人で押し出していく。


「くっ…ノワールさんは…あの人の恋人なんですか?」

「ん? まぁ恋人になりたい…かな。ミランダさんは…恩人が彼だって気付いていましたね」


「えぇ…なんとなくそうだろうなぁって…でも言えなくて……ここに立っているのは、あの人のお蔭なんですよね…来たっ…スターレイン!」


 才能を見出だし、この名誉ある戦いの場に立たせて貰った。

 ミランダにとって、トトは恩人以上の存在。

 だからこそ、悔しそうにしている。

 神敵という言葉に踊らされ、味方になれなかった事を。


「思い出す限り…彼の事、好きでした? __裏魔法・破滅の炎!」

「好かれようと頑張っていましたが、恋愛対象じゃなくて…理想の兄…という感じでしょうか」


「あぁ…確かにあのお兄さん…ミランダさんへの愛が凄くて引きますよね」

「えぇ…って会ったんですか!?」


 ノワールは殻獣達を倒しながら、ノール王国の出来事を話していく。兄ドーグがちゃんと人の話を聞いた事に驚きながらも、トトに感謝していた。


(あれ? …ヴェーチェルネード様がトハシさんへの好意を隠した筈だけど…効果が切れてる?)


 範囲攻撃が得意な二人は、レベルの上昇率が違う。ノワールは既にレベルの上限を超えてレベルは無いが、ミランダもそれに近付き…


「あの人の為なら、私は命を掛けられますよ!」


≪ミランダ・サラス、星剣に選ばれし者、強さ15499≫


「ふふっ、駄目ですよ。命を掛けたら本気で怒られちゃいますから」

(レベルが無くなって…好意の感情は戻った。でも記憶は戻らない…か)



 ______



 悪神の中心位置。

 悪神が北、東、南、西と回り、中心に帰ってきた。

 そのお蔭で疎らだった殻獣が増えていく。


「あれ? フラマフラムさんの所…クラス10が居るな」

『もうクラス10か…』

「なぁ、クラス10が最高みたいだけど…どれぐらいの強さなんだ?」

『クラス10は、私達女神とまともに戦える強さ…だな』

「じゃあ数が増えるとまずい…か」


 ドゴンッ!__悪神の大きな欠片が、トトを狙うように落ちてきた。そして欠片が形を変える…


 真っ黒い身体に、緑と黄色の線が血管の様に張り巡らされ、脈打っている。一つ目と黒い翼が輝く魔物。


≪殻兵獣・ルゼルタイラント、クラス10、強さ194695≫


「中ボスはお前かよ…殻兵獣」


『また…会ったな。トハシヤスト』


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