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流れの武器屋  作者: はぎま
第二次女神大戦
148/163

天上会議。

 

 天上…集合場所では、珍しく女神達が揃ってこたつに入りラグナレヴィア復活の会議を始めていた。


 難しい表情のフラマフラム。

 困った表情のアクアマリン。

 ニコニコしているヴェーチェルネード。

 ムスッとした表情のテラティエラ。

 ぐでーっとしているルナライト。


 こたつの上には各女神が持ち寄ったお菓子やつまみが並び、女神達は真っ直ぐテラティエラの前にあるお菓子を見詰めている。


「議長はテラね」「そうだな」

「なんやウチに喋らせて自分らはお菓子食べる気やろ」


 ヴェーチェとフラマフラムがそっと目を逸らす。甘い物はテラティエラしか持っていないという理由だけで議長にさせる残念な会議だが、仕方ないとばかりにテラティエラが立ち上がる。


 部屋の隅へ行き、黒板を引っ張り出してこたつの前に置く。


「書記はヴェーチェな」「えー!」

「フラマは変な記号付けるしアクアは字を書こうとしない。観念しい」


 渋々ヴェーチェが黒板の前に行き、チョークで『天上会議!』と書く。テラティエラは腕を組んで全員の顔を見てから、最初の議題を発表。


「最初の議題は…ルナちん復活や」


 女神達がルナライトを見ると、ルナライトがこたつの中に逃げようとしている。フラマフラムがルナライトの腕を捕まえ、アクアマリンが引っ張り出した。


「嫌だし、嫌だし! 姉さんと戦いたくないし!」

「ルナちん、ワガママ言わんと…」

「ルナ、美味しいお菓子があるぞー」

「ルナ、美味しいつまみがあるわよぉ」


 ルナライトはジタバタしていたが、フラマフラムが口にお菓子を入れると、「…」少し大人しくなった。



「…なんかあの時みたいね。ラグナに連れられてこの世界にやって来てさ」

「あぁ、あの時のルナちんはウチより小さくて可愛いかったな」


 ラグナレヴィアとルナライトは、元々この世界の神では無い。元居た世界は死の星となり、はぐれの神となって世界を渡り歩いていた。

 もちろん中々居着ける世界は無く…様々な世界を渡り、よそ者の神として良い扱いを受ける事は無い。

 それでもラグナはルナライトを連れて受け入れてくれる世界を探し…そして、ようやく辿り着いた世界がこの世界『アスター』。

 アスターの女神達はラグナとルナライトを快く受け入れ、一緒に世界を管理するように。


「俺は何回引っ掻かれたか…」

「それはフラマが無理矢理抱き締めるからでしょ?」


 ルナライトにとって、ラグナが全てだった。


「…ルナちん無しで戦う事も考えないかんな。心の負担が大きいで」


「……大丈夫。戦わなかったら…姉さんに怒られる…」


「ルナちん…」


 目の光が弱々しい。

 怒られるから戦う…未だに姉離れ出来ていない様子に、テラティエラからため息が漏れた。



「…次の議題や。ラグナんと戦うか、再び封印するか…やな」

「正直封印は難しいわねぇ。術式を組むのに時間が掛かるし…何の力か解らないと…」


「そやな…ヴェーチェ、ラグナんの新しい力って聞いたか?」

「いや、聞いてない」

「アホか、なんで聞いてないねん」

「ごめん…チューする事で頭が一杯で…」


 女神達からため息が漏れる。そこで、アクアマリンが思い出したように手を上げた。


「噂で聞いたんだけど…神が管理している至宝が盗まれる事件が多発しているらしいのよぉ。一件じゃなくて、何件も…」


「あぁ…探しても見付からなかったっていうアレか? 確か…星の核が盗まれて大変な事になったとか…」


「…もしかして」


 テラティエラが顔を顰め、黙り出した。


「思い当たる事があるの?」

「伝承好きな神から聞いた話やと、星の核を融合させて出来る物…銀河の核やな」

「なにそれ?」

「まぁ、簡単に言うと強い力っちゅう事や。表の世界の中で一番…な」


 あくまで推測の話。推測なのだが、テラティエラは確信していた。それよりも、女神達は他の世界と交流があったなら言って欲しいと思っていたが、そんな空気ではないので飲み込んでいた。


「テラ、どれぐらいの強さなんだ?」


「推測やけど…前のラグナんの二倍」


「そんなの無理じゃないの。前だって中からラグナが抑えていたのに…」


 女神大戦では、ギリギリの戦いだった。人々に助けを乞わなければいけない程に…


「無理じゃないで。今回は、やす兄ちゃんがおる。今だって、世界を回ってラグナんの欠片を壊してくれちょる」

「…」

「世界が壊れたら、ウチらも死ぬんやで。…そういう事で、ちょっと行ってくる」


 ガシッ__テラティエラが部屋を出ようとしたが、ルナライトに捕まる。


「なんや、もう会議は終わりや」

「…まだ終わっていない…それに、彼の所に行くのは解っている」

「そうねぇ。神結界を誰がやるか決めてないわよぉ?」

「そんなんクジ引きでええやろ!」


 本気で戦えば、世界が壊れてしまう。世界を守る為の大事な結界は、結局クジ引きで決められた。



 ______



 黒いオーロラが出現して、二日目。

 世界を回っていたトトとタケルは、ほとんどの殻獣を倒していた。


 ジリリリリリリン__

「泰人、通信来たよ。やっぱり黒電話とか渋いね」


「だろ? 改造してどこでも通信出来るようにしたんだよ。もしもし、ノワールさん?」

≪北に、何か出現しました≫

「了解。予定よりも早いか…直ぐに向かいます」


 ガチャリ。改造した黒電話…回転ダイヤル式ブラックDを切る。

 予定よりも早いが、出来る事はしたつもり。


「さぁ、行こうか。決戦だ」

「頑張ろうね」



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