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流れの武器屋  作者: はぎま
第二次女神大戦
147/163

帝国会議。

 黒いオーロラが出現してから、一日が経った。


 ヴァイラ王国では、聖女クシャトリスが演説。

 厄災が迫っているが女神が顕現し解決してくれると伝え、大混乱にはならなかったものの、人々は不安を感じながら過ごしている。



 一方、戦の舞台となるロドニア帝国…帝都では、北の空に靡く黒いオーロラを不吉の象徴と捉え、西のノール王国や南の国へ逃げる者も少なくない。


 前日にヴァイラ王国から悪神が復活するという通信を受けた皇城では、軍事会議が難航していた。


「次に民衆の避難状況ですが…良いとは言えません。残り二日…いえ…正確な情報ではないので…猶予は一日と考えた方が…」


「先ずは戦えない者を優先してくれ。混乱に乗じて犯罪を起こす者も多い…騎士団は冒険者ギルドと連携して治安の強化を頼む」


「了解しました」


 皇帝が指揮を取り、現状の最善を尽くしている。

 帝都の守備以外にも、魔物の討伐部隊の結成等…明らかに人手が足りない状況だった。


「一番の問題は…魔物の強さか…」

「クラス10が予想されるという事ですが…本当でしょうか」

「あの時の厄災…殻兵獣並みの強さらしいから、間違いは無いだろう」


 皇帝が疲れきった表情でため息を漏らす。

 暗い雰囲気の会議室だが、入り口から伝令の騎士が入って来た。


「報告致します! ヴァイラ王国から聖女様が来城されました!」

「そうか! 少し休憩してもらい、会議室まで案内してくれ!」

「はっ!」


 聖女が来れば詳しい話が聞ける。民衆の安心感も違う。

 少しだけ和やかな空気になり、聖女が来るまで待つ事となった。



 ______



 休憩が終わり、聖女トリスが会議室にやって来て挨拶を交わす。

 一緒に勇者パーティー…ホークアイ、ニグレット、ミランダ、アイリス、リンダも入室。

 悪神や作戦についての整理を始める。


「聖女クシャトリスです。よろしくお願いします。先ずは…悪神が復活するのは確定です」


「確定…なぜそうだと?」


「私は、未来が視えます。それに…悪神との話が出来る者と接触しました」


 ざわっ…と会議室が驚きに包まれる。聖女が未来視を出来る事に驚き、悪神と話した者が居るという事に再び驚いていた。

 驚きの中、皇帝とトリスは話を進めていく。


「その者は…何処に?」

「今、世界各地へ行き殻獣を倒しています。悪神が復活したら合流する予定です」


「殻獣を倒せる者…殻獣を倒すには、どれほどのレベルが必要なのだ?」


「四名居ますが…全員、レベルはありません」


 またも会議室が驚きに包まれる。レベルが無い者が殻獣を倒せる訳が無い…と。

 レベルや職業で強さが決まるのは当然なのだが…常識に囚われている者が多いのが現状。


「詳しく教えてもらえないか?」

「詳しくですか……一番強い方の強さは5です。二名には会っていませんが…四人の中にタケル・マツダという方が居ましたね」


 ほとんどの者は、薄く笑う聖女の言っている事が理解出来ない。

 それも当然。一番強いのに強さ5と言われたら混乱する。

 ただ、皇帝とその場に居るオーランド公爵は真剣な表情だった。


「その…タケル・マツダについて聞きたい」

「ええ、想像通りの方ですよ。帝国の事を心底憎んでいますので…守って下さるかは彼次第です」


 トリスは少しだけ意地悪を言ってみる。タケルはもう帝国を憎んでいないので、助けない事はないのだが…


「……」

「彼らの強さは、女神に匹敵します。なので彼らは私達に期待をしていません。私達は、私達の出来る事をしましょう」


 殻獣の相手は勇者パーティーとトト達が対応する事に決定した。騎士達は弱い魔物の対処がメイン。


 現在周辺では、高いクラスの魔物が少しずつ増えている。

 今はクラス4。明日にはクラス5が出ると予測。


 話が纏まった瞬間に、「では、失礼します」トリスは勇者パーティーを置いて退室。



 ウサギと共に客室に入った。


「あー疲れた」


 ポフッとソファーに座り、収納から金色に光る杯を取り出して眺める。


≪金の聖杯、ランクーー、聖女専用・一定時間身体能力超上昇・一定時間全ての攻撃を受けない≫


「良い女は秘密を抱えていなきゃいけないからねー」


 トリスは、前の聖女オリヴィアから貰っていた物…聖杯があった。

 嬉しそうに聖杯を眺めた後は、誰かが来る前に収納に仕舞う。


 トリスの中で、ニグレットが良い女の教科書になっていた。ニグレットは女を武器に使い、男を騙す悪女の一面が強いのだが、それに少し憧れを思っているようで…


「ふふっ…みんな、ごめんね…」


 やるべき事はやるが、実際この世界がどうなろうと気にしない。興味が無いから、落ち着いていられる。

 トリスの目的は一つ…


「…抜け駆けさせてもらうよ。おいで、ウサ太郎」


 白いウサギを抱えて、時が来るのを待つ。



 ______



 一方トトとタケルは転移を駆使し、世界各地に居る殻獣を倒していた。

 ノワールとノーレンは帝都に滞在して、異変があったら知らせる係。


 トレジャーサーチで殻獣の居場所を探査。SGドラゴンに乗り込み上空から消滅兵器で仕留める事を繰り返す。

 少しでも悪神の力を削げるように…


「タケル、そういや緑のお姉さんと何話したの?」

「別に…世間話だよ」


「そうか…てっきりまた告白されて断ったら泣きながらごめんなさいって謝られて仕方なく戦いが終わったらデートする約束をしたのかと思ったよ」


「…いや、それ聞いていたよね? 嬉しそうにワンブレスで言わないでよ」


「くくっ、タケルも言っていたじゃねえか。思い出だって…帰っても婚約者には言わないでおいてやるから」


「ほんと、楽しそうだね」


「楽しいぞー。思い出は、残さねえとな」

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