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流れの武器屋  作者: はぎま
高ランクダンジョン。
132/163

迷宮・天国への階段。5

 

『あれ? 誰もおらん…』


 トト達がダンジョンに籠り少し経った頃、アヴァロ大陸の王都ギアメルンにやって来たテラティエラは、アーラ家の中に忍び込んでいた。

 もちろん中に誰も居らず、テーブルに『ミリアン大陸のダンジョンへ行ってきます』という書置きを発見。唇を尖らせ、詰まらなさそうにアーラ家を出る。


『んー…どないしょかな。混沌は、やす兄ちゃんが持っているから…暇やねんな』


 一応、各エリアの大地の状態を見る仕事もあるが、大地に急激な変化がある訳でもなく…混沌を監視する仕事がメインなので、暇神テラティエラは悩む。


『ミリアン大陸か…多分、天国への階段やな。…行きたいんけど、押し掛けんのも迷惑……しゃあなし…ポンコツ神(ルナちん)でもからかいにいこか』


 バシュン__テラティエラは天上に転移していった。



 天上の集合場所に転移。


 集合場所には、ルナライトが一人でこたつに入り、ぐでーっとしながら焼いたイカをムッチャムッチャ食べている。


「…ルナちん、イカまだある?」


 ルナライトがのそーっと動き、テラティエラの場所に焼いたイカをポンッと出す。そして、またぐでーっとしながらイカを食べ始めた。

 テラティエラはとりあえずこたつに入り、ムッチャムッチャしているルナライトを眺める。


(…あかん、ルナちんがポンコツモード全開や…こうなったら一週間はこたつから動かん…)


 からかいに来たが、既に無気力状態のルナライト。

 ラグナが封印されて以来たまに起きる現象で、いつも気を張っている分、落差が酷い。

 最近上手くいかない事が多いルナライト…


「すばら~しき~…この~日に~…あなた~と~…私~は~…色んな所に~身を投げた~」


(なんやその暗い歌…ポンコツがパワーアップしとる…しかもなんでイカ食べながら歌えるんや…)


 面白そうなので、ルナライトの観察を続ける事にした。


 しばらく見ていると、アクアマリンが入って来て、テラティエラとルナライトを交互に見る。


「元気ぃ? …あらぁ?」


 アクアマリンがルナライトの前に、お皿一杯の干し貝柱を置くと、ルナライトの手が干し貝柱に伸びて口に入れる。


 モッチャモッチャと干し貝柱を食べるルナライトを、ウンウンと眺めアクアマリンは去って行った。


「ルナちん、一個頂戴」

「……うん」

「……ありがと」


 二人でモッチャモッチャしていると、フラマフラムとヴェーチェルネードがやって来た。


「やっほー…ありゃ」

「あぁ、いつものアレか」


 フラマフラムが黙って酒を置いていき、去っていく。

 ヴェーチェルネードがせん餅を置いて去って行った。


 こたつの上にはイカ、干し貝柱、酒、せん餅が置いてある。

 ルナライトがのそっと起き上がり、テラティエラをジーッと見詰めている。

 テラティエラからまだ何も貰っていないという目を向けていた。


「…これ食うか?」


 テラティエラがこたつの上に、フルーツロールケーキを置くと、ルナライトがフヘッと笑う。


「気張り過ぎやんと、たまには息抜きしいよ」

「うん…テラ、大好き」

「ウチも好きやで。じゃあ外にでも出よか」

「それは嫌」

「…太るで」

「…」




 _____






 トト達一向がダンジョンに籠って十日程経った。

 パワーレベリングによりレベルを順調に上げていったが、強くなりすぎたのかレベルが上がらなくなっていた。更にある時から、レベルが消えてしまう。


「…成長の限界かな。なんでレベル消えたんだろ?」

「レベルカンストって奴? でも強さは上がるんだよね」

「私だけなんでこんなに伸びたんですかね?」

「強くなっても兄ちゃんに全然追い付けないなぁー」



≪タケル・マツダ、龍神の使徒、強さ49995≫

≪応龍神剣・天之四霊長、ランクーー、天之四霊長ーー、攻撃ーー、黄龍奥義、四聖獣奥義、龍神降臨≫



≪ノーレン・アーラ、極壁の勇者、強さ22330≫

≪極壁剣・ダブルクロス、ランクーー、極壁の勇者ーー、攻撃ーー、極壁聖技、回復魔法、自己修復≫

≪異銃・ライトニングブラスター、ランクーー、天雷ーー、強さーー、光雷属性、溜め撃ち、自己修復≫



≪ノワール・アーラ、破滅の至聖、強さ58563≫

≪天厄・破滅の剣、ランクーー、ーー、裏魔法・裏奥義・破滅の星≫



 人間の中では異常な程の成長を遂げた。もう人間の限界は超えていそうだが、これで出来る限りの準備は出来た筈。

 トト達は最下層に居るクラス9の魔物に対峙した。


≪天魔、クラス9、強さ96850≫


 中心に佇む天使と悪魔が合体したように、白い半身と黒い半身を持ち、天使の翼と悪魔の翼を持つ魔物。

 皆が強くなっている為、以前対峙した時より威圧感を感じない。


「じゃあみんな頑張れー」


 トトはノーレンと共に先頭に立つと、天魔が白と黒の魔法陣を展開。高エネルギーが部屋中に渦巻き、魔法の威力が伺える。


『矮小なる人間よ…我が糧となるがいい__合成魔法・黒の光』


 真っ黒い光の玉が複数出現。

 天魔の周囲に配置され、ギュィイイ!__魔力を溜めている。


「闇のレーザーかな。ノーレン、よろしく」

「ああ! 勇者魔法・極壁!」


 ノーレンが剣を掲げると、前方に透明な壁が出現。

 バシュンッ!__黒いレーザーが壁に衝突するが、少し揺れるだけでレーザーを弾いた。

 ノーレンが極壁を展開している間、タケルが後方から応龍神剣を天魔に向ける。


「四聖獣奥義・朱雀昇天破!」


 応龍神剣から赤いオーラを纏った鳥が出現。

 キュエエエエ!__甲高い鳴き声を上げ、天魔に衝突。

 朱色の炎が巻き起こり、天魔を包む。


 天魔が怯んでいる間に、ノワールが距離を詰め、銀色の剣を構えた。


「いきます!__裏奥義・七星滅剣!」


 えいっ!とノワールが銀色の剣を振り下ろすと、無数の軌跡が舞い、天魔が細切れに崩れ去る。

 簡単にクラス9を撃破出来、皆で喜びを分かち合った。


「おつかれー」


 特に何もしていないトトが天魔を武器に変えると、奥にある壁が開き、通路が現れる。

 通路を進んでいくと、小部屋に到着。

 見慣れた石碑と、黒色宝箱が二つ。

 更に奥には台座があり、虹色の玉が置かれていた。



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