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流れの武器屋  作者: はぎま
高ランクダンジョン。
128/163

迷宮・天国への階段。

 目の前にいる大きな悪魔。

 身体中から黒い角が生えた身体。蝙蝠の様な真っ黒い羽を開き、黒光りした丸太の様な太い手足がその強さを示している。


 トトは先頭を歩いて悪魔の近付く。

 悪魔は侵入者が来た喜びを表現する様に轟く咆哮を浴びせ、トトに大きな拳を振り下ろして来た。

 しかし、その拳はトトに当たらず、シャンッ_という音の後、地面に腕が落ちるという結果に。

 困惑する悪魔を尻目に、ノーレンの弾丸が悪魔の頭に直撃。大きく仰け反る。

 仰け反る身体の下に潜り込んだノワールが両足を切断。

 ドン!_仰向けに倒れた悪魔の首をタケルが救世剣で両断した。


 悪魔の沈黙を確認。悪魔の死骸を武器に変化させた時、ガタンという音が鳴り、階段への道とは別の場所に隠し通路が開く。

 通路は小部屋があり、金色宝箱が一つ。


「開ける人によって中身が変わるんだけど…誰が開ける?」

「とりあえずノーレン君で」

「そうですね。最初だからノーレンで良いんじゃないです?」

「えっ、じゃあお言葉に甘えて…」


 ノーレンが金色宝箱を開け、皆で中身を確認した。


≪聖騎士剣・ダブルクロスブレイド、ランクS、攻撃2300≫

≪聖騎士盾・ダブルクロスシールド、ランクS≫

≪聖騎士鎧・ダブルクロスアーマー、ランクS≫


「騎士系だなぁ」

「ご令嬢を守れというお告げだね」


≪それなりにエッチな本、ランクB≫

≪モテる男の教科書、ランクB≫

≪エッチな水着、ランクS≫

≪初版・気になる人に嫌われない方法、ランクB≫


「…」

「まぁ、思春期だもんな」

「ノーレン、勉強するのよ」


≪結界石、ランクB、クラス6まで対応≫

≪まぁまぁ格好良い服、ランクB≫

≪それなりの靴、ランクB≫

≪ダサくは無いベルト、ランクB≫


「…兄ちゃん」

「…どうした?」

「俺、もう宝箱開けない」

「…分かった」


 モテたい少年の夢が詰まった宝箱は、ノーレンには恥ずかしかった様子…ノーレンの気持ちを察して、聖騎士セットをノーレンが装備している剣と合成してあげた。


≪聖剣・ダブルクロス、ランクS+、聖戦士レベル89、攻撃3266、守護聖技、回復魔法、自己修復、≫


「…兄ちゃん、これ…聖剣だよ…」

「頑張れ勇者様」

「ノーレン君、お揃いだねー」

「ノーレンが勇者になるんですか?…頑張れノーレン」



 この階に宝箱はもう無いので、階段へ向かい下りていく。

 一分程下りると、小さな泉がある部屋に出た。


「これってただの水かな?」

「なんか魔力が回復する水みたいだよ。ここで休憩しろって事かな?」

「ふーん。各階に水場があるって事は、深いダンジョンなんだろうな。そういやタケル、レベル上がったな…何その伸び率」


≪タケル・マツダ、勇者レベル75、強さ7750≫


「前はもっと伸びたよ。でもこの調子なら、一週間で全盛期を超えられると思う」


 タケルは地道にレベルを上げていた時期を懐かしそうに話始める。今のようにクラス7をいきなり倒していた訳では無く、仲間達に見守られ、最弱のゴブリンやらを一生懸命倒してレベルを上げていた。懐かしそうに話すタケルは、仲間の話になると寂しそうに笑い、話を切る。


「…よし、次に行こうか」

「…ああ」


 通路は再び二手に分かれ、ボス級の魔物がいる部屋と、遠回りする通路になっており、もちろん魔物が居る部屋に向かう。


≪天使11式、ロストエンジェル、クラス7、強さ23807≫


「おー、次は天使だな」

「でも…天使っていうか…ロストデーモンが白くなっただけだよ」

「イメージぶち壊しだな」


 白く見上げる程の身体中に、白い角が生え、白い翼が広がりヒラヒラと白い羽が舞う。

 人形の様な無機質な顔を向け、光の魔法陣が出現。

 魔法陣が白く輝く中、トトが先頭に立ち、天使を見据える。


『_フォトン…レーザー』

 天使が手を向け、白いレーザーを放つ。

 トトは右手を向け、「…変換」レーザーを受け止めた。

 トトが受け止めたレーザーは白い球状の光になり、トトの前に停滞している。

 トトが光を左手で握り、天使へと駆ける。

 再び天使が魔法陣を展開。魔法が発動する前にトトが天使の脇腹に到達していた。


「_業拳」

 ゴキンッ!__天使が横に折れ曲がり、魔法陣が四散。

 ノーレン、ノワール、タケルが追撃。

 天使は呆気なく沈黙した。



「泰人、今の何したの?」

「あぁ、天使の魔法を攻撃力に変換したんだ。ラグナに武器師の能力を強くして貰ったんだよ」

「…それ凄くない?その攻撃力ってあの光の玉だよね…僕も使えるの?」

「使えるぞー。後でやるよ」


 天使を武器に変化させ、ガタンと隠し通路が開く。

 小部屋には金色宝箱。


「次は…」

「じゃあ…タケルさん」

「僕?分かったよー」


 タケルが宝箱を開けて、中身を確認。

「…」

 そして、バタンと宝箱を閉めた。


「…タケル、どうした?」

「…次、行こうか」

「中身は、何ですか?」

「…何も無かったから、次…行こうか…」

「タケル…中身を見せろ」

「…嫌だ」


 顔を青くしているタケルに、不審に思ったトト。素早く移動し、タケルを押さえ付ける。

「行けッ!ノーレン!」

「分かった!」「見ないでぇ!」

 ノーレンがトトとタケルを横切り、宝箱を開ける。

「…」

 そして、バタンと宝箱を閉めた。


「ノーレン?どうした?」

「兄ちゃん、もう…行こう」

「…ノーレン君」


 タケルとノーレンが何か通じ合っている中、隙を見たトトが宝箱を開けた。


「…うわ」


 宝箱の中には、十体の女神人形。

 全て緑色の髪をしたお姉さんの人形だった。

 トトは収納しようとしたが、出来ない。どうやらタケルしか収納出来ない仕様になっている。


「タケル、持っていけ」

「…泰人、駄目だ。それは置いて行こう」

「いや、置いて行ったら不幸が起きる」

「…持っていても不幸になったよ」

「それでも、だ。今回は俺が居る。大丈夫だ」

「…泰人」


 タケルは少し悩んだ末、渋々宝箱を収納。


「僕は、もう…宝箱を開けない」

「…分かった」

「…次は…姉ちゃんだな」


 ノワールは凄く嫌そうな顔をしている。

 その顔に、宝箱を開けるワクワク感は既に無かった。


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