黄色い閃光。
「タケル…混沌砲…絶対に力を漏らすなよ」
テラティエラがサイドテールの髪を揺らし、ブンブンと腕を回す。準備運動をしている最中…トトはボソッと呟き、極光刃を構える。
幸い混沌砲は収納に入れる事が出来たので、大人しく寝ていてもらう事にした。
『よっしゃ!人間やから手加減したるわ!ほんなら行くでぇ!_剛翔錬気!』
「そりゃどうも…くそぉ…可愛いな…」
準備運動が終わり、無邪気な笑顔を向ける。
そして力を解放。黄色いオーラが腕を包み、テラティエラの力が上昇していく。
トトはその隙にテラティエラのメリケンサックを鑑定。
≪神拳・テラフィスト、ーー、ーー、超武術≫
テラティエラが両手を握り、正面に合わせる。
とても人間が耐えれるものでは無い力を感じ、ビリビリと大地が揺れる。
『ウチの想いは重いでぇ!_剛武双撃破!』
一瞬にしてトトの正面に。
力を溜めた両拳を突き出す。
「_極水・滝流剣」
トトは拳に合わせて極光刃を振り下ろす。
ガキィンッ!__
激しい衝突。
弾けるエネルギーが両者を吹き飛ばした。
体勢を整えたテラティエラがニヤリと笑い、ドンッ!_と大地を蹴りトトに向かって駆ける。
『くくっやるなぁ、やす兄ちゃん__剛武破岩!』
トトの正面に到達し、地面を殴る。
「__うおっ!」
ドゴッ!__
トトの真下の地面が隆起。
体勢を崩した所で…
『__剛武虎砲!』
両掌をトトに向け、エネルギーを込めた掌底。
「それ死ぬだろ!__水化!」
バシャン!__
水を叩く音が響く。
極光刃の能力、水化を使い一撃を防いだが…
『なんやおもろいなぁ!_剛武百烈拳!』
バシャバシャバシャバシャ!__
怒濤の連撃。
水と化したトトを吹き飛ばす。
吹き飛ばされた水が集合していく。
テラティエラはトンットンッと軽い足取りで水を眺め、いつでも攻撃が撃てる様に拳を腰だめに構えている。
集合した水が形を成して、トトに変化。
便利な能力だと思いながら、構えているテラティエラに意識を向ける。
「流石は女神様…強いねえ」
『くくっ、やす兄ちゃんもなぁ。余裕やんか、本気出しぃ』
「いや、テラティエラちゃんが可愛いくて…攻撃するのを躊躇うんだよ」
『なんや口説いてるん? 安心しぃ。ウチは首を跳ねられても死なん』
「そっか…それなら…」
トトが構えを変える。両手を下ろしてダランと構え…
フッと消える。
『_上や!激烈鐘!』
上に水の気配。重い拳を放つ。
バシャン__
水を叩く音が響き、
「残念__極光刀技・蓮舞」
ザザザザ!__
『__ぬぁ!くっ…』
背後からの連続攻撃。
無駄の無い舞う様な動きで、テラティエラの防御を躱し斬撃を当てて行く。
テラティエラが反撃。
トトの顎にパンチを繰り出すが首を捻り回避。
「_金魔壊錬拳!」
ゴキンッ!__
『_あがっ!』
トトの左腕がテラティエラの脇腹に直撃。
鈍い音を立てて吹っ飛ばす。
ドォン!__
そのままの勢いでテラティエラが遠くの山に激突した。
「…なんだろう…テラティエラちゃんを攻撃する度に…この精神ダメージは…」
『泰人…可愛い女の子をぶん殴るなんて…鬼畜だね』
「やめろ…言うな…こっちは殺され掛けてんだ…」
ゴゴゴゴ!__
山から黄色に輝く光の柱が上がる。
先程よりも、強い輝き。
『泰人…上見てみな。綺麗だよ』
「…あれは一人の人間にやる所業じゃねぇよな」
上を見ると、夜空に輝く隕石群。
綺麗だなと言っている場合じゃない。
一つ一つが数十メートル級の隕石。
トトは真正面から立ち向かうつもりで、竜宝杖を取り出す。
ここで逃げたら、ルナライトに笑われる様な気がしたから。
≪竜宝杖・滅殺竜、ランクーー、滅竜士ーー、魔法攻撃ーー、竜魔法・大竜砲・竜禁術≫
「真っ向勝負だ。__砲撃準備」
キュィィィイイ!__
周囲の魔力を集める様に力を溜めていく。
ゴゴゴゴ!__
大きな隕石群に竜宝杖を向ける。
直ぐそこまで迫った時、力を解放した。
「_おら行け!_大竜砲!」
ギュォォオオオ!__
大きな竜の咆哮と共に、巨大なエネルギーが発射される。
ドドドド!__
眼前に迫った隕石を貫き、次々と隕石を薙ぎ払って行く。
ドドドド!__
やがて、全ての隕石を破壊。
「……すげえな、この杖」
『…やす兄ちゃん…ほんま痺れるなぁ』
トトが杖を眺めていると、テラティエラがゆっくりとトトの元へやって来た。
その表情は、少し熱に浮かされた様な笑顔。
『…やす兄ちゃん、ウチ…楽しくてな…楽しくて…』
「…テラティエラちゃん?」
『もう…止まれへん!__超武錬気!』
ゴォォオオ!__
激しい力の奔流が渦を巻き、テラティエラを包んで行く。
テラティエラのメリケンサックが刺々しいガントレットに変化。
トトの顔にはもう嫌だと書いてあるが、テラティエラはそんなトトなどお構い無しで力を解放している。
「……」
『ウチの愛…受け取ってくれん?』
「いや…」
お断りします…とは言えないくらいの…本当に無邪気な笑顔だった。