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流れの武器屋  作者: はぎま
アヴァロ大陸。
114/163

黄色い閃光。

「タケル…混沌砲…絶対に力を漏らすなよ」


 テラティエラがサイドテールの髪を揺らし、ブンブンと腕を回す。準備運動をしている最中…トトはボソッと呟き、極光刃を構える。

 幸い混沌砲は収納に入れる事が出来たので、大人しく寝ていてもらう事にした。


『よっしゃ!人間やから手加減したるわ!ほんなら行くでぇ!_剛翔錬気!』

「そりゃどうも…くそぉ…可愛いな…」


 準備運動が終わり、無邪気な笑顔を向ける。

 そして力を解放。黄色いオーラが腕を包み、テラティエラの力が上昇していく。

 トトはその隙にテラティエラのメリケンサックを鑑定。


≪神拳・テラフィスト、ーー、ーー、超武術≫


 テラティエラが両手を握り、正面に合わせる。

 とても人間が耐えれるものでは無い力を感じ、ビリビリと大地が揺れる。


『ウチの想いは重いでぇ!_剛武双撃破!』


 一瞬にしてトトの正面に。

 力を溜めた両拳を突き出す。


「_極水・滝流剣」

 トトは拳に合わせて極光刃を振り下ろす。


 ガキィンッ!__

 激しい衝突。

 弾けるエネルギーが両者を吹き飛ばした。


 体勢を整えたテラティエラがニヤリと笑い、ドンッ!_と大地を蹴りトトに向かって駆ける。


『くくっやるなぁ、やす兄ちゃん__剛武破岩!』


 トトの正面に到達し、地面を殴る。

「__うおっ!」

 ドゴッ!__

 トトの真下の地面が隆起。

 体勢を崩した所で…

『__剛武虎砲!』

 両掌をトトに向け、エネルギーを込めた掌底。


「それ死ぬだろ!__水化!」


 バシャン!__

 水を叩く音が響く。

 極光刃の能力、水化を使い一撃を防いだが…


『なんやおもろいなぁ!_剛武百烈拳!』


 バシャバシャバシャバシャ!__

 怒濤の連撃。

 水と化したトトを吹き飛ばす。


 吹き飛ばされた水が集合していく。

 テラティエラはトンットンッと軽い足取りで水を眺め、いつでも攻撃が撃てる様に拳を腰だめに構えている。


 集合した水が形を成して、トトに変化。

 便利な能力だと思いながら、構えているテラティエラに意識を向ける。


「流石は女神様…強いねえ」

『くくっ、やす兄ちゃんもなぁ。余裕やんか、本気出しぃ』

「いや、テラティエラちゃんが可愛いくて…攻撃するのを躊躇うんだよ」

『なんや口説いてるん? 安心しぃ。ウチは首を跳ねられても死なん』

「そっか…それなら…」


 トトが構えを変える。両手を下ろしてダランと構え…

 フッと消える。


『_上や!激烈鐘!』


 上に水の気配。重い拳を放つ。

 バシャン__

 水を叩く音が響き、

「残念__極光刀技・蓮舞」


 ザザザザ!__

『__ぬぁ!くっ…』

 背後からの連続攻撃。

 無駄の無い舞う様な動きで、テラティエラの防御を躱し斬撃を当てて行く。


 テラティエラが反撃。

 トトの顎にパンチを繰り出すが首を捻り回避。

「_金魔壊錬拳!」

 ゴキンッ!__

『_あがっ!』

 トトの左腕がテラティエラの脇腹に直撃。


 鈍い音を立てて吹っ飛ばす。

 ドォン!__

 そのままの勢いでテラティエラが遠くの山に激突した。



「…なんだろう…テラティエラちゃんを攻撃する度に…この精神ダメージは…」

『泰人…可愛い女の子をぶん殴るなんて…鬼畜だね』

「やめろ…言うな…こっちは殺され掛けてんだ…」


 ゴゴゴゴ!__


 山から黄色に輝く光の柱が上がる。

 先程よりも、強い輝き。


『泰人…上見てみな。綺麗だよ』

「…あれは一人の人間にやる所業じゃねぇよな」


 上を見ると、夜空に輝く隕石群。

 綺麗だなと言っている場合じゃない。

 一つ一つが数十メートル級の隕石。


 トトは真正面から立ち向かうつもりで、竜宝杖を取り出す。

 ここで逃げたら、ルナライトに笑われる様な気がしたから。


≪竜宝杖・滅殺竜、ランクーー、滅竜士ーー、魔法攻撃ーー、竜魔法・大竜砲・竜禁術≫


「真っ向勝負だ。__砲撃準備」

 キュィィィイイ!__

 周囲の魔力を集める様に力を溜めていく。


 ゴゴゴゴ!__


 大きな隕石群に竜宝杖を向ける。

 直ぐそこまで迫った時、力を解放した。


「_おら行け!_大竜砲!」


 ギュォォオオオ!__

 大きな竜の咆哮と共に、巨大なエネルギーが発射される。

 ドドドド!__

 眼前に迫った隕石を貫き、次々と隕石を薙ぎ払って行く。

 ドドドド!__


 やがて、全ての隕石を破壊。


「……すげえな、この杖」

『…やす兄ちゃん…ほんま痺れるなぁ』


 トトが杖を眺めていると、テラティエラがゆっくりとトトの元へやって来た。

 その表情は、少し熱に浮かされた様な笑顔。


『…やす兄ちゃん、ウチ…楽しくてな…楽しくて…』

「…テラティエラちゃん?」

『もう…止まれへん!__超武錬気!』


 ゴォォオオ!__

 激しい力の奔流が渦を巻き、テラティエラを包んで行く。

 テラティエラのメリケンサックが刺々しいガントレットに変化。

 トトの顔にはもう嫌だと書いてあるが、テラティエラはそんなトトなどお構い無しで力を解放している。


「……」

『ウチの愛…受け取ってくれん?』

「いや…」


 お断りします…とは言えないくらいの…本当に無邪気な笑顔だった。

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