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流れの武器屋  作者: はぎま
アヴァロ大陸。
105/163

大自然ダンジョン。3

 

 翌朝、準備を終えた三人は北の山脈を目指す。

 今日は山の麓まで行く予定。


「よーし、今日も魔物を見つけ次第、ノーレンが倒す事。ノワールさんは、山脈に行ったら一気にやるんで待ってて下さい」

「…はい」

「ん? 姉ちゃん調子悪いのか?」

「ううん、大丈夫よ」


 この階層は三週間掛かるというが、トトは明日で四層に行くつもりだ。

 ノーレンのレベルが上がって来たので、ランニングしながらペースを上げていく。


「そういえば、兄ちゃんの剣って喋るのか?」

「ああ、喋るけど俺しか声が聞こえないぞ」

「へぇー、どんな事喋るんだ?」

「世間話だよ。こいつとは故郷が一緒だから、その話が多いかな」

「故郷が一緒?」

「五百年くらい前に死んだ、それはもう可哀想な男の幽霊が入っているんだ」


 ノーレンが破壊神剣に話し掛ける。

 簡単な質問…年齢や趣味など。

 トトを通してタケルが答えを返していく。


「じゃあ兄ちゃんは、タケルさんを故郷に返してやりたいんだね」

「そうそう。今の目標だな」

「タケルさんを故郷に返したら、兄ちゃんはどうするんだ?」


 それは考えていない。

 この世界に戻っても、帰る場所は無いから。

 でも、やりたい事は沢山ある。


「やりたい事をやり尽くしたら、考えるよ。予定は未定だ」

「ふーん。じゃあ、全部終わったら会いに来てよ。待ってるから」

「ああ、終わらなくても遊びに行くかもな」

「それも大歓迎!」


 ノーレンはトトを尊敬している。力に溺れず、傲らず、自分のペースを持っている。

 今まで会ってきた大人達とは違う安心感。



「あっ、職業が変わった…」


≪ノーレン・アーラ、聖雷騎士レベル5、強さ2250≫


「帝級の職業かな?基準がよく解らないんだよなぁ…」

「聖雷騎士なんて聞いた事無いです」

「武器によって、ある程度職業も操作出来るんですよ。ミリアン大陸では新しい職業も沢山作りました」

「職業を作るって、兄ちゃん神様みたいだよなぁ」

「まぁ、神に貰った様な能力だからなぁ…」

「…えっ?」


 ノワールから見たら、能力を貰ったのに、人が持ってはいけない力と言われて神敵になったトト。

 色々と矛盾があるが、悪神から貰った様な能力とは言い辛い。


「その、権力者とか黙っていないですよね?」

「そうですねぇ。前にお城へ連れていかれましたけど、黙らせたので大丈夫でしたよ」

「そ、そうですか。無事で良かったです」

「ええ。そういえば、ギアメルンってどんな国なんですか?」


 ギアメルンは、アヴァロ大陸の南に位置する王権政治の国。

 魔物は少し強めだが、海産資源や鉱山資源が豊富で、宝石の産出量も高い豊かな国。


 トトが転移してきた場所は、死の森と呼ばれる場所。



「住みやすい国なんですね」

「はい。王都は物価が高いですが、冒険者に優しい所なので活動しやすいんですよ」

「なるほど…」

「兄ちゃん、目的が終わったらギアメルンに住まない?」

「そうですよ。住みましょう?」

「それも良いですね。探し物が見付かったら考えておきます」

「探し物?」


 寿命を伸ばす物があれば、良い選択だと思う。

 収納の中に、不老効果のある『神酒』があるが、もう一つ不死効果のあるアイテムがあれば、死なない武器が作れると思っている。


「ええ、色々探していまして、ダンジョンの宝箱に期待してるんですよ」

「だから昨日、兄ちゃんは宝箱探しに出ていったんだな」

「そうだな。何か良い物あったらやるよ」

「やりぃ!」



 それから、ノーレンはレベルを上げ続ける。職業は変わらなかったが伸び率は良かった。


 再び夜になり、トトは一人で宝探し。


 銀色宝箱以上に絞って探索。二つ発見したので、SGドラゴンに乗って回収した。


「銀色二つ、何が出るかなー」


≪神経麻痺針、ランクB≫

≪思い出の藁人形、ランクB-、不幸にする≫

「思い出?」

『良いドラマがあったのかな?』


≪激情のオルゴール、ランクB+、怒らせる≫

≪愛の指輪、ランクA+、愛が増す≫

≪喜びの腕輪、ランクB、喜べる≫

「感情系多いなー」

『泰人が開けるからじゃない?』


≪斬魔刀、ランクB+、攻撃907、魔族特攻≫

≪絵画・憂う少女、ランクA≫

≪ピンクのマフラー、ランクB≫



「ランクは良いんだけど、物がなぁー」

『結構良い物なんだけどね。次開けよ』



≪アシッドソード、ランクB、攻撃741、酸攻撃≫

≪雪鎚・アヴァランシュハンマー、ランクA+、攻撃1580、氷属性、雪崩れ、氷魔法≫

「おっ、魔武器だ!」

『やったねー!』


≪聖女ニーナちゃんの聖水、ランクーー≫

「……」

『……』


≪ルナライトちゃん人形・グリーン、ランクーー≫

≪テラティエラちゃん人形・イエロークリスタルバージョン、ランクーー≫

≪名槍・クルスヴェイ、ランクB、攻撃500≫

≪偽造小切手、ランクB+、黒金貨五枚まで≫

≪シルカバン絨毯、ランクA+≫



「まぁ、銀色にしては当たりの箱かな」


『そうだね。次の階層だと金色ありそうだから期待だねー』



 テントに戻り、眠気を回復させながら武器を作成していく。


(試作しなきゃなー作成)


≪マジックガード・ミックス、ランクA+、合成属性半減≫

(半減かぁ…)


≪白の腕輪、ランクA、光属性防御≫

≪黒の腕輪、ランクA、闇属性防御≫


 連日記憶を消す魔法の対抗策を考えているが、上手く行く気がしない。


(あの神槍…ルナハート級の武器があればなぁ…)


 破壊神剣の他に、神の武器に匹敵する武器が無いと、またボコボコにされる。


(量より質…かな。ここを攻略したら魔武器を合成しまくってみるか…)



 ______




 今日は山脈を越える予定。

 現在空中から山を見下ろしている。

 トトはノーレンを背負い、ノワールは飛行出来る靴を履いている。

 ノワールは悲しそうにトトを見詰めている。

 森では抱っこしてくれたのに、今は飛行出来る靴を履かされた。


「…もう、抱いてくれないんですか?」

「凄い聞こえが悪いですけど、抱っこは危ないんですよ」

「俺、あの靴履きたい」

「山脈越えたらな」


 山には多くの魔物が見える。

 人が居る様子は無い。

 ノワールがトトから受け取った剣を持ち、下に向ける。


「じゃあノワールさん、魔力を込めながら『滅亡の星』です」

「は、はい。頑張ります」


 ノワールが魔力を込めていくと、銀色の剣が光り輝いた。


「防御障壁は張っておきます。どうぞ」

「いきます!_滅亡の星!」


 上空から巨大な隕石群が出現。

 山脈に向かって次々と墜ちていく。

 轟音と共にクレーターが発生。

 その上にクレーターが重なっていく。

 魔物達はおろか、山脈までも潰される。


「……」


 粉塵が巻き起こり、視界は閉ざされるが轟音は鳴り止まない。

 しばらくして音は止み、粉塵が落ち着くのを待つ。


「……」


 やがて粉塵が晴れると、視界に広がっていた山脈は消え去り、クレーターが数え切れない程に見える。


「……」


 トトは呆然としているノワールをヒョイッと抱き上げ、奥にあるトンネルに入っていく。


「さて、次の階層に行きますか」

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