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流れの武器屋  作者: はぎま
ニーソの街
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森へ2

 翌日、朝のストレッチを済ませたトトは宿屋のおばちゃんから塩を一瓶買い、街を出る。


「収納は沢山あるし、今日は森の少し奥まで行こう。でもこの収納チェーン…合体して一つの武器になっちゃったけど…容量ってどれくらいなんだろ?」



 収納の指輪を繋げ、チェーンの形にしたは良いが翌朝チェーンの武器として存在していた。深く考えずに、ベルト変わりにしている。


 道行く冒険者に混じって森に向かう。薬草野郎が何の用だという視線を受けるが、視線を無視して歩いていた。



「うーん…今日は冒険者が多いな。居ない場所まで行くか」



 森に到着。森の入り口には冒険者が焚き火をしている姿、武器を手入れしている姿が見える。



「おい、薬草。今の森は辞めとけ」「バズ、止めなくて良いじゃねえか。自己責任だし、俺らは何も見てない見てない」「そうだな!逃げ帰って来るに銀貨1枚賭けるぞ」「俺は帰って来ないに賭けようかなぁ!」



 森に入るトトを止めようとする者が居たが、自己責任だと回りに止められている。きっと何かが出たのだろう、止めた者は薄ら笑いを浮かべていた。



「なんだ?いつもと冒険者の雰囲気が違うな」



 森に入り、周囲に気を配りながら進む。少し進むと以前登った大きな木に到達。


「フックショットで登れるかな?」


 左手にフックショットを装着。引っ掛けやすい枝を見つけ_バシュッ_鎖が伸び_カッ_フックが枝を引っ掛け「えっとここを握れば_うおっ!」


 ギュルギュルと高速で鎖が巻き取られ、8メートル先の枝まで到達した。


「ふぅー。勢い良すぎて腕が外れるかと思ったぞ。でも凄いな、一瞬で登れる」


 フックショットを左手に装着したまま、地上を見下ろす。特に魔物の姿は無く、少し休憩する事に。



「フックショットの先端を槍状にしたり、形状変化出来れば最高だよな。でも攻撃に使うには強度が足りないか」


 移動用に便利だと喜ぶ。もっと強化すれば、洞窟やダンジョンで重宝すると確信した。


「後は木から木への移動だけど…枝と葉っぱが邪魔して無理かな。歩いた方が安全か」



 水分補給を済ませ、木から飛び降りる。安全ブーツにもレベルはあるので、軽やかに着地。



「いやー、応用すれば防具も作れるのは良いな。その内全身鎧も挑戦しよう。強い回復を組み込めば、疲れ知らずだし」



 妄想を膨らませながら森の奥へ。ゴブリンが多く、魔法杖で撃退しながら進む。



「んー、ゴブリンが多いな。こんなに居たっけ?…逃げ腰だから、何かに追われていたとか?オークと縄張り争いでもしたのかな?…ん?」


 何か気配を感じ、近くの木にフックショットで登る。そっと息を殺し、気配の正体を探る。



「はぁ、はぁ、ここまで逃げれば大丈夫、だろ」「そう、だな。はぁー疲れた。早く帰って一杯行きてえな…あれ?アイツらは?」


(冒険者か。逃げ切れるって事は、オークかな?)



 冒険者は後方を気にしながら、森の入り口へと向かって行った。それを見届け、トトはどうするべきかと悩む。


(見に行くかな。剣は強化したから、オークは簡単に仕留めれるし)


 木から飛び下り、冒険者が現れた方向へと歩き出す。左手にフックショット。右手に鋼鉄の剣を装備。


 時折、木に登り周囲を確認。次第にゴブリンは出て来なくなったのでオークの縄張りに入ったのかな?と推測。



「気配が無い。もっと奥か?」



 歩いていくが、オークが居る様子は無い。「まだ奥か…」時折出てくる蛇を撃退しながら進んでいくと「血の…匂い?」鉄臭い匂いが漂ってきた。


 そして、少し開けた場所に着く。様子を見る為に、木の陰から覗きこんだ。



「これは、集落か?」


 ボロい家が10棟ほど、乱雑に建てられている。血の匂いはここから来ている様だ。


「ブゴォ、ブゴォ」「ブヒ、ブヒ」「ブギュッ」「ブヒブ」


「オークの集落。うわ…まじか…」


 オークが何かを貪っている。ゴリゴリと骨が砕ける音が響いていた。


「冒険者、かな。皮の鎧ごと食べちゃって…お腹壊すぞ」


 苦悶の表情を浮かべた冒険者が食べられている場面に遭遇。既に息絶えているので、胸糞悪くなりながらも観察していた。



(どうしよう。冒険者達の様子が違ったのはこれかな?戻った方が良いよな。流石にこの数は…)



 オークはパッと見えるだけでも10体はおり、無傷で倒すのは難しいかな?と他にオークが居ないか辺りを見渡す。



(こういう場合はボスが居そうだけど、見当たらな…い…)


 トトは目撃してしまった。新たに連れて来られて来た冒険者の姿を。意識は失っているのか動かない。女性の冒険者だ。



(まじか…女性の末路は悲惨って書いてあったな……オークに凌辱されるのは、一定の需要はあるけど…あの人の未来を考えると、助けるしか無いか)



 はぁー、と深いため息。見ず知らずの人間がどうなろうと構わないが、流石に目の前でとなると話は違う。早くしないと犯されるので、音を立てない様にオークが集まっている場所へと向かった。



(あーどうしよう。範囲攻撃手段も無いし、クロスボウは巻き取り時間がある。剣で斬りまくるしか無いか…)


 建物の陰に隠れ、覗き込む。まずは女性の安全確保。女性を担いでいるオークを_ザンッ!_両断。落ちて来る女性を受け止めた。


「ブヒィ!」「ブヒブヒ!」「ブヒィブヒィ!」


「あっ、やべ。抱えながら闘うのはキツイぞ…」


 怒りの表情で追い掛けて来るオークに恐怖を感じつつ、逃げながらオークを攻撃していく。


 オークの足はそんなに速く無い事が幸いしたのか、集落を抜け森に入った。フックショットを使い、大きめの木に登る。



「ふぅー…怖かった。抱えながら逃げるのは限界がある…となると」


 殲滅しよう。決意を胸に、気を失っている女性を落ちない様に木に縛る。


「多分しばらくは安全かな。蛇が来ない事を祈ろう」


 木の上に女性を置いて、木から飛び降りる。そして、駆け足で集落へ戻った。まだオークの姿はちらほら見える。


 オークが3体トトに気付き、全速力で駆けて来る。


 トトは収納から鋼鉄のハンマーを取り出し


 横凪ぎに振るう_ドオン!_「ブヒィ!」3体纏めて吹っ飛ばした。



「さて、殺るか」

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