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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

Science without Humanity

作者: earth
掲載日:2015/04/29

短編シリーズ「罪の残したモの」2作品目です。

今日も始まる神々の悪戯(じっけん)。

牢屋に響く足音がそれを意味している。

実験が始まる、それだけで恐怖に包まれる。

「No.01」

黒髪の研究者が指示すると、護衛らしき者たちが私を牢屋から出す。

もう反抗する気も無く、されるがままにする。


金属だらけの部屋に連れてかれると、いつものように台に寝かされ錠をはめられた。

仕事が終わった護衛が部屋を離れるのと交代で、白衣の男達が入ってくる。

男の一人が私に注射針を刺すと、とアナウンスが響く。

「準備完了。実験開始」


無機質な声と同時に注射針から液体が流れ始めた。

液体が私の体の中に入ると、私の体を蝕んでいく。

「自分」が無くなっているような、いや実際そうなのだろう。

そういう感覚がした。

これで何回目?この感覚にも慣れてしまった。そんな自分がとても嫌でしょうがなかった。

だが、嫌悪感をもろとも消してしまう、恐怖という感情。

自分が何にも残さず消えるかも、これが一番怖い。


知らず知らずの内に鼓動は早くなり、息も上がっていた。

「No.01に異変あり。実験中断」

アナウンスが聞こえると、液体の注入も止まった。

自ずと、鼓動も落ち着いてくる。

もう、嫌だ。



No.01は中々の結果だ。

他の試験体が壊れていくなか、これだけは大丈夫だった。

今日は強めのものを用意したが、耐えきっている。


これが成功すれば、食糧(ひと)ができる。

そして、自分自身も評価される。

そうすればもっと大規模な実験ができる。

悪魔(オレら)を使えるかもしれない。


自分の野望を巡らせつつ、長い黒髪をかきあげ、No.01の結果解析を頭の中にインプットする。



牢屋をでて、自分を失い、牢屋に戻り。

ずっと、ずっとそれの繰り返しで研究者への怒りも無くなって。

でも、現実は何も変わらない。悲しい位に。

変わったのは私の心。最初は実験の度に大粒の涙をこぼしていたのに、今は涙なんて見当たりもしない。


もうこんな色のない世界、嫌だ。ここから出れない自分も、ものすごく嫌。


カラフルな世界をもう一度... ...、

「No.01」

その声で、私の思考は止まる。

結局何を考えても現実は変わらなかった。


だが、そんな日常はいきなり消え去った。

実験が終わり、牢屋に連れてかれる時、私の「自分」が無くなった。

全部吹き飛ばされて、真っ白に。

けれど、真っ白は永久に続く訳ではなかったらしい。


真っ白が身を引くと、目の前には大きな空があった。

いつかぶりに見る空。何も変わらず悠然と広がっている。


この空の下もう一回、人の世界(ヘイオン)が始まればいいのに。


そこらにあった石を握り、そう思った。

そして、石を思い切り投げた。

石は見事少し先の岩に当たり、割れた。

そんな馬鹿なこと。叶うはずもない。

踵を返し、ぼんやり見える森を目指して歩き出した。


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