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そうとは知らずに近づくキク。
雪女からはさりげなく距離を置かれて、避けられていたのでした。
その様子を目の当たりにした空は、この女は私達が見えているのだと感じ始めました。
空はキクの側まで行き、直接話かけました。
「キクや。そこの女はわらわ達の姿が見えてるやも知れぬ所だ。直ぐこの場を離れよ!」
空はそう言ってキクの肩を引っ張りその場から遠ざけました。
それを聞いて冷や汗を掻いたキク。
そして、空とキクの二人は社から出ると、墓場の影に隠れました。
その逃げる様子が見えていた雪女。
「いつかきっと、もののけなぞ居ない世にしてくれようぞ。な?薬王丸?」
と言い放ちました。
「はい。雪女」
と、笑いながら言う薬王丸の姿がありました。
ーつづく。