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空とキクはのんびりと山道を歩きます。
そして、キクが空に話しかけました。
「ねえ。空さま」
「何じゃ?」
「あたいに必要な霊力ってどうすれば溜まるのですか?」
と、こんな質問をしました。
「んー。それはな。周りの者から少しだけ元気を貰うことじゃ」
「元気をもらう?」
「ああ。元気を分けてほしい者に平手をかざし「ノーマクサンマンボダナンキリカクメイメイソワカ」
と唱えれば元気を分けて貰うことが出来るよ。でも、注意せねばならん事がある。
それは、余りにも小さな虫などから元気を貰おうとすれば、その虫は死んでしまう場合がある」
「じゃあ、例えばその虫とはどんなのでしょうか?」
「芋虫とか蟻とか。あと蚊なんかも死ぬかなぁ」
「はぁ。でも、蚊って刺されるとそこがかゆくなり、嫌ですよね」
「そうじゃな。じゃから、蚊にだけは呪文を唱え、無慈悲に命を奪うんじゃが」
空が笑う。
「そうして蚊を退治してたんですか」
キクが感心する。
「うむ。前に蚊に刺された時にあとから体中が痛くなった事かあってのう。それから警戒しとるんよ」
「体中が痛いって、そんなに?」
「あるんじゃよ。人間いわく「デング熱」とか言う病気だそうじゃ」
「デング熱?」
「ああ。わらわは、蚊に刺されてそのデング熱にかかり、死に掛けた事があるのじゃ」
「え?あれれ?確か空さまも今は霊体なのに」
「たわけ。それこそわらわとて狐であったころのウン百年前の話じゃ。でもそれから、霊体となり、もののけ
となった今でも許せぬのじゃ」
空は相当なまで蚊が嫌いだった。