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銀幕の恋人  作者: たま


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9/10

孤独な瞳

今日は、全てが上手く行き彼はビーチで幸せそうに恋人と寛いでいる。

ビーチサイドのベッドでくつろぐ彼の身体に南仏の太陽がサンサンと振り注ぐ。

最初に友にワザと漂流させられて命綱を切られて遊びで殺されかけた時の太陽とは違う。

金持ちに振り注ぐ南仏の光は優しく暖かい。

その頃、ヨットを停めていた港では船艇に隠していた友の遺体が運命のイタズラで港に浮かび上がる。

すぐに警察によって引き上げられ、身元が明かされる。

現在、生きているはずの人物と入れ替わって居ることが明白になる。

遠くにサイレンが聞こえる。

トムは、人生で初めて穏やかな幸福を感じている。

「太陽、太陽がいっぱいだ…」と幸せそうに目を閉じて微笑む。

ドナドナのような悲しい穏やかな曲が流れて幕は閉じた。映画館にエンドロールが流れる中、トムが横に来て座る。

「良い終わり方だね。トムが幸せそうな顔で終わってホッとしたよ。」伽椰子が涙をにじませながら映画そのままの穏やかな表情のトムのカサカサの手を握る。

監督は、この映画のシナリオ見て悩んだだろう。

殺人犯なのだ、まさかの主人公が。

どうやって話に説得力をもたせるか?

トムの鋭いのに甘く悲しげな瞳が説得力を持たせた。

離婚した両親は新しい家庭を持ちすでに弟や妹も生まれている。トムはただの要らない子供だった。

10代で軍に売り飛ばされた。それも戦争をしている軍へ。予備兵とは名ばかり捨て駒として前線に置かれ

敵兵を誘導する係りだ。何とか生き残り20歳で除隊できた。その足で映画祭で賑わうモナコへ。

動画配信者の水餓鬼さんが母親に捨てられてお腹が空いて空いて水しか口にできる物が無くて飲み続けた話しをしてた。

餓鬼の腹が膨れているのは、水しか食べる物が無いからだと話してた。

ミー子叔母さんに出かける時に言われた。

「友達は今から治療で不安で不安で仕方ないはずなんだよ。だから、アナタがそれを取り除いてあげて。

痛くない!怖くない!疲れたら私にもたれて寝て良いんだよって言ってあげなと。気休めでも良いからと。」 伽椰子はトムの肩を抱く。

「全然恐くないからね。痛くないからね。安心して。

眠かったら寝ていいよ。私にもたれて、ゆっくり寝てて…」と声を掛ける。

「ありがとう、伽椰子…また会える日まで。」と言いながら伽椰子の肩で目を閉じて眠った。

そして消えていった。

伽椰子は身動きできない。ずっと座席に座ったまま静かに涙を流し続けた。

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