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銀幕の恋人  作者: たま


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5/10

ミサとユウ

大学で出来た友達はミサとユウ

話してみるとずっと気になってたそうだ。

「でもさ、もしかしたら人嫌いかもしれないじゃん?

無理に誘うのは違うなあ〜と思って」と遠慮しててくれたようだ。

ミサは東京の子でユウは富山の子だった。

「エッ、じゃ2人は一人暮らしなの?良いなあ〜」とミサがため息をつく。

「え~っ、面倒だよ〜ご飯も作らなきゃいけないし!

掃除に洗濯も!お風呂掃除が毎日ダルい!

でもシャワーだけだと物足りないし〜」ユウが違うため息をつく。

「私はまだお試しで。叔母さんの家に居候してるから」伽椰子は焦る。

「そうか!不登校だったから、まだ心配なんだよね。

でも大学は1人1人別々だし、大丈夫だよ!

伽椰子は普通に良い子だよ!自信持って、大丈夫!」東京っ子のミサが手を握ってくる。

ミサは世話焼きでおばちゃん感がある。すごい優しい。「…ありがと」伽椰子はちょっとホロッと来る。

「全然知らない子を悪く言いたくないけど、こんな純真な素朴な子にそんな事する奴は、絶対マトモな人生歩めないと思うよ!私がシメても良いけど。」富山県から来たユウは空手の有段者らしく指をポキポキ鳴らす。

心が温かくなる。『友達って、良いな…勇気出して声掛けて良かった…』と心の中で思った。

「あの…マック行かない?学校帰りに友達とマック行くのが夢だったんだ。」と打ち明ける。

なぜか2人は涙ぐむ。ミサは抱きついてきてユウは上を向いて涙をぬぐっていた。

「行こう行こう!何度でも、行こう!」3人で大学近くのマックへ行った。


映画館へ行くと、やはり女優さんが大きく手を振り招き大きな扉が開き、吸い込まれるように座席に座る。

今日は余裕があるので周りを見回す。

人がチラホラ座っている。

「あれ?昨日も居たのかな?皆は驚かなかったのかな?」色々疑問は湧くが映画の幕が開く。

今日のトムはホテルで殺した友人に成りすますためサインの練習や声マネやらしていた。

表情がヨットに乗って時より幾分穏やかになってた。

もう自分が役者でこれは物語だと理解したせいだろうか?

悪い男に成り切って豪華なホテルや高い服に身を包み、殺した友の恋人も籠絡しょうと愛を囁く。

違和感を感じた弁護士も静かに殺していく。完全な悪を今日は演じている。 

友人の恋人を落として口づけた後、フイルムが彼以外白黒に変わる。

「どお?悪人に成り切った俺の演技は?」トムが画面から抜けて壇上でポーズを取る。

伽椰子は周りを見回す。伽椰子の周りも白黒になり全て停止している。

「綺麗な女の人とせっかくキスしてるのに?良いの?」伽椰子がからかう。

「やめてくれ。彼女もフイルムなんだからお互いカサカサするだけだよ。これが銀幕の恋だ。

彼女は仕事人だよ。」壇上から降りて伽椰子の席まで近づき膝をついた。

青い青い瞳がすごく綺麗だ。

「東洋人は肌がキレイだね。スベスベだ。」カサカサの手で伽椰子の頬をなでた。

「トムの役やってるアラン・ドロン知らないから昨夜調べたんだよ。

2年前に亡くなったの。何回も結婚離婚繰り返した人だけど最後の女性は日本人だったそうだよ。」伽椰子が調べた話をする。

「そうか、やっぱり。俺の本体もそうだったのかあ〜

」トムも納得する。

「でも、地球の全ての女性が好きらしいよ、結局は。」

伽椰子が言うとトムも笑う。

この映画の頃は20歳くらいだ。伽椰子と同世代だ。

「そうなのかぁ〜でも、俺は伽椰子に救われた。

ミジメで友が妬ましく殺す事しか考えられなくて、ずっと殺した後もアイツが蘇る恐怖に怯えてたから。

これは物語だって知ってホッとしたよ。」トムは悪夢の中で生きてるのだ。覚めることのない悪夢の世界なのだ。

「私もこのまま生きたら、ずっと悪夢みたいな人生になっちゃう。

だから、今絶対に幸せなるため頑張ってるよ!

トムも頑張ってたね。私も頑張らないと!」カサカサのトムの手を握る。

「もうほとんど殺した友達と同じ筆跡と声マネできるよ。弁護士にはバレたから殺したが。

どんな最後になろうと俺は諦めない!この物語を演じ切るよ。」トムの野心に満ちた瞳は善悪で片付けられない「生きる力」を宿してる。

「うん、トムのその必死で未来を掴もうとする生き方に世界が魅了されてこの映画は大ヒットしたんだよ。

私も絶対幸せになる!」 伽椰子が誓うとトムが抱きしめてきた。

「俺は女性は皆好きだけど、特にね同士と呼べる人が好きみたい。

この境遇に甘んじないで這い上がろうとする心が、大好きだよ、伽椰子。」と耳元で囁く。

「は、恥ずかしいけど、嬉しい!

アラン・ドロンはお母さんが再婚して継父にイジメられてお母さんが守ってくれなくて軍に売り飛ばされたの。

その人生を変えたくて除隊して映画祭が開かれてるモナコへなけなしのお金はたいて来て、半裸で街を歩き回ったんだって。

軍隊で鍛えた身体が監督の目に止まってデビューのチャンスを掴んだってネットに書いてた。

だからトムはドロン自身とシンクロしたキャラらしいよ。

何が何でも人生を変えてやろうとモナコの映画祭へ来たんだよ。」伽椰子が語るとトムが目を輝かす。

「そうか、この映画がそんなにヒットして俺の本体は大成功したんだな、良かった。」銀幕のフイルムのただの陰影なのに…トムの目に涙がにじんで見えた気がした。

「明日はラストだ。俺の生き様を最後まで見て欲しい。本体も最後は日本女性が看取ったんなら、俺と一緒だ。」と言ってまた消えた。

映画館の中は明るくなり人が席を立って出て行った。

「でも、本体は子供達が死ぬ寸前に日本女性を追い出したんだけどね、遺産のために。

まあ17年も一緒に過ごせて幸せだったと思うけどね。」と呟いた。

トムが知る必要はないか。

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