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第9話:王都では、後悔が始まっていた
王都防衛団の会議室は、重苦しい沈黙に包まれていた。
「辺境の被害報告です」
書類が配られる。
「……少なすぎる」
誰かが呟いた。
魔物被害、軽微。
盗賊被害、未確認。
作物被害、ほぼなし。
「おかしいな」
別の上官が顔をしかめる。
「辺境は、もっと崩れるはずだった」
「原因は?」
沈黙。
やがて、部下が言いにくそうに口を開いた。
「……追放した男です」
その名が出た瞬間、空気が凍る。
「【風音解読】のカイ」
「馬鹿な。
あれは、戦闘能力ゼロの――」
「ですが、報告では
彼の指示で被害が抑えられていると」
上官の一人が、拳を握りしめた。
「……判断が、早すぎたか」
誰も、否定しなかった。
王都は、この時初めて気づき始める。
追放したのは、
“不要な人材”ではなかったのだと。




