表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/10

第5話:それでも俺は、王都に戻らない

魔物が退いたその夜、村は久しぶりに灯りが消えなかった。

誰もが眠れず、ただ生き残った事実を噛みしめていた。


村長は俺を呼び、静かに頭を下げた。


「……助かった。

この村は、あんたがいなければ終わっていた」


俺は首を振る。


「俺は、風を聞いただけです」


「それでもだ」


村長は顔を上げ、まっすぐ俺を見た。


「ここに残ってくれないか」


報酬は出せない。

立派な住まいも用意できない。

それでも――必要だと言ってくれた。


俺は、風を読む。


この村には、まだ折れていない流れがある。

人の気配も、希望も。


「分かりました。しばらく、ここにいます」


その言葉に、村長は深く息を吐いた。


夜。

ひとり外に出ると、南から別の風が流れてきた。


硬く、乾いた匂い。

鉄と革の気配。


――人間だ。


しかも、武装している。


(王都か……)


俺を追放した場所。

俺を不要と判断した場所。


だが、不思議と心は揺れなかった。


「今度は、選ばせてもらいます」


追放された男は、

辺境で初めて、自分の居場所を選んだ。


そして風は、次の試練が近いことを告げていた。

ここまでで第一章です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ