第二章:記憶と音が重なる場所
翌日、主人公は昔のノートを取り出す。
そこには、あの人との交換日記。
ハングルで書かれたメッセージと、訳してくれた彼女の文字。
「君と音楽の話がしたい」
「あなたのこと、もっと知りたい」
そうだ、この言葉、あの頃からずっと彼女は言っていた。
忙しさの中で、連絡は途絶えていたけれど――
それでも今、あの歌を通して想いが届いた気がした。
夜、あの曲をイヤホンで聴きながら歩く帰り道。
ふと前を見ると、同じようにイヤホンをして立ち止まっている人がいた。
どこか見覚えのある後ろ姿。
そして、振り返る彼女と、目が合った。
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第三章:言葉じゃなく、音でつながる
「……久しぶりだね」
そう言った彼女は、笑っていた。でも目が少し潤んでいた。
「この歌、君に届いたかなって思ってたの」
「私も、君のことをずっと知りたかった」
互いに言葉にできなかった想いを、音楽が引き寄せてくれた。
テレビから届いた歌は、ただの流行り歌じゃなかった。
それは、過去と現在を結ぶ“共鳴”だった。
一緒に歩く帰り道。
イヤホンを分け合いながら、もう一度あの曲を聴く。
言葉は少なくてもいい。
この音がある限り、心はつながっている。
そう、信じられた夜だった。