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原爆がある異世界で。  作者: トリチェレ
第二章[魔物が蔓延る地]
7/22

『黒目が二つある魔物』

* * *


数十分後...


「もう一度魔力循環を発動してみましょう!!さっきは数秒しか保ててませんでしたがどんどん時間が延びてますよマコト様!!」


「うーん...!!はっ!!」


 魔力循環を発動し、図を覚える作業に戻る。俺は洞窟内を歩きながら、ずっと魔力循環の勉強をしていた。また、思考が早くなる。魔力循環をして思考が加速している間に図を見て、どんどん理解を深める。それが魔力循環の学習方法らしい。今のところ頭、腕、足の図は覚えた。


「最後にこの胴体の図を覚えて下さい!!」


 俺は図を見ながら体内を魔力が廻る様子を思い浮かべる。


「うおっ!?」


 基礎魔力循環とは違う。思考がすごい早さで回る。さっきまで気にならなかった洞窟天井から滴る音、目の前のエレオノーラとソールの動き一挙手一投足が全て脳に流れ込んでくる。さらにソールが持つランタンのみで、足元しか見えていなかった暗かった洞窟さえも隅々までハッキリ明るく見えてきた。それと同時に気付いたが、エレオノーラとソールはいつの間にかフードを下げていた。二人に合わせて俺もフードを下げる。


「魔力循環すげぇな...ってか2人共そんな髪してたんだな。」


 マントで分からなかったが、エレオノーラは白いロングで身長は150程。ソールは緑がかった黒のポニーテールで身長の方は170位有りそうだ。


「暗い中で私達が見えるって事は全身の魔力循環を習得したようですねマコト。まだ出口まで時間がありますので次は固有魔法についての話を。」


「そういえば猫女を殴った時に猫女の顎が吹っ飛んだんだ後に俺の腕が吹っ飛んだんだけど...あれが俺の固有魔法なのか?」


「恐らく。『自己犠牲』と言う名前から推測すると、攻撃の威力が上がる代償に攻撃に使った体の部位が犠牲になるんでしょう。」


 マジかよ...あんな痛みを我慢しながら俺戦わなきゃならねえのか?


「だとすると...エレオノーラ。君の『再生』で俺の体を戦闘中の移動とかに支障が出ないスピードで治す事は出来るか?」


「はい...ですが私の『再生』は体の部位を丸々治すとなるとかなりの魔力を使ってしまうので、短期決戦でないと厳しいかもしれません。」


 耐久戦は難しいか。


「もうすぐで洞窟を抜けますよ。」


 今度は一部だけ太陽の光が差し込んでいる広い空間に出た。天井を見ると俺の真上に亀裂があった。その先をじっと見てみる。


「んん...?」


 裂け目の奥から大きな目がこっちを覗いていた。その眼は、陰陽マークの穴を黒く、それ以外を白く塗り、隔てる線だけ残したかの様な不気味な眼だった。まるで黒目が2つ有るような。


「ガロロロアァァ!!」


 大きな咆哮が洞窟内で反響する。


「なんだありゃ!?」


 大きな眼はこっちを覗くのを早々にやめ、大きな足音を立て走っていった。俺達が進んでいた方向に。


「上に何か居るんですかマコト!?」


 ソールは亀裂の真下から少し進んでおり、亀裂の奥は見えていないようだ。


「なんか大きな眼がこっち見てたんだ!!洞窟が続いてる方に走っていった!!」


「急いで走ってください!!それは恐らく魔物です!!洞窟の出口に先回りされたらまずい!!」


「ああ!!」


 俺達3人は急いで洞窟を進んで洞窟の出口へ走った。


「魔物は...!?」


ソールが洞窟の出口に近づく。と同時に固そうな外皮で包まれた大きな爪がある魔物の手が洞窟内に入ってきた。


「ゴロァァァ!!」


 また、あの咆哮が洞窟内で反響する。


「うっ!?」


 ソールは身を素早く引っ込め爪を避けた。と同時に今度は化物のデカイ牙がある口を突っ込んできた。


「先回りされた様です!!」


「どうすんだ!?エレオノーラの『再生』あるんだしこいつがどっか行くまで待つか!?」


「その間にトリニティの追跡隊が追いついてしまいます!!」


「じゃあ闘うしかないのかよ!!」


「私に任せて!!」


 エレオノーラが言った。


「君が!?どうやって!?」


 そう言いながら俺がエレオノーラの方を振り向くと、既にエレオノーラは化物の口に手を突っ込んでいた。同時にエレオノーラは化物の口に洞窟の外に勢いよく引っ張り出された。


「エレオノーラ!!」


 外に引っ張られて行ったエレオノーラの方を振り向くとソールが洞窟の外に剣を抜きながら洞窟の外に出ていた。


「二人とも行動が早すぎる!!」


 俺も二人に続いて洞窟の出口から外を見る。


「グギャッ!!」


 既に魔物は、側面の腹を裂かれのたうち回っていた。魔物は鎧の様な毛が全身にある狼の様な姿をしていた。だが、その鎧の間からはその下の肌が見える。かなり膨らんだ肌だった。俺が魔物を見ているうちに臓物と血を吹き出しながら化物は地に伏した。


「どうやって倒したんだ...!?」


「まずエレが囮になりながら『再生』を使って魔物の内側から柔らかい部分を過剰成長させ、私が魔物の硬い表面からはみ出した皮膚を切り裂きました。」


「過剰成長!?そんなこともできるのか!?」


「エレの『再生』は対象を健全な状態に戻す力と過剰成長させる力を使い分けることが出来るんですよ。もっとも再生は離れていても使えますが、過剰成長は直接相手に触れた状態でしか使えないんですがね。うんしょ。」


 ソールが魔物の口に入ったエレオノーラの腕を引っ張り出しながら答えてくれた。エレオノーラの腕は魔物の涎でべちゃべちゃだった。


「うえー!!汚いー!!ソールー!!」


「騒がないで下さいよエレ。魔物が来ます。近くに川が有りますからそこで水浴びをしましょう。もうちょっとだけ我慢してください。それにしてもこの不気味な魔眼は何でしょうか...?」


「それ魔眼なのか?魔眼は強力な魔法を使っている間に出るんじゃ?」


「魔物にも魔力を流し込まれた事で生まれる魔物と、固有魔法を利用した魔力を流し込まれて生まれる魔物がいるんです。固有魔法を利用したタイプの魔物は固有魔法の効力を一部使えて、常に眼が魔眼になるんです。」


「だとしたらこの魔物を産み出した奴の固有魔法はなんだろうな。」


「分かりませんがもう死んでいる以上心配は余りしなくていいでしょう。」


「そうだな。とりあえず川に...」


 ザッ


「!?もう一体いるぞ!!」


 茂みから何かが出てきた。その方を俺は指差しながら叫ぶ。その生物はさっきの魔物と全く同じ見た目をしていた。


「えっ!?」


 ソールとエレオノーラが俺が指差した方向を見た瞬間その生物の奥からまた、全く同じ見た目の魔物が出てくる。


「魔物の群れ...!?そんなの聞いたことがありません...!!」


「グルル...」


「いや、群れじゃない!!固くなった毛の様な外皮!!その毛の向きが全て同じだ!!」


 茂みから出てきた魔物を見比べる。その見た目は何もかも全てが同じだ。


「この魔物は全て同一個体!!この魔物は『複製』の転生者が生み出した魔物だ!!恐らくだが!!『複製』の力で自分自身を複製しているんだ!!」


 「ゴルァァァ!!」


 2体の魔物が同時に叫ぶ。どうする!?こんな恐ろしい魔物2体も倒せるのか!?

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