プロローグ:複製の転生者
初投稿の作品です。良ければ見てください。
小説の事を全く分かっていないので良ければアドバイス下さい
『トリニティ王国』の王都の中央に
「それで父上...転生者の召喚の方は...?」
豪華な服を身に纏った白髪の少女が慎重に言葉を紡ぎだす。
「...却下だ。」
「...どうして...どうして転生者の召喚をお許しして下さらないのですか父上!?」
豪華な装飾が施されている大きな部屋の中央。長いテーブルの誕生日席で声を荒げ、乱暴に小さな拳でドンッと机を殴り付ける。
「そう興奮するなエレオノーラ...何度も言っているはずだ、転生者は危険すぎると。」
羽ペンを握り書類を片付けながら弱々しい声で応えた老けた男。トリニティ王国の主、62歳のバルバリ・トリニティだ。
「何回も父上には言っているではありませんか!?あの悪魔を倒すためには転生者の力が必要だと!!」
再度声を荒げたこの少女はエレオノーラ・トリニティ。17歳のトリニティ王国の王女だ。
「お前が今言ったその悪魔!!その悪魔だって転生者だろう!?」
国王も声を荒げ、拳を握りしめる。明らかに異常な程の大きさに拳が膨らみ、羽ペンがボキボキと音を立てながら折れる。だがすぐに男がハーハーと息切れを始め、拳の大きさは元に戻った。
エレオノーラは少し驚き、身をすぼめる。
「確かに転生者は強大な力を持っているが...わかってくれエレオノーラ...私も...民も不安なんだ...またあのような邪悪な者が転生者としてこの世界に召喚されでもしたら...間違いなくこの世界は...滅ぶ...!!」
「ですが...現在の戦力ではあの悪魔を倒すなど出きる筈がないでしょう...!?ならばリスクは取るべきです!!」
「だがエレオノーラ...あの悪魔は既に二つの国を滅ぼし...転生者も1人南の山岳で行方不明...山岳は冷気で包まれて...生死すら確認できない...もし強力な転生者が味方に付いたとしてもあんな化物に勝てるはずがない...!!なら少しの安息の時を...教授すれば良いではないか...国が滅びてから数年...奴を刺激するべきではない...」
「...お父様は国王であるが故思い切った決断が出来ないのでしょう?ならば...王女である私がやります!!私がやり遂げましょうとも!!」
トリニティ王国の王女はそう言い放ち、椅子から立ち上がって廊下へと繋がる扉へ向かう。
「まっ待てエレオノーラ!?どこへ行くんだ!?旅にでも出るつもりか!?」
「ええ勿論!!やらないのなら誰がこの世界を救うんですか!!私は悪魔を倒し...お父様も!!この国も!!世界だって守って見せますから!!」
姫様は勢いよく扉を開け、廊下に出るのと同時に扉を閉めきった。
「行くわよソール!!準備はしてるわよね!!」
廊下に待機させていたメイドにエレオノーラが声をかける。
「はい姫様!!」
そうメイドが答えた瞬間にメイドとエレオノーラは服を脱ぎ捨て、同時に二人の服の下から身軽な服が出てくる。メイドであり、たった今エレオノーラの護衛となったソール・イカロスの腰には剣が一本刺さっている。
それと脱いだ服は扉のすぐ側に置いとこうね。
「走るわよソール!」
「待てエレオノーラ!!」
王は娘を呼び止め扉を開けようとするがギギッと音を立て扉は止まる。
「服が挟まって扉が開かん!?」
「ごめんねパパ!!」
エレオノーラはそう言いながら、先程まで居た2階から1階に階段を駆け降り、城の裏手から南側にエレオノーラとその仲間の元メイド、ソールが飛び出る
「まずは南方面にある転生魔法陣を書いた廃墟を目指すわよ!!」
「はい姫様!!」
勇敢な二人は下り坂を物ともせず、すごい勢いで走っていく。
「エレオノーラ...前までいつも私の事をパパと呼んでくれていたが...もう何年も前から父上と呼んでくれていたな...いつの間にこんなに成長していたなんてな...だが!!それでもお前を旅には出させん!!あの悪魔には誰も勝てない...!!勝てるはずがない!!」
国王は城下を駆け抜けていく二人の背を見ながら兵士へと命令を下す。
「王女が兵士達は総力をかけて追え!!」
「ハッ!!承知しました!!」
兵士は返事をするのと同時に、エレオノーラとソールを次々に追い始める。
兵士に命令を下した後、国王バルバリは手を合わせ祈った。
神よ...私の娘をどうかお守りください...!!どうか無事で戻って来てくれ...!!
そして願わくば...どうか...あの悪魔...!!『複製』の転生者に裁きを...!!
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