或る少女の旅⑦-いつかのお返しを
目を覚ます。いつの間にか自分の身体に、赤色の毛布がかけられていたらしい。手触りがよく、ほんのりと人肌くらいの温かさを感じる。
……枕のようなものも敷かれている。
――?
私は今、仰向けである。
ブランコで寝た筈だが――ああ、誰かが私を運んでくれたのか。風を感じるので、ここが野外であることは確かだろうが、ベンチにでも移されたのか?
「――ん」
目を覚ます。すると、
「良いこ……良いこだぞ……」
ベスが、いた。
「……………………」
私の胸をそおっと撫でている。は?
つまり――膝枕。は?
「………………」
ダメだ。
うん。なんかダメ。
ダメ。ダメ。ダメ。
「………あっこらおい目覚めたな!なぜじたばたするのだ!じゃじゃ馬か!?」
「……………………!!!」
色々感情が混ざっている。喜怒哀楽の闇鍋状態。なんかにやけの顔も止まらないし、この顔を見られるのもいやだし、なんでここにベスがいるのかも分からないし、嬉しいし情けないし嬉しいし嬉しいし。
あとやっぱり、自分が情けなくて涙も出る。
「………………落ち着いたか……」
「…………………………」
「何故の涙目なんだそれは!?やっぱり落ち着いてないな!?」
――また抵抗むなしく私はベスの膝に。
もういっそこのまま寝てやる。
「おい目を閉じるな!話が進まんだろ!!」
先程の優しく撫でる手は、鞭のように私の頬をうつ。なんかもう腹が立ってくる。
――そんな感情の起伏の連鎖に、私が一番驚いていた。
私にとって――ベスは……




