不思議な夢⑥-我が愛おしき娘へ
「……………………」
私は、その少女のベッドに、……眠る少女の隣に腰を掛けた。
「どう見ても……私ね」
自分の頭から、この世にひとつ限りしかないリボンを取る。
いつもの手触り。
何年経っても変わらない、肌触り。
「…………」
これが私自身の過去の夢であると、このリボンは紛れもない証明の助けになった。不思議と汚れないそれは、いつかさえ忘れた遠き昔――私が、実の母親からもらった物。
少女の頭には、私が今も愛用している唐紅のリボンが付いている。それは、私の持つものとなんら変わりない。
「この髪留め……ほんと何製?」
そう私は漏らした。絹で出来ているのだと母は言ったような気もするが――何年経とうが質感が落ちないのは流石におかしいのではと、常識に欠けると言われる私ですら最近はそう思う。
まさか魔法の類いなのか。
「……いや、有り得ない」
私が旧姓だったころ、魔法とは本当に関わりのひとつもなかった筈なのだから。
私たちは、ただごく普通の――世の中の流れに沿っていただけなのだから。
「キツいなあ……」
思考を一旦纏めて、これからこの夢は何処へ行きつくのか、考え――この夢と、私の記憶と、辻褄が合ってしまった。
私の記憶がはっきりとしているのは、多分ここから。
この夢が本当に私の記憶に沿うものであるのなら。このほんの少しあと、実の父と母は――この冬の風に、攫われるのだから。




