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ヤツが来る①-綾の家族


***


表情に抑揚が無く、つまり殆ど無表情。そこから感情は伺えない。だが…その顔つきは少女らしく、かわいらしい。


黒く長い髪に日本人らしい真っ黒な眼。


その美しい髪は風になびかれ踊っている。

しかしその立ち姿は、精悍そのもの。


そんな少女は、あたりは暗いがしかし、人の通る――午後九時程の東京某所の街を歩く。たまに、ふと止まりながら。


一二月。

――ふわりとしていると、少女はそんな感情を覚える。


クリスマスに向けてなのだろうか?

一二月までとは違い、窓に色彩豊かな飾りをつける家がある。

スーツを着ている人間はどこか皆忙しそうだ。この寒々しい空の下で、まるで汗をかいているかと少女から見ればそう錯覚するくらいに。


そして、そこに親子がいた。

歳はとおに満たぬであろう少女と、金に髪を染めている、両親。


きっと彼女らは家族なのだろうと、思うだけ。

ただ――じっと見ていた。


少女は冬が来るたび思う。


――ふわりとしている。

そして浮いているのは、自分だ。


だからふわりとしていると、少女は思うのだ。

そう思っていた。


少女は自身の恩人と、居候吸血鬼の待つ家へと、足を運んだ。少女がそう意識すると――その足取りは、不思議と確かなものになった。

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