表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

56/87

寝不足さんには吸血鬼の膝枕②-友人関係成立難易度MAX


「これが朝帰りっちゅーやつ?」


小音は楽しそうに歩きながら、私とベスに冗談をかける。

暦は十二月。具体的には小音がうちに泊まりにやってきて、一泊を終えた直後。


「ふふ。朝帰り……か。一体誰が何をシたんじゃろーな?」

「私達皆でお片付けや、具体的には二十時五分まで。あとは森はんの治療やな」

「はは!事実じゃ………………がくり…………」


時刻は午前六時、曜日は金曜日。

いつもの鞄を抱えて、冬独特の空気感のある、外に出た。


いつもよりもだいぶに早く学校に行く。これも小音の生活リズムに合わせてのことだが、夜型生活をくるくると回している私にとっては辛い。


森さんは怪我の再生で体力を消費したので休養中。

吸血鬼なので、大事という怪我でもないが、いかんせんだいぶ精神的にやられているらしい。森さんは修理費に、血だらけの頭を抱えて項垂れていた。


森さん曰く、変な使い方をしない限り金には困らないくらいには貯蓄はある。らしい。


もちろんのこと雀荘雀猫も臨時休業だけれど、一応今日は平日。殆ど誰も来やしないだろうし関係はないだろう。

最近の森さん、何故か雀荘の営業に熱心な気がするから少し心配だったし……休ませる一点、その点ではむしろ丁度良いのかもしれない。


ただし店の備品と引き換え……となると勘弁してほしいが。


「綾ちゃん、いつもの数倍沈んだカオやなあ」

「朝…………なので余計に………………元気が………」


「いっつも元気のない顔だが、それ以上があったのだなア」


「失礼では?」

「お、少し元気になったか?」


はははと、ベスと小音。

しかし本当に疲れた……主に精神的方面で。


「まず半裸のベスを目撃、次に森さんの声なき戸棚の悲鳴を聞いて、ついでに露出狂に泥棒猫あつかいを受ける……あと備品も色々ぶちこわされて……疲れました……」

「リーリスのあのやつ……あそこまでこじれておったかの……?昔も確かにおかしかったが……今と比べれば可愛らしいで済まされる程度じゃったのに……」


ちらり。


「私にその原因を推理しろやなんて……無理やで、綾ちゃん?」

「さいですか……」


この間、数秒の沈黙。



「待てよ?どういうそれで綾と小音、ちらっと見ただけで会話が成立するのだ……?」

「小音は察しがいいですから」

「そういう次元か!?」


「はははベスちゃん。無口な綾ちゃんと会話するには、これくらい必要ってことや」


シツレイな。

と反論しようと一瞬思ったけれど、事実なのでやめた。


「例えば今綾ちゃんがシツレイな、って思ったのもお見通しや」

「バレました?」


「綾ちゃん顔以外は分かりやすいのよ、だから分かるで」


そしてまた、数秒後。



「…………わかるかあ!?」


ベスがそう漏らした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ