自称、姉妹百合の女⑩-やっぱりただのプレイだった
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「――と、言う訳です。」
「はあ。とりあえず……ベスと貴女との出会いについては分かりました……けど、なぜベスと貴女の関係を、姉妹関係と表現してるんです?」
その理由は至極単純なもので。
「妹に憧れていたのです!……姉妹!ああ――なんて美しき響きでしょう……!!」
「引きました」
「いつ聞いても……アレじゃな、理解できん…………」
「そりゃないで……」
恍惚とした表情のリーリスは気にしていないご様子だ。まあ――夢魔には夢魔なりの苦労が有ると言うことだろう。
不死を求める人間が存在するように、自分の在り方を受け入れてられないものは――やはり存在する。
リーリスが、そうだっただけ。
そしてベスが、彼女に道を示しただけ。
「しかし――最後の質問ですけど。繰り返しますが貴女は何故……森さんを拘束しているんですか?」
リーリスの横に目をやれば、縄で縛られた森さんがそこにいた。
もごごごごと森さんは何かを訴えたそうにしている。口は何らかの黄色い布で塞がれているからまともな声は出せない。
うちの雀荘の備品じゃないといいけど……。
「――よかった……服は全部着たままですね」
「心配するとこそこかい……確かに心配すべきとこやけど!」
「もごごごごごご」
例えば刑事ドラマの中の捕まった人質のように、ここまで丁寧に縛られている人間を――私は人生ではじめて見た。その縛られている人間が私の恩人の森さんだとは予想もしなかったが。
「それは―――この人を……縛りたくなったからです……♪」
「は?」
返ってきたのは、理解できない一言。
「なんか察したわ…つまりそういう性癖って……ことやんな……?」
「左様…です。すこし恥ずかしいですけれど……♪」
「……もごご…ごご!?」
全く恥じらいを感じているものの顔ではない。口を開けて固まっている私に、あきらめの半笑い顔のベスは言った。
私の肩に手を置いて。
「諦めろ綾、こいつはこういう――女だ」
「ベス、貴女彼女になんて言葉を授けたんです?人間の精力吸うことに罪悪感感じてた女のやってることじゃないでしょう、これ」
「―――助けてるつもり、なかったんじゃがなあ……」
「振り切れちゃってませんか、振り切れちゃってますよね?」




