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自称、姉妹百合の女④-敵か変態か
……勿論のこと、森さんは助ける。
しかしこの女の意図、目的が分からない内に下手に動くのは、悪手になる可能性がある。
リーリス――と、名乗るその女が敵ならば。
女はずっと、その顔に笑みを浮かべている。
「……………………ふふ♪」
生憎こちらに武器も無し。
その上、実質的に二人が人質にとられているようなもの。恐らく森さんは棚の中で縛られているんだろうし、ベスに至っては女の両腕の中。
「…………目的は?――貴女は一体何が……目的なんです」
吸血鬼殺しなんてやっていれば、恨みを買うことはある。
私が取り逃した吸血鬼がこの雀魂へ復讐にやってきたことも……一度だけならある。
しかし、この女は夢魔、と自分を称した。
夢魔、淫魔とも言い換えられる其れ。
確か――サキュバス、サッキュバスとも言う其れは、人間の精気を吸い取るとされる。
故に、不可解。
仕事関係でないのなら、ベスのことをお姉様と呼んでいたことに、何か関係があるのだろうか。
「目的…………?」
女は首を傾げている。
そして、ああなるほどと、勝手に頷いて女は、口を開いた。




